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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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時代系

貴賤






「とてもよくできてるわね、ヘンリエッタ」

 ダイアナがそう誉めると、ヘンリエッタははにかんだように目を伏せた。そのまま、いつものようにゆらゆらと揺れながら、器用に絵筆を動かし続ける。ダイアナは付き人のジョージアと目を合わせ、小さく笑った。

「偉そうだったみたい」

「そうですわ、お嬢さま。お嬢さまの絵を見たら、ヘンリエッタは失神してしまいます」

 ダイアナは尚更、笑う。


 キャンバスは普通のようにイーゼルにかかってはおらず、床に直に置いてあった。彼女がそうしたがるからだ。以前はイーゼルにかけていたそうだが、それではヘンリエッタは、なにかに機嫌を損ねて出て行ってしまう。床へ置けば、彼女は服が汚れるのもかまわずその場に膝をついて、延々と描き続けた。ダイアナかジョージアか、看護婦達が停めるまで。

 ヘンリエッタの絵筆の動かし様は、物凄まじい。いちいち正確で、繊細な線なのに、まるで叩きつけるように『雑に』描いていく。ある程度描いたら、次のキャンバスへ移り、それも描いたら次へ、次へ、と繰り返す。乾いたキャンバスにまた向かい、描いて、描いて……ヘンリエッタはそうやって、名画を生み出していた。


「わたくしの絵を見たら、ヘンリエッタは驚いて、隠れてしまうと思うわ」

 耳許へささやくと、ジョージアは余程面白かったか、口を覆って笑っている。その反応に満足して、ダイアナは微笑み、踵を返した。これ以上、ヘンリエッタの邪魔をしてはいけない。




 ダイアナ・エイムズは、資産家の娘だ。位こそ平民であるものの、財産は貴族など及ばない程に持っている。祖父の遺した出版社を、父が上手に経営して財をなし、遺産として彼女に多大なものを残してくれたのだ。彼女と、兄のオルテアに。

 兄は出版社を継ぎ、ダイアナは自由になるお金をつかって、この療養所をつくった。ヘンリエッタは、一番初めの入所者のひとりだ。今では十数人がすごしているこの療養所は、ダイアナの姉、ポーラの存在が、設立に大きく関わっている。

 ダイアナと兄が遺産を自由にするには、条件がふたつあった。ひとつ目は、成人していること。ふたつ目は、ふたりの姉である、ポーラの面倒を、一生涯見ること。

 ポーラは……あまり、ふたりとは話してくれない。表情はいつも硬く、喜びをあらわすことは滅多になかった。何時間も椅子に腰掛けているかと思ったら、急に立ち上がって、その場をうろつきはじめる。身だしなみに気を配ることはなく、ダイアナが用意した下着やドレスを素直に身につける。用意されたものを食べ、今では失敗することなく用足しもできる。

 けれど、どうしても気にいらないものがあると、不意に腕や脚をふりまわし、花瓶だのなんだのを壊してでも抵抗した。ダイアナやオルテアに怪我をさせても。


 物心ついた時から、姉が『かわりもの』なのは、ダイアナにとって当たり前だった。それが障碍というものだ、という認識もない。

 時折非常に暴力的になり、会話もまともにはしてくれない姉だけれど、ダイアナもオルテアも、ポーラをきらいにはなれなかった。ポーラ当人が自分の情況に当惑し、困っているようだったからだ。

 ポーラはそれに、我慢強かった。幼い頃から看護婦達で、或いは、ある程度長じてからはダイアナも一緒になって、髪を結うこと、きちんとしたドレスを着ることに慣れさせた。姉は初め、暴れていやがったけれど、今ではなんでもないような顔で、婦人としてはずかしくない格好をしている。

 それにポーラは、ぎこちないけれど優しさを見せてくれる。

 触り心地が苦手な花を、ほんの一回、ダイアナが「好き」といっただけで、時期になると庭に出て摘んできてくれる。しかめ面で渡される花が、ダイアナは好きだった。ダイアナがポーラの為に用意したアクセサリでも、自分よりダイアナに似合っていると思えば、いつの間にかダイアナの小銭入れに滑り込ませた。

 オルテアが落馬して怪我をした日をずっと覚えていて、毎年その日になると、オルテアが怪我をしていないか、朝はやくから彼の部屋へおしかける。真剣な目で弟の脚をたしかめ、ほっとしたように鼻を鳴らすと出ていく。オルテアの体調に敏感で、ポーラが笛のように唸るのは危険のサインだ。その数日後に、オルテアは大概、熱を出して寝込んだ。


 ダイアナもオルテアも、姉が大好きだった。度しがたい行動もあるし、煩わしいこともある。それまで看護婦のいうとおりにしていたのに、何故かその時に限って抵抗して、あたらしいドレスや靴を汚した時には、ダイアナは泣きたくなる。オルテアも、掃除婦を頼むのが煩わしい、情けない時はあるだろう。

 しかし、それはポーラに限った話ではない。世のなかに、完璧な人間は居ない。ダイアナは自分が、世のすべてのひとを不快にさせないでいる自信はない。どこかで誰かを傷付けているかもしれないし、平民なのにお金を持っている未婚の女に不快感を抱く人間は、決して少なくはあるまい。オルテアも、経営している出版社で、新聞や雑誌を売っている。それらでこきおろされた人間達は、社主のオルテアを恨んでいるかもしれない。


 ポーラの一部分、会話が成り立たないところや、上手に意思の疎通をできないところを見れば、きらいというよりはもどかしい。

 姉が普通の人間なら、詩集や花の話をし、一緒に教会へ行き、年頃の娘らしく恋の話もできただろう。そう考えて、切なくなることもあったが、それは高望みというものだ。ポーラは五体満足で、大きな病気をしたことは一度しかない。丈夫で、頑強で、優しい姉に、これ以上望むことはない。ポーラからなにかをしろ、もっとこうなれと望まれることはないのだから、ダイアナがどうしてポーラに偉そうに、まともな人間になれなどといえるのだろう。






「おはよう、ダイアナ」

 広間へ這入ると、兄が新聞をひろげていた。自社のものとは違う。彼はいつでも、ほかの者の新聞にも目を通した。

 兄の付き人・ジェムが、お茶を用意している。ダイアナはそれへ目礼してから、兄へ微笑んだ。「おはよう、お兄さま」

「もう新聞は読んだ? 公爵の演説は大変な騒ぎをひきおこしてる」

 今朝の新聞でその記事は目にしていたから、ダイアナは頷いて、兄の近くの席へ着いた。すでに、ここの入所者達は食事をすませており、兄も食事を期待してはいない。ジェムはダイアナの分も、カップやお菓子の皿を丁寧に並べ、兄の傍にまっすぐに立った。

 ダイアナは、兄がこちらへ寄越した新聞を覗きこんだ。政治欄では、東部に大きな領地を持つ、フラルド公爵サジタリアス・サウスラスランドが、議会でとんでもない発言をしたと、大変な書きようだ。

 公爵閣下は、貿易で儲けている貴族達を批判した……とあるが、ダイアナは兄から聴いて、実際はそのような発言はなかったと知っている。公爵閣下は、不均衡な貿易をよしとする貴族達は「醜い」、とおっしゃったのだ。それに関してはダイアナも、ほとんど同じ意見だった。悪辣な貴族は、相手に不利益な商売というものに、ためらいがない。


「賢明なのは公爵閣下だと思うわ」

「僕もそう思うよ。僕ら商売人を、貿易で愚かしいほどの利益をあげている貴族は、卑しい身分だとばかにするが」

 兄はくいっと、肩をすくめた。「とはいえ、僕には彼らがばかに見える。商売は信用と、信頼だ。あんなことをしていて、もし貴族でなくなったら彼らになにが残るというのだろう。十年前の綿花の件を思い出してごらんよ。あれをしていた子爵どのは、今や行方も知れない」

 貴族の位を奪われた男に関しては、ダイアナも覚えていた。当時は十二歳だったが、もう新聞は読んでいたからだ。貿易で莫大な利益をあげていた子爵・ウェルドゲートは、驕りから友人の妻に粉をかけ、拒まれて逆上した。友人夫婦とその子どもをふたり殺し、絞首刑になったのだ。友人一家には幼い子どもがたったひとり、残された。刑の執行される前、事態を大変重く見た陛下が、彼から貴族の位を奪っていた。


 貴族が位をなくすことは、これまででもなかった訳ではない。王家にとって目障りな者が排除された例もある。貴族でなくなっても、友人達に庇ってもらい、領民や配下には慕われ、当人や家族はその後平穏に暮らした、ということもあった。貴族でなくなった途端、友人達にそっぽを向かれ、領民になにもかもを奪われ、行方知れず、という者もあった。例の子爵は、後者に近い。子ども達は行方知れず、妻だった女性は修道院でつましく暮らしている。

 フラルド公爵のおっしゃるのは、戒めでしかない。調子にのって自分だけが得をするようなことをしていれば、いつか手痛いしっぺ返しをくらうぞと、そうおっしゃった。それだけの話だ。

「あら、殿下はテニスにいれあげておいでなのね」

「最近楽しんでらっしゃるそうだよ」

「まあ」

 くすくすと笑いながら、ダイアナはお茶のカップに手を伸ばした。上品にソーサーに中身をうけ、音もたてずにすする。




 兄は、新聞を読ませに来た訳ではない。ポーラ、オルテア、ダイアナ三人の母について、話があるという。

 ダイアナの母は、ポーラの母でもあるのだけれど、ダイアナが気付いた頃にはもう家に居なかった。今も、エイムズ家の別荘で静かに暮らしている。

 ダイアナはそれを責める気にはなれないし、オルテアもそうだ。ポーラがどう考えているかはわからないが、気の優しい姉のことだから、申し訳なく思っているかもしれない。

 母は、ポーラがまともに喋らず、時折癇癪を起こすことに、非常に神経をすり減らしたそうだ。それに関しては、ある種当然のことだとダイアナは思っている。ひとによっては、ポーラのような障碍者に、どうしても忌避感、嫌悪感を抱くことはあるだろう。全員が全員、ポーラを理解せずともいい。母にとって、別荘で静かに暮らすことがいいのであれば、無理にポーラに会わせる必要も感じない。


 問題は寧ろ、遺産相続人から母を外した父にあると、ダイアナもオルテアも考えていた。父は、母をゆるせなかった。娘であるポーラを捨てた妻を憎んだのだ。だから遺産は、オルテアとダイアナにしか残さなかった。

 父の気持ちもわからなくはない。ポーラは、できないことは数多くあるものの、今では食事や用足しにはほとんど、まわりの手を煩わせない。どうしようもない不機嫌にとりつかれても、破壊的な行動は減ってきた。彼女も適応してきているのだ。それを、母として傍で見まもることはできなかったのかと、父は憤っていたのだろう。

 しかし、ポーラの癇癪は酷い時もあるし、どうあってもいうことを聴いてくれない場面も多々あった。自分がうんだ娘が、まるで人間ではない別の生きもののように見える瞬間を、母はおそれたのではないか。ダイアナはそう考えている。自分がうんだからこそ、母はポーラをおそれたのだ。ポーラの『かわった』部分を、自分の血の所為ではないかと、怯えたのだ。




 母はこのしばらく、風邪で伏せっていたが、快癒したという。一応、ポーラにもそれは伝えたが、理解したかどうかはわからないそうだ。

「お姉さまも、お母さまを心配していたと思うわ」

「ああ、そうだろうね。お前、まだしばらくこちらに居るの?」

 兄はお茶を飲み干して、脚を組みかえた。「姉さんが、お前の部屋がからっぽなんで、毎日這入りこんでは不思議そうに眺めているよ」

「あと三日は帰れないわ。どうしてもこちらで、ヘンリエッタ達の絵を見たいとおっしゃるかたが居て」

「僕は芸術はわからんけれど、彼女の絵は好きだな」


 オルテアは、肩越しに背後を見た。そちらには、ヘンリエッタの絵が飾ってある。療養所の庭を描いたものだ。彼女は目で見たものをその場で描くことはなく、モデルをアトリエへいれることもない。すべて覚えていて、描きたい時に描くのだ。

 兄はこちらを見て、にっこり笑った。

「なあダイアナ、僕にも一枚売ってくれよ。社に飾るから」

「いいわよ。まだ買い手のついていないのがあるわ。でも、ヘンリエッタの描いた絵は人気ですからね。それなりのお値段になってよ」

「おっと、じゃあ小さいものにしておこうかな……」











 療養所の入所者達が、庭に出て、看護婦達とうろつきまわっている。入所者は女ばかりだが、年齢は様々だった。十代の子が走りまわるのに、看護婦達が笑いながらついていっている。五十代の女性がベンチに腰掛け、手にした刺繍枠をぼんやり眺めるのに、看護婦達は微笑んで付き添う。

 病院であれば男女が同じ棟に入院することもあるかもしれないが、問題が起こることをおそれ、ダイアナはこの療養所には女しかいれないことにしていた。別の場所に、男だけの療養所がある。そちらは看護するのも男だけだ。

「ミス、あなたもお散歩ですか?」

「はい、先生」

 話しかけてきたのは、医師のヘンダースン博士だ。五十すぎの小柄な紳士で、看護婦の妻が居る。

 ここには三人の医者が泊まり込みで勤めている。ダイアナが人品骨柄を見、ポーラのような障碍者をどう思っているか訊いて、雇った者達だ。


 給金をはずんでいるのがあって、働きたいと訪れる医者は年に数人居るのだが、障碍者を矯正しようと考えるひとが多い。

 勿論、ある程度社会に適応することは大切だし、用足しなどは自分でできないと不便だけれど、必要以上に彼女達をしめつけるのはダイアナの主義ではなかった。だから、ダイアナの方針に頷いてくれて、それを無理にかえようとしない医師だけを雇っている。

 療育、という言葉を教えてくれたのは、ヘンダースン博士だ。彼女達を不快にさせない程度に、社会に適応できるよう導いていく、という意味だという。

 入所者には、会話のできない者も居る。そのひと達が()()()不快になっていないかは、判断つかないけれど、ヘンダースン博士のやりかたは上手だった。彼女達は戸惑いを見せたり、抵抗したりもするが、ヘンダースン博士のやることはそれなりに成果を上げている。おかげで、喋れないと思っていた女性が不意に口をきいたり、落ち着きのない子が数十分、我慢して椅子に座っていることもできるようになった。


 博士の発案で、療法としてとりいれた作品制作も、成果を上げている。

 はじめ、ヘンリエッタが絵を描くのが好きだと気付いたのは、ダイアナだった。文字の練習に配られた紙と鉛筆で、素描を仕上げていたのだ。充分作品として評価できるものだと思ったダイアナは、博士にそう伝えた。博士はそれを聴いて、自分の給金を減らしてもらってかまわないから、ヘンリエッタに絵の道具を用意してほしいといったのだ。

 ヘンリエッタに、毒性のある油絵の具を触らせるのには、不安があった。彼女はたまに、指や、袖を舐める癖があったのだ。だが、実際絵の道具を用意し、ヘンダースン博士がそのつかいかたを実演してみせると、ヘンリエッタは彼の手から筆をひったくるようにして絵を描きはじめた。絵の具を口へ持っていくかもしれない、という懸念は、懸念で終わった。絵に夢中になっているヘンリエッタは、筆で絵の具をキャンバスへ置くことしか考えないし、癖も出ない。


 ヘンリエッタの絵は実際、素晴らしいものだ。療養所の様子を見に来た兄の目にとまり、最初の何枚かのうち一枚が、彼の社に飾られた。数日で、あの作者の絵がほしいと、貴族や大商人の代理人から電話がかかってくるようになった。おかげで、絵の価値を画商に鑑定してもらうことになった。

 ヘンリエッタが障碍者であると知ると、数人は絵を買うのを諦めたが、それ以外のひと達は実際にここを訪れ、現物を見て、気にいったものを買っていった。ヘンリエッタは、数枚の絵が売れて以降、莫大なお金を稼ぐようになった。


 その後、ヘンダースン博士や、看護婦達の協力を得て、ヘンリエッタだけでなくほか数人の入所者にも、芸術的な才能があることに気付いた。

 ヘンリエッタなど、芸術作品をつくって売っている入所者の家族にも、利益の幾らかは渡すことができた。大部分は管財人に任せて運用し、もし今後、制作に興味を失っても、まかり間違って療養所がなくなっても、稼いだお金ですごせるように手配してある。

 ヘンリエッタ達は儲けているけれど、療養所にはいってくるお金が増えた訳ではない。これは飽くまで、ダイアナの個人的な事業だ。遺産は弁護士ふたりが運用してくれている。療養所はぎりぎり赤字だが、父の遺産の運用分で補っていた。兄も、それでお前の気がすむのならと、口をはさまないでいてくれる。

 ダイアナが療養所を開いたのは、もし自分やオルテアが死んでしまってもポーラが無事にすごせるように、居場所を拵えたかったからだ。そして、母のような人間をこれ以上増やしたくないからでもある。

 障碍児を捨て、そのことに罪悪感を抱いて残りの人生をすごすようなひとは、増えてはいけない。自力で育てるのが難しいならば、こういう療養所が増えればいい。子どもはきちんとした施設で元気にすごしていると思えば、罪悪感なんて抱かないでいられる。そう考えた。




 博士と並んで庭を歩き、ダイアナは入所者達の様子を見た。「アンは、相変わらず可愛いぬいぐるみをつくっていますね」

「彼女はあれが好きらしいですな」

 少々不格好な豚のぬいぐるみを一心不乱に縫い続けるアンの隣には、看護婦が居て、針に糸を通している。アンの豚のぬいぐるみは、他国に熱烈なファン達が居る。豚を幸運の象徴とする文化のある国で売れているのだ。

 刺繍枠に絵を描くのが好きな女も居る。独創的で、素敵な帽子をつくる女も居る。ひと言も口をきかないけれど、美しい詩を詠む娘も居た。皆、文字が書けないとか、時間を把握できないとか、用足しに介助が必要だとか、そういう欠点はあるけれど、素敵なひとばかりだ。勿論、作品をつくらないひと達だって、ダイアナは好きだった。

 男性だけの療養所も、同じように、作品をつくる者も居ればそうでない者も居る。そちらには年に二度ほど訪れるだけだが、いつ行ってもあたたかい雰囲気で、穏やかな気分になれる。博士の弟子にあたる医師が、やはり三人常駐していて、力の強い男の看護人も複数居る、安心で安全な場所だ。来月には、視察に訪れる予定である。その時には入所者達との約束で、沢山のケーキを持っていく。


 明日、あたらしい入所者(車椅子の女の子達だ)を迎える為の話し合いをすることを博士と約束して、画商と会う為に踵を返したところだった。血相かえてジョージアが走ってきた。ジョージアが喚き、ダイアナは血の気を失った。
















 ひと月後、本当なら療養所の視察をしていた筈のダイアナは、ヴェールを被って裁判所に居た。単純な理由だ。療養所内で、事件が起こった。男が入所者を襲ったのだ。

 はさみで刺された入所者と医師が死に、四人の入所者が酷い怪我をし、看護人ふたりが片耳をそがれた。現場を写真で見せてもらったが、酷いありさまだった。写真に色がついていないことにあれほど感謝したのははじめてだった。

 捕まったのは、マーチン・ジェフリー・ウェルドゲートとなのっている、看護人でもない、一時的に雇われた男だった。南部の生まれで、十歳頃から仕事を転々とし、最近では季節労働者をしていた。とうもろこしやさくらんぼなどの農園が、収穫の時期に、一時的な労働者を募集する。被告はそれをしながら、国中を移動して暮らしていた。

 療養所では、看護人は医師はダイアナが面接をするが、一時的な下働きは医師の判断で雇っていいことになっている。改装や、屋根、壁の修理で、これまでも一時的にひとを雇ったことはあった。そして、誰も問題を起こさなかった。盗みをする人間さえ居なかったのに、今度雇ったのは殺人者だった。


 傍聴席に座るダイアナに、周囲の記者達は非常に居心地悪そうにしていた。このひと月、兄や一部の良心的な出版社を除き、俗悪な記事を書く人間が居ないでもなかったからだ。多くの社が一方的に被告の供述をのせ、ダイアナや療養所に勤める医師、看護人を無視した。ある意味、当然だろう。捕まった男はウェルドゲートとなのり、父はもと子爵だったといった。あの、殺人で絞首刑になった子爵の息子だと、そういったのだ。

 被告は、自分は間違ったことはしていないと、そのようにもいっている。ばかを殺してなにが悪い、と。




 裁判官や、検事、陪審員、それにダイアナはその肩書きを知らない、しかつめらしい紳士達が這入ってきた。傍聴人達は一斉に席を立つ。裁判官が着席し、ローブをさっと払った。

 被告人の姿が見え、一斉に写真が撮られる。ダイアナは男を睨み付けていた。労働者らしくはない、つるりと綺麗な肌をした、子どもっぽい男だ。左右の腕をまっすぐ体の横に垂らし、悠然と裁判長を見ている。

 ダイアナと、さほど年齢はかわらない。何枚もヴェストを重ね、更にコートも羽織っているが、それは一枚たりとも無事な服がないからである。彼の着ているものは破れているか、穴が開いているか、サイズが合わないかのどれかだった。その為に何枚もを重ね着している。

 あっていないサイズの服は、余計に子どものような印象を抱かせた。たった一枚、やけに高級そうなクラヴァットが、いやに目につく。

「マーチン・ジェフリー・ウェルドゲート。あなたは、去る八月二十日、オウルストリーム村にある障碍者療養所で、医師一名、入所者一名を殺害し、入所者四名と看護人二名に重大な怪我を負わせた罪に問われています。有罪を主張しますか、無罪を主張しますか?」

「無罪を」

 被告は悪びれもせず、くいっと顎をあげて宣言した。「いえ、訂正します。医師を殺したことは詫びますし、罪に問われても仕方がないと思っています。看護人を怪我させたことは正当防衛です。残りは罪だと思っていません」

 ダイアナは男を睨み続けた。その口が動き、言葉が発せられる度、体が焼かれるような痛みを覚えながら。




 事件の概要が検事によって読み上げられたが、ダイアナはそれを聴いてはいなかった。ずっと被告を見ていた。

 事件については、もういやになるほど知っている。被告は屋根の修繕の為に雇われたうちのひとりで、次の日には修繕が終わるところだった。修繕の話は、ダイアナは知らない。入所者のひとりが雨漏りに気付き、自分の作品を売ったお金で、個人的に修理したいといったので、医師達がそれを尊重したのだそうだ。

 被告は屋根の修繕が終わってからも看護人として雇ってほしいと医師にいい、医師は、ダイアナに聴かないとわからないが、きちんとした資格がないなら無理だろうと答えた。被告はその日の夕方頃、入所者を襲い、一緒に居た医師とともに殺害した。殺害された入所者は、屋根の修繕を申し出た人物である。ほかの入所者達も襲ったが、看護人にとりおさえられ、殴られて大人しくなった。

 動機に関しては、警察には一貫して、知能の低い人間、四肢の不自由な人間に腹が立ったから殺したと話している。ばかを殺しても誰も迷惑しない、と。医師は、停めにはいったから過って刺したのだと。

 しかし、屋根の修理をした仲間達は、被告が療養所で働きたいと訴えていたこと、ここで勤められたら旅暮らしをしなくていいとこぼしていたこと等を覚えていた。また、自分よりも頭の悪い連中、屋根の修理もまともにできない手足の不自由な連中が、なにもせずにここで安穏とすごしているのは不公平だと、そうもらしていたとも。


 被告の顔には傷ひとつない。とりおさえられた時に殴られたそうだが、その様子はなかった。それを残念に思い、ダイアナは、自分のなかにある凶暴さを見た気がして、いやな気分になった。

 検事は淡々と、犯罪の情況を説明し、検察側弁護側がひとりずつ証人を呼んで、その日は終わった。




「ダイアナ」

 裁判所近くのホテルに戻ったダイアナは、頭痛で横になっていたが、兄のオルテアに揺り起こされた。ジョージアとジェムが心配げにしている。

「お兄さま。いらしたの?」

「ああ。大事件の取材だ。僕も来るべきだと思って……裁判所にも居たんだ。気付かなかったの?」

「ええ……」

「気分が悪そうなところ申し訳ないが、お前に会いたいというひとが居るんだ」 兄の手をかり、ベッドをおりた。「どなた?」

「聴いて驚くなよ。フラルド公爵だ」

 驚くな、というのは無理だった。ダイアナは眉を寄せ、扉を見る。




 フラルド公爵は、ダイアナより一歳か二歳上の、大人しそうな人物だった。写真で見るよりも背が高い。少しふっくらしていて、あまり運動などは好きそうではない。

「閣下」

 兄とともに丁寧にお辞儀をする。公爵閣下は、ふたりに椅子を勧めてくれた。

 兄と並んで座り、ダイアナは閣下の顔を見た。濃い茶色の目が、優しそうに兄を見ている。

「突然、話したいなどといって、驚かせただろう」

 公爵の声はかすかに震えていた。なにかしら、感情的になりそうなのを、おさえこんでいるらしい。

「実は、君達に、お世話になっているので、礼をいいたかった」

「お世話に……?」

「例の事件で怪我をした、入所者のひとりが、わたしの弟なんだ」

 衝撃をうけ、ダイアナは口を半分開いた。




 閣下の弟は、幼い頃大病を患い、それから意思の疎通がとれなくなった。片脚が不自由になったのもあり、死んだことにして平民の養子にし、療養所へいれることになった。ダイアナの療養所は、閣下の弟にとって、三つ目の施設だそうだ。

「あの療養所にはいってから、弟は非常に……おちついたと、そう聴いていた。仲介してくれるひとが誠実なので、月に二回は近況を伝えてくれてね」

 ダイアナは軽く頷く。「では、アーチーが閣下の弟御なのですね。彼の親御さん達は、週に一回はかならず療養所に来て、医師や看護人にアーチーの様子を聴くんです」

「ああ。ご夫婦で、弟を本当の子どものように育ててくれている。ありがたいことに……」

 閣下は咽を詰まらせ、一瞬そっぽを向いた。すぐに顔の向きを戻す。「いや、このことだけを話しに来たのではないんだ。君達に、おぞましい話をしなくてはならない」

「おぞましい話?」

 閣下は頷いて、話し始める。
















 数日後の法廷は、検察側の証人に公爵閣下がいらっしゃるというので、大変な騒ぎだった。すでに、オルテアの出版社の新聞で、それは多くの人間に伝わっている。公爵の家とウェルドゲート家には以前親交があった為、被告に有利な証言をするのではと思われている。であれば何故、検察側の証人なのか、大勢がそれを不思議に思っていた。

 ダイアナは被告を見詰めている。

 証人の公爵閣下は、堂々とした声を出した。この間の、優しそうな、少し気の弱そうでさえある姿とは、比べようもない。議会でもあのようになさるのだろう。

「被告人はマーチン・ジェフリー・ウェルドゲートなどではありません。彼はロビン・ブリッジ。生まれも南部ではなく、東部の靴屋の息子です」

 傍聴人達がざわめき、陪審員達は顔を見合わせた。


「ロビンの姉だという人物がわたしの邸を訪ねてきました。彼女は新聞に載った写真を見て、彼を弟だと証言しています。殺人者の姉だとなのりでるのは勇気の要ることだったのでしょう。証言をしてすぐに倒れ、今は起き上がれない状態です」

 被告が喚く。「違う! 俺はロビンなんて名じゃない」

 公爵はうっすら、血の気を失っているが、毅然としていた。堂々と、裁判長へ向かって喋っている。

「彼がマーチンならば、別れる直前にわたしと交わした約束を覚えている筈です。それから、左腕は幼い頃の骨折の所為でまっすぐになりません。我が家はウェルドゲート家とは交流があり、わたしとマーチンはおさななじみでした。一緒に木に登って、落ちてしまったこともあります。マーチンはわたしを庇い、左腕を折りました」

「俺はマーチンだ! このクラヴァットが証だ!」

 高級そうな、後生大事に首にまいているクラヴァットを示して、男は勝ち誇ったようにいった。公爵はそれを、気の毒げに見ている。

「わたしがしてほしいのはひとつだけだ。()()()マーチンからそれを奪ったのか、教えてもらいたい。これだけ新聞で書きたてているのに、あの正義漢のマーチンが出てこない訳がない。マーチンも君に殺されたのではないか?」

 また、法廷内がざわめいた。

 被告は公爵を睨み付け、口角泡を飛ばす。

「嘘だ! 嘘を吐いてるのはこいつだ! 俺はマーチン・ジェフリー・ウェルドゲート、子爵の息子で、親父がばかなことをしなければ子爵になれた。子爵になったら領地のばかども、無能者どもをさがして、全員追放してやった。貴族がそれをしたって罪にならないのに、俺がばかを殺してどうして罪になる」

 いっていることがめちゃくちゃだ。弁護人が立ち上がって停めようとしたが、被告はまだなにか喚いていた。


「憐れなひと」


 ダイアナのつぶやきは、被告の耳に届いたようだ。彼は口を噤み、ゆっくりとダイアナを見た。

 被告がダイアナを見たからか、ざわめきがおさまっていく。ダイアナは鼻を鳴らし、被告を見ていった。

「ご自分が見下している人間からお金をもらって屋根の修繕をしたのが、余程悔しかったのね。あなたのいう()()にお金をもらったのがいやで、子どもみたいに暴れたんだわ」

 それは、被告に、特大のダメージを与えた。被告人席から獣のように飛び跳ね、廷吏をおしのけてやってくると、被告はダイアナの首を両手で締め上げた。「煩い、ばか女、自分で一銭も稼いだことがないくせに! お前みたいな金持ちが余計な施しをしなきゃ、あんなばかどもは野垂れ死んで――」
















 ダイアナはその後、記憶があやふやだ。気絶し、運び出されて、家へ戻った。一度、母が見舞ってくれたそうだが、覚えてはいない。




「気分は大丈夫?」

 邸の社交室で、公爵閣下が優しく訊いてくれて、ダイアナは頷いた。まだ、あの男に絞められた首は痛いが、喋れるようになったし、問題はない。被告に厳しい言葉を投げて襲われた女傑、という評判も、別に悪いものとは捉えらえていなかった。


 マーチン・ジェフリー・ウェルドゲートあらため、ロビン・ブリッジには、すでに死刑が宣告されていた。控訴したのと、本物のマーチン・ジェフリー・ウェルドゲート殺害容疑についてのとりしらべもあり、まだ執行はされていない。

 ロビンは否定したが、実の姉を皮切りに、証言者が続々とあらわれた。幼なじみや、かつての恋人などが、新聞に写真が載らないならと証言をはじめたのだ。ロビンは昔から上昇志向が強く、いつか貴族になるといっていた。貴族のことを図書館で調べるなどもしていたらしい。また、自分よりも知能で劣る子ども達をいじめ、からかい、ひとりに大怪我をさせたこともあった。自分と同年代や歳上の子どもとはつるまずに、弱々しい子や貧しい家の子、障碍のある子を子分のように従えて、闊歩していたという。

 更に、同じ季節労働者の男性が、本物のマーチンとロビンが一時期、同じ農園で働いていたことを証言した。マーチンは家が爵位を失った後、労働者として生きていたのだ。

 マーチンは子爵家出身だったことは誰にも話さず、名前もマーチン・ライトと偽っていた。幼い頃の写真を見せると、労働者達はマーチンに似ていると証言し、ほぼ間違いないと目されている。

 彼はひと付き合いをほとんどせず、手にいれた金もどこかへ送ってばかりで、酒ものまない賭け事もしない、『面白みのない』人間だった。子爵家とつながりのあるような気配は一切なかったが、しかし、祖父の形見であるクラヴァットだけはずっと持っていた。それをロビンが見付け、新聞で報道されたウェルドゲート事件を思い出し、クラヴァットを奪った――と、検察は考えている。クラヴァットは、マーチンの父が法廷でつけていたもので、その写真が新聞に載ったのだ。

 マーチンの遺体はまだ見付かっていないが、最後に働いていた農園の近くにある谷から、彼のものらしき鞄が見付かっている。遺体が動物に食べられてしまったのなら、もう出てこないかもしれないそうだ。




「悲惨な事件です」

 兄がぽつりといった。ダイアナは頷く。公爵は目を伏せていた。彼にとって、弟が襲われ、旧友が亡くなっているのが判明した事件だ。悲惨でない訳がない。

「ああいった療養所がある限り、これに似た事件は起こるでしょうね」

「ダイアナ」

「事実でしょ、お兄さま。でもそれは、ほかの施設でもかわらない。学校でも、売春宿でも、ひとが集まるところを狙う犯罪者は居るそうだから。騒がしいからと子どもを殺すひと、はしたないからと女を殺すひと、煩わしいからと男を殺すひと、きりはない。そうではなくて?」

「そうだが……」

 兄も公爵閣下も、悲痛げに俯いた。ダイアナは息を吐く。

「それを、いいとはいっていないわ。でも、そう考えるひとも居る。わたしがすべきなのは、療養所をもっと安全な場所にすること。他人の考えをかえるのは不可能ですし、試みるのは無駄だわ。妙な人間の這入りこまない、安全な場所にしてみせますとも」

 それは、偽らざる本音だ。ロビンのような人間は居なくならない。それでも仕方ない。人間の考えは、滅多なことでは変化しない。

 だから、ダイアナの考えもかわらない。ポーラのような人間をまもりたいし、母のような人間を増やしたくはない。施しだといわれても、余計なお世話だといわれても、かまわない。


「ロビンを愚かだと考える人間が多いらしいのが、救いだね」

 公爵が小さくいい、兄妹は同意を示した。






「そういえば、閣下? お訊ねしても宜しいでしょうか」

「なんだろうか、ダイアナ」

「閣下と、本物のマーチン卿は、どのような約束を?」


 ダイアナが思い出してそう質問すると、閣下は小さく頷いた。

「それこそ、わたしがあの男を、マーチンではないと考えた理由だったんだ。マーチンは正義感が強く、優しいやつでね。父親のしたことを償って生きると、そういったんだ。なんとかして生き残った子を助けると。まだ十三歳だったくせに」

 公爵は涙ぐんだらしかったが、さっと目許を拭い、普通の声で続けた。

「そして、亡くなった夫婦、そして自分とほとんどかわらなかった、幼い子ども達の魂を、ずっと悼んで生きると」

 ああ、と、ダイアナはふと、あのクラヴァットについて、腑に落ちた。マーチンは、自分があの子爵の息子だということは隠していたけれど、忘れようとはしていなかったのだ。貴族の誇りなどではなく、贖罪の為に、父の起こした事件を忘れない為に、あれを持っていたのだ……。




「ダイアナ、我が領にも、あたらしく療養所をつくってくれないだろうか?」

 議会に向かうという公爵は、思い出したようにダイアナを振り向いて、そういった。

「土地は用意しよう。鉱山があって、事故で四肢が不自由になる者が多いもので、そういった療養所なら勝手はわかるのだが、弟のようなひと達になるとどう扱っていいのかわからない。手をつかねていたんだ」

「ええ勿論、わたくしにできることでしたら、お手伝いいたしますが……」

 ふっくらした頬で、哀しげに、けれど優しく微笑む。

「一度、君に、我が領に来てほしい。とてもいいところだから、ヘンリエッタのような芸術家も気にいるのではないかな。綺麗な小川や、そう、邸には、花園もある。わたしも、君達のとりくみを手伝いたい……それに、療養所ができれば、母が弟に会えるかもしれない」

 少々おどけていうのに、ダイアナはくすっとした。

「一度、お邪魔したいと思います、閣下」

「ああ、是非」

「閣下は風光明媚な場所よりも、妹を鍛冶屋につれていきたいのでは?」

 兄がまぜかえす。ダイアナは笑ったが、公爵閣下は図星と見えて、さっと赤くなる。それに気付いて、きょとんとしてから、ダイアナも赤くなった。











 数年後、公爵閣下の貴賤結婚が、あらゆる新聞の一面を飾った。あらたな公爵夫人(ダッチェス)が篤志家であることを多くの新聞が報じたが、障碍者の為の施設を経営している、姉が障碍者であるとはっきり書いたのは、二社だけだ。そのうち片方は、法廷で殺人者にくってかかった気骨のある女性だ、と書いて、世の女性の顰蹙を買った。

 結婚式には、姉も母も出席してくれた。ダイアナはそれで充分だと考えている。






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