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第十五話「我儘と殺人」

テスト前日に勉強せず書いてます。テストよりも夢の方が大事じゃい!(10/14)

そのダンジョンは学校の校舎から少し歩いたところにあった。そのダンジョンの一階層に俺たちはいた。勿論入り口あたりである。まだ戦闘は始まっていない。一応、ルールの説明が入っているのだ。


「さて、今からみんなにはいつも通りこのダンジョンに潜ってもらう。初耳の人もいるかもしれないけど、ダンジョンにもある程度ランクがある。一から五の五つ。例えば、ギルドにあるダンジョンは三に当たる。この学園は三が二つと四、五を一つずつの計五つを所持している。そしてここのランクは四。五に潜れるのは教師とランク上位者のみ。向上心のある者はいつも通り全力で潜ってもらって、別に軍人なんて目指してないし、頭で勝負するって奴らは抜いてもらっても構わない。ここで死んでも残機ライフが減ることはないからね。何故か判る人」


その問いに対して、答えられる者はいなかった。まぁ多分クルサ先輩とタビトは気づいてるんだろうけど、云う気がないんだろう。二人としては当たり前すぎることだから。と云うか教えてないことを当然のようにして聞くんじゃないよ。ただまぁ当然、俺も知っている。アルファさんに教えてもらっているからだ。ただまぁこのままでは進行が滞るのも事実だ。


「一度攻略されてるから、ですよね。ギルドのダンジョンは残機(ライフ)で稼いでいる面もあるため、完全攻略である100階層ではなく、95階層までしか攻略されてませんよね」


「正解。アケルナル団長はいい教育をしたんだね。そう、このダンジョン含め、学園が所持している五つのダンジョンは全て攻略済だよ。攻略者はここの学園長であるマルス・アルゲイント。ギルドが所持しているダンジョンじゃないから学園長は冒険者じゃないよ」


なるほど。ギルド所持じゃなかったら冒険者でなくてもダンジョンに入れるのか。何か悪いことをできそうな制度だな。未発見のダンジョンを公開せず、そこで冒険者でない奴隷とか都合上冒険者になれない子供とかを強制的に戦わせて魔法石で金を稼ぐっていう。こんなこと考えついてる時点で俺も大概だが。


「制限時間は三時間。このダンジョンでは死んだらセーフティエリアじゃなくて入り口に出るから後半一時間で戻ってきた子と疲れた子は待機ね。さぁ、散った散った」


その合図と同時に、先輩らは一気にかけていく。ただ、


「行きますよカストルさん!」


モモは元気に笑顔でそう声を掛けてきた。本当はモモだけで潜らせて、俺はスタート位置に留まろうと思っていたが、流石にこれで断るわけにはいかないだろう。


「わかったよ。モモはNo.1になりたいの?」


俺は潜る上で一応どこまで手を抜けるのか確認をしておこうと言う考えで聞いておく。別にNo.1になりたいのでないのなら、70階くらいまで潜ってあとは時間を潰せばいいと思っている。まぁ多分モモも別にNo.1になりたいわけじゃないと俺は思っていたのだが、返ってきたのは予想外の言葉だった。


「そうじゃないです。 ボクはただカストルさんが馬鹿にされたのが許されなかったんです」


「別に俺は構わないけど」


「カストルさんならそう言うとは思ってます。なので、これはボク一人の我儘みたいなものです」


そうか、そうか。やはり、随分と好かれたものである。これが小汚いおっさんとかの姿で助けてたらこうはならなかったろうが、カストルのビジュがやけに良いため、シータとガンマとか、年下の女児から好かれている。俺は別にアリスコンプレックスがあるわけじゃないのに。ただまぁ、純粋な好意に応えないのも男が廃るというものだ。


「わかったよ。じゃあその我儘に付き合ってあげようじゃないか」


俺がそういうと、モモの顔がパァッと明るくなる。さて一つ上のランクのダンジョン、二人ならどこまで行けるのだろうか。





「モモ! トドメを!」


「はい!」


あれから時間––多分、二時間ほどだろうか–−がたった。五十階層のボスにトドメを刺してもらう。俺はこの間の戦地で刀を失ってしまったため、素手で戦っている。作ればいいのだが、戦地の時のように、魔力を込めすぎて壊してしまってまた作り直すのも面倒なため、そのままにしている。拳なら打撃(インパクト)の瞬間に魔力を流すことでその場所に魔力をぶつけ、燃やしたりもできる。その点素手は便利である。


「ふぃー。ナイスアタック、モモ」


「カストルさんもさすがですね、素手で戦ってても傷一つ負ってないじゃないですか」


「ま、ね」


と言っても、俺が怪我してないわけじゃない。怪我をした側から草魔法で治癒をしているだけである。その点、モモはククリナイフを両手に持って戦っている。ククリナイフは結構扱いが難しいはずで、それを使いこなし、投擲と回収までしているモモはもっと経験を積めば才能とか関係なく、SSSランクくらい簡単になってしまうだろう。そもそも、俺のSSランクは無限魔力とかのスキルあってのものであって、戦闘技術に関しては素人に毛が生えたレベルである。と言っても、レベル四ダンジョンの五十階層ボスくらいなら簡単に倒せてしまうあたり、カストルの元のスペックが高いことが伺える。別にスローライフに強さはいらんのだけども。


俺たちはそのまま五十一階層へと進む。折り返し地点を過ぎたため、少しは気を引き締めなければならないだろう。しかし、対峙した魔物のレベルとしてはギルドダンジョンと大差ない。ややもすると強くなっていくのはボスだけなのかもしれない。しかしその予想は外れることとなる。


少し進むと目に前に分かれ道が出てきた。ギルドのダンジョンにはこんなものなかった。レベル4以上のダンジョン特有のものだろう。


「カストルさん、分かれ道ですけど、どうしますか?」


ふむ。この手の場合、片方がトラップという可能性もある。だから迂闊に選択できない。一応、両方の道の先を見てみるが、両方とも、奥がまた分かれ道になっている。つまり、無限に続いているのだ。こういう時は勘に頼るのが一番だ。


「よし、じゃあ右に行こうか」


そう言いながら俺は振り返る。しかし、つい先ほどまでその場にいたモモは、突如として姿を消していた。俺が困惑していると、何かが足に当たる。視線を下に落とすとそこにあったのは、頭だ。その目はこちらを向いている。目の前にいる人物に期待を向けるようにして。しかし、俺はその期待に応えられない。それに気づいた瞬間俺の視界は一気に落ちていく。ああ、俺も首を切られたんだと察した瞬間、聞いたことのある声の気色の悪い笑い声が俺の耳に届く。死んだ二人を嘲笑うかのうように。





目が覚めると、そこはダンジョンの上だった。潜る前に先生が言っていた通り、ここに上がったのだろう。つまり、死んだのだモモはまだ起きていない。幸い、ここは芝生のため体が痛くなることはないだろう。モモを抱え、魔力を流しながらダンジョンへ降りていく。


しかし、魔物なら気が付かないわけない。というよりあり得ないのだ。何故なら、道中の魔物は全て殺してきたからだ。そんなに急に復活することはないだろう。つまり、人為的に殺されたのだ。手がかりはあの笑い声。男のものだったのは間違いない。しかし、俺が聞き覚えのある男の声といえば、タビトとあの、一般先輩。正直、前者の可能性は薄いと思っている。タビトは確かに俺のことが気に入っていなかったが、俺が潜らなくていいと聞き周りが笑った時、笑っていなかったのは、クルサ先輩とタビトの二人だけだ。つまり、曲がったことが嫌いなんじゃないかと思う。そんな人が人の評価下げるために殺すか? いや、殺さない。ならばもう犯人は確定したようなものだ。


しかし、ダンジョン内とはいえ人を殺してもいいものか。そこが問題だろう。もし殺してはいけなかった場合、というか、許可されてようが殺してしまった時点であいつと同レベルに落ちてしまうことになる。そんなもん癪だ。だから本当は殺したくないものだが、モモを殺されている以上、流石に黙っていられない。もし殺せないとしても、殺すレベルでエグいことはしなきゃいけないだろう。俺が被害を喰う分には別に構わないが、身内に危害、それも殺すまでやってるんだ。流石にやらんわけにはいかない。


そうこうしている間に元のスタート地点に戻った。そこにはすでに十数人ほど先輩がいた。クラス全体で四十名ほどだったため、およそ五分の二がもう死んだか兵士志望ではない先輩だろう。


「ああ、カストル。おかえり。死んだの?」


「うーん、そうなりますね。もっかい潜って行ってもいいですか?」


「別にいいけど、今から潜ってもそんなに深くまではいけないと思うよ?」


「かまいません。それと、一つ確認したいことが」


「何?」


「このダンジョン内で人を殺すことは許可されていますか?」


俺がそういうと、先生だけでなく、そこにいた他の生徒までが息を呑む。何か、怯えているような。そんな雰囲気の。


「ダメだよ、カストル。理由はどうあれ、人殺しは、、君が非難を浴びる」


「うーん、じゃあ手が滑ったっていうていう体はあり得るですか?」


「完全に事故を装えるならいいけど、もしバレたら退学になる可能性もある」


ふむ、それは困る。絶対モモに怒られる。できれば禍根は残したくないし、予想外は避けたい。そもそも入学一日足らずで退学だなんて、それこそ話題になってしまう。その噂がまわれば、孤児院で養子縁組しづらくなる。別に最終的には自分で育て切る覚悟はあるものの、できれば親とかいたほうがいいだろ。そのほうが幸せに暮らせる。でも一日で退学になったヤツの経営する孤児院からなんて養子縁組組みたくないだろ。


だから退学にはなれない。ならどうしようか。完全に事故、というか俺に疑いを掛らせない方法なら一つ確実なものがある。でも、バレる人にはバレる可能性があるんだよなぁ。それこそ、魔力の痕跡を追える人とか。あの先生ならわんちゃんバレてもおかしくはない。もしスキル発動に魔力を使ってたのならばれて即終了。そもそもあのスキル使用中の記憶が消えるかどうかも未知数。消える可能性が高いっちゃ高いけどどうもそこが心配だ。でもだからといって闇討ちはしたくない。やられたことをやり返すって言う点ではいいのかもしれないが、どうせなら正々堂々正面から砕いておきたい。でもまぁどちらにしろ。


「わかりました。完全に事故を装いますよ」


俺はそう言いながら再度、ダンジョンへ足を向けていくのだった。





何故。何故あんなにも膨大な魔力を持っている。弱冠十二歳の少年が、あれほどまでに膨大な魔力を持っているのはありえない。アケルナル団長からとても強いことは伺っていたけど、それでもあんなにも。あの量を垂れ流しても意識を失わないどころかピンピンしていた。つまり、本当はもっと多い。デスペナルティで魔力が失われている上であれだ。このクラスには事務仕事志望の人間もいるため戦闘力が高くない(それでも最低限ゴールドクラス上位ではある)者もいる。そのため、魔力を見ることをできない者もいるが、あまりに強大すぎてその者も出来ていた。それほどまでに怒っていたということなんだろうが、心臓に悪いから本当にやめてほしい。





駆けろ。全身全霊で駆けなければならない。時間は残り一時間弱。さっきまでと同じスピードだったら確実に追いつけない。それに向こうも進んでるわけだ。だから倍以上のスピードを出さなければならない。さっきまではリミッターを外すこともなく、手を抜いていたが、そんなことをしている場合ではない。今奴らに釘を刺しておかなければ、また繰り返すだろう。今回はダンジョン内だったから良かったものの、ダンジョン外でやられると、怪我が残るかもしれない。俺は良いとしてモモは女の子だ。もし顔に傷が残ったら恨んでも恨みきれん。だからダンジョン内で敵対心を狩る必要がある。いや、別に正直敵対心を消す必要性はない。必要なのは俺への絶対的な恐怖。そして自分の発言が何一つ信じられないという絶望。まってろクソ野郎ども。俺が引導を渡してやる。

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