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異世界改革~過労死した俺は女神に同情された~  作者: 西川希龍
第1章 「転生、そして異世界」
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第十話「ボスと結核」

 一人、死んでしまった。しかし、そこまでが想定通り。さして問題ではない。その人物は俺が作成で作り出した人造人間だからだ。実のところ、作成を持っていると知ったあの日から、人造人間という方法は思いついていた。しかし、人倫に悖ると思考から消していた。しかし、人の命がかかっているなら仕方がない。ポルックスと名付けたその人造人間を使役し、戦わせていたのだ。もし生き残っていたとしても、俺の手で殺すか、インベントリに入れて分解していただろう。自分の手で作ったものを壊すことに罪悪感は湧かない。『それでも命だろ』という考えをする奴等もいるだろうが、そもそも無から生み出されたものを人間とは言えないだろう。


 さて、それなら俺は何をしているのか。簡単だ。常に牛頭鬼の裏に周りとあるものを作成していた。それは有り得ないほど巨大なものだ。牛頭鬼よりも巨大かもしれない。しかしこの大きさである必要があるのだ。そうでないと意味がない。


 それが作成できたのは、三人が魔力を放出しながら動き、俺に気づかせなかったためである。牛頭鬼はポルックスから標的をアルファさんに変える。そして、両手剣をクロスさせるようにアルファさんを切ろうとする。アルファさんは未だその行動に気づいてはいない。このままではアルファさんは死んでしまうだろう。しかし、そんなことは許さない。俺はアルファさんに剣が当たる前に、その巨大なもの、大剣を振り下ろす。勿論、膨大な魔力を込めて。そうすれば必然的に牛頭鬼は攻撃の手を止め、こちらを向く。


「じゃあな。第一ボスにしては強かったぜ」


 俺はそう言い、脳天に剣で切り裂いた。牛頭鬼は雄叫びを上げながら魔力になり、消滅していった。俺はドッと疲れが出たが、まだやらなければならないことがある。俺は倒れている二人に近づき、治癒をかけた。するとしっかりと傷が癒えた。しかし当たり前だが、意識は戻らない。うめき声が聞こえるものの、顔色は先ほどと比べて良くなっている。


「カストル殿、貴方に最大の感謝を」


 俺がその声に振り向くと、セリシールが胸に手を当て跪いていた。


「いや、礼はいらないよ。こっちもいい学びになった。そもそも首突っ込んだのこっちだしね。助けられてよかったよ、ホント。じゃ、また会う機会があれば」


 そう言って、俺は右手をあげて扉から出ようとする。しかし、そこでまたセリシールから声がかかった。


「待ってくれ!」


「何ですか?礼ならいらないって__」


 俺は言いながら振り向く。すると、仲間の二人を両肩で支えるセリシールがいた。その表情はかなりきつそうだ。


「この二人運ぶの手伝ってくれへんか?」


 俺はため息をつく。できればすぐに帰って今日の反省をしたかったのだが、これで三人が死んでしまっては元も子もない。そのため俺は仕方がなくセリシールの支えている二人の女性の内髪が赤紫色でショートカットにしている女性、いや、少女というほうが正しいだろう。を抱えた。


「そういえば、二人の名前って何ですか?」


「短い白髪で下ろしてるのがメイで、赤紫髪でショートなんがモモや。モモはまだ若いけど頑張ってくれとるんよ」


「若いとかいう年齢じゃなさそうですけど。冒険者登録には立会人が必要なはず。どういう関係ですか?  無理やり連れてきたとかなら容赦しませんよ」


「そんなんちゃうよ。もともと俺とメイは夫婦で冒険者やってたんやけど、一年くらい前にギルド受付で人形(マリオネット)と言い争いしてるモモがおったんや。話聞いたら病気の母親の病気の治療費に大量の金が必要や言うてた。だから俺が立会人、そんで代理の保護者としてパーティーでやっとるんや。ただ、もうタイムリミットが二年もないねん。だからもっと依頼(クエスト)受けなあかん。でも受けるためにパーティーランクがAである必要がある依頼(クエスト)もある。だから今日、ランク条件の一つの’ダンジョン指定階層突破’を済ませに来たんや。それ以外の条件、全員のランクがB以上であることはクリアしてんねん。だからさっさと五階層攻略しようとしたらこのザマや」


 うーん。モモが身寄りのない子供ならまだやりようはあった。どうせ孤児院を設立するんだからそこで育てればいいと。そう思ったが、母親が危篤の状態でモモだけを幸せに過ごさせていてもそれはモモにとっての本当の幸せではないのだろう。それに俺が資金を援助するのも、正しいのか判らない。だからそれは最終手段だ。


「具体的に幾らくらい必要なんですか?」


「金貨二百枚や」


 Sランクの依頼クエスト一つクリアして金貨一枚だとしても、二百回クリアしなければならない。その内から生活費引いて大銀貨五枚くらいかな。つまりは四百回もの依頼クエストをクリアしないといけないということに他ならない。二日に一回なんて頻度で依頼クエストをこなしていたら体がもたないだろう。


「セリシール、俺が臨時のパーティーメンバーとして入ることは可能ですか?」


「自分のやりたいことやらんでいいんか? カストルさんにとっては二度目の人生なんやろ」


「できるだけ多くの人を、いや子供を助けることとスローライフさえ確保できていれば何があってもいいんですよ。俺への配当はいらないので、お願いします」


「いや、こっちにとってもありがたいんや。さっきの戦いでゴッツ強いことが判ったし、入ってくれるんなら心強い」


「なら決まりですね。俺が入るのは週二でいいですか。まだ知らないといけないことがあるので」


「ああ。それでかまわん。明けと渇れでええか」


「はい。あ、それともう一つ」


「なんや?」


「容体だけ見せてもらっていいですか。容体知らないとモチベも上がんないですから」


「判った。この二人救護に任せたら行こか」


「じゃあ、そう言うことなんで、座学と実技の時間は他に設定していただけますか、アルファさん」


 俺はしばらく空気になっていたアルファさんに聞く。アルファさんには可哀想な事をした。こちらから頼んでいるのに、勝手に日にちを決めて。失礼極まりない。


「うん、いいよ。そのかわり、内容濃くするからね」


「う……覚悟しておきます」


 まぁ濃い分には全然いい。というか速く多く知りたいからありがたい。しかし、今日は本当に多くのことが知れた。ダンジョンでの戦い方を知れた。残機ライフさえあれば命を捨てながらでも戦えると言うこと。魔物を知った。ランク制度を知った。今日は多くの収穫を得た。これからも、さまざまな事を知らなければならない。今日、多くの事を知れたのは後々役に立つだろう。これで少し、スローライフに近づいたかな。





 二人をギルドの救護室に任せ、アルファさんは王城へ戻り、俺はセリシールと共にモモの母の元へと向かっていた。母親の名前はペスカというそうだ。ペスカは隣国のツヴィトーク帝国からの移民で、夫に捨てられ、数年前からこの地で過ごしているらしい。本当は短期間の出稼ぎとしてこの国に来ていたそうだが、戦争が始まってしまい戻るに戻れなくなってしまった。しかも気候が違うらしく寝込んでしまい、そこに畳み掛けるように病にかかってしまったらしい。不幸な親子だな。捨てられた理由はよくわからないそうだが、最終的には捨てている側が悪い。


 寝込んだ時にかかったってことは、免疫力の低下でかかった感じだな。しかしこの世界で治らないわけではない。いや、この間肺炎の治療法を奏上し、定期的に提供しているから肺炎ならすぐに治る。まぁそれをどういった値段で売るかは提供された側の権利だから高額で売っていたらそれは知らない。いや、そもそも肺炎の致死率は14、5%程度だったはず。必死ではない。ならあの病気は肺炎じゃなかったのか? いや、鑑定では確実に肺炎っていう結果が出ていた。肺炎系で不治で必死の疾患といえば、、結核か? もしやこの世界にはもともと肺炎はなかったのでは? だから結核が肺炎として認知されていた。だが、陛下を肺炎にしたのは転生者、もしくは転移者だ。向こうの世界の肺炎を作り出せるようなスキルがあったらこの世界にないはずの肺炎に陛下がかかっていることにも説明がつく。そうなると、まずいことになった。俺が渡したペニシリンは結核には効かない。これを結核患者に治らなかったら、俺の命が危うい。俺が死ぬと、イータとガンマの生活が殺される可能性まである。さっさと結核の治し方も奏上しにいくか。


「ついたで。ここがモモのうちや」


 そう言って、セリシールが指す家はところどころヒビが入っており、必要最低限という感じを受けた。それは家の中も同じで、ホコリと蜘蛛の巣だらけの家だ。これじゃあ大して休めもしない。とりあえず、鑑定だな。寝ているところ悪いが、勝手に鑑定させてもらいますよっと。


 名前はペスカ。状態異常に病で結核あり、と。想像通りすぎてびっくりだわ。明日座学だろうからその時に結核の治し方も言っておかないとやばいことになるな。


「セリシール、掃除するよ」


「掃除?」


「ええ。ここじゃ治るものも治りません。セリシールは床お願いします。僕は蜘蛛の巣とか取り除きますので」


 俺は言いながら箒と塵取りを渡した。そこからはもう普通に掃除をした。俺は炎も使って蜘蛛の巣という蜘蛛の巣を消して回った。そのうちにもセリシールは床を掃いてくれて、あっという間に見違えるほど綺麗になった。


「じゃあ、僕はもう帰りますので、あとはまあお願いします。また明けの日に」


「ああ。お疲れ様でした」


 俺はそう言ってペスカの家を出た。そいて帰路に着くのだった。

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