流星⑤
ちなみに言うとゼロ階のボスは骨だらけの巨大コボルト。子分もいて倒しがいがあるモンスターだ。知っている。なぜなら彼はベーターテスターだったからだ。
御堂は攻撃パターンを何度も復習する。知ってても急に攻撃が変更……そんな事も有り得るからだ。復習してもそのパターン通りに動いてくれるとは限らない。ここはデスゲーム。常識が通用しないとこもあるのだ。
「マゼンタ……いや、ゼロ。あんた、ベーターテスター時にはいなかったよな」
「まさか、あんたベーターテスター??」
「あぁ、まぁな」
ゼロには絶対嫌われないそんな感覚があった。ゼロはため息する。
「あんたね、周りに人がいないから良かったけど……嫌われると思わないわけ?」
「まぁ、ゼロなら大丈夫かと思って……」
「確かに、私は大丈夫だけど。あなたがベーターテスターだからって蕁麻疹出ないし」
嫌われる勇気というより説教される事が頭に過ぎる。ゼロなら安心してベーターテスター出身だと白状出来るのはなぜか自分でも解らなかった。
「第1、攻撃パターンはもう知ってる」
「だよなぁ。だが、その攻撃パターンがその通りに動くかどうかは…」
「そうね、ここは常識が通用しない世界みたいだし。私が死ぬ可能性もあるし」
恐れていないらしい。自分が死ぬのを。怖くないのだろうか??もしミスしてHPがゼロになれば死のチケットを買うことになる。にこやかに「私が死ぬ可能性もある」と言えるものだろうか??あぁ、死ぬのは遅かれ早かれというやつだろうか??御堂は冷や汗をかく。
「そんな事言うなよ」
「悲しむやつなんていないし」
「俺が悲しむ」
「あら、ありがと」
彼女は意外にもマイナス思考だった。家族の中にもいないのだろうか?悲しむ人が。だとすると冷えきった家族だ。こんな環境で育ってきたならそんな事言うのも納得がいく。御堂は彼女を守ってやりたいと思えてきた。彼の秘密を言い彼女は驚きもせずなんと肯定もしてくれた。ベーターテスターは嫌われるに決まっているだが彼女は大丈夫と言ってくれた。御堂のルーレットは当たりだったようだ。
もうすぐボス戦の扉が目の前に現れる。緊張する。何度も戦った相手なのにだ。
「勝とう!記念すべきボスだ!勝って祝杯でもあげようじゃないか!」
リーダー・ザクが手でビールの真似をする。ゼロはクスッと笑っていた。どこに笑いの要素があったのだろう?だが、彼女の笑いを見、安心する。良かった。笑う事も出来る人なんだと…
扉の前で盛り上がる。しかし、死者は出るのだろうか?緊張が……




