流星③
デス・ゲームと化した牢獄(VRMMO)は地獄そのものだった。何度もログアウトボタンを確認する者、絶望し自殺する者まで。まだするには早いのにと御堂は思い地獄を何度見する。龍はもうやめてくれと懇願していた。
自殺はもう止まったようだ。本当にゲーム内で人が死ぬなんて…ここは空中楼、簡単に飛び降りが可能。躊躇なく飛び降りる奴らを見て思った事は簡単に身を投げる事があるかと…何も出来ない自分に腹が立った。
冷静なプレイヤー・ザクが入手した情報によるとゲームクリアがこの牢獄から出る鍵らしい。自殺した人達には申し訳ないがこんな簡単な条件を聞かないで自殺するとは…
「ちょっとずつ攻略していこう。攻略する者は挙手を。早速だがもうゼロ階のボスをキャッチした。後は倒すのみだこれに参加する者は挙手を」
御堂は勿論挙手をする。龍も勿論挙手した。みんなは渋々挙手していた。10人くらいだろうか?英雄になってやると燃えている連中もいた。勇気が無い者は挙手してないプレイヤーだろうか?
ザクは参加者を見、「良し」と言った。ゼロ階の中ボス等はもう片付けたらしい。みんな不安に思うだろうが挙手したヤツらは流石だなと思った。
「これからはこの人達の事を【ゼロ攻略班】と呼ぶ事にする!」
「おー!」
挙手した10人は燃えていた。ベーターテスターは見かけなかったがベーターテスターはどんどん奥に奥に行ってるに違いないと御堂はニヤつく。
「なにニヤついてんだ坊主」
「あ、いやぁ」
「俺はライトニング。ライトと呼んでくれても構わない。この状況で余裕そうだな?」
「まぁ10人いればボスも軽々討伐出来るだろ」
御堂はライトニングに鼻高く誇らしげに言った。ライトニングは本当か?と眉をひそめたがまぁいいやと微笑。
「お前、ベーターテスターか?」
「な、そんなわけ」
「なぁに、恐れる事はねぇ。本当の事を言え」
「はっちげーし。初めて行きましたこんなとこ」
「勇敢だな」
ライトニングは疑いの目をかけながらまぁいいと微笑する。微笑がライトニングの癖らしい。
「そうか?リーダーにはなりたくねぇよ?」
「なんだそりゃ、まぁ俺もリーダーにはなりたくねぇ。責任負いたくねぇし」
ライトニングと御堂は笑い合う。龍は御堂を見つけた。ライトニングの自己紹介を済ませた後ザクの後をついていく。
リーダーは自然にザクになった。ザクの方が相応しいとみんな賛同。御堂もザクが良いと思う。こんなに適切な人物はいないだろう。
「英雄レースが始まるのか」
「英雄レースって」
ライトニングはニヤつく。肩には鉄球の文字が似合いそうな形をした何かが装飾してあってゴツイ。ガタイも良く筋肉が目立つ。初期装備だがこんなのあったけ?と御堂は首を傾げたがロングヘアの筋肉男、ライトニングの装備と筋肉は似合う。
前夜祭が始まる。食材とか買い料理がスタートした。
ちなみに10人の中にはマゼンタプレイヤーも入っていた。近づきになるチャンス到来。