表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/59

Episode 46. 地獄からの魔物を倒せ!

「急げ!!特徴から言って、あれは地獄の魔物だ!!」

謎の魔物が現れたという地点に向かって走りながら、ジークが声をかける。

後ろからついてきているのは王国一の冒険者パーティのメンバー、ミランダ、キャサリン、ネルソン、ダイアンだった。

「地獄の魔物がなんで?」

キャサリンが聞くと、

「考えられるのはただ一つ。魔王サタンが地獄への扉を開いたのだろう...」

そう答えるジークは無念そうだ。

「『魔王サタン』って...そんな物騒なヤツがなんで!!」

それを聞いたネルソンが思わず声を上げる。

「これは古文書に書かれていた事なのだが...」

ジークが古の文献の説明を始めた。


☆彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡


はるか昔、今から二千年ほど前、地上では高度な文明が栄えていた。

ところが、ある日、突如として現れた地獄の王・サタンが地獄への扉を開き、地獄から魔物を呼び寄せた。

数万に上る地獄の軍勢は強力で、当時の発達した文明でも撃退することは容易ではなかった。

しかもそれ以上に厄介だったのがサタン自身で、当時のどんな兵器を用いても倒すことは出来なかった。

次第に追い詰められていく、人類。

そしてついに、当時の人類は禁断の兵器を使うことを決断した。

禁断の兵器の威力は絶大だった。

深手を負ったサタンは地獄へと戻っていく。

取り残された地獄の軍勢もなんとか掃討することに成功した。


ただ、サタンは傷が癒えるとまた、戻ってくるかもしれない。

それを恐れた人類は地獄からの干渉を妨害する装置を作り出した。

人はそれをサタンが現れた山の頂上に設置した。

その装置は普段は青く光っているが、地獄から強い干渉が働き、限界が近くなった時は赤く光り、警告するように作られた。

サタンの力は強大で、人間の作った装置では抑えきれない可能性があったからだ。


そこまで対策を講じた人類であったが、その後は衰退の道を辿ることになる。

なぜなら、サタンを撃退する為に使った兵器は、大地を、空気を汚染する毒を放出し続けたのだ。

結果、その文明は滅び、古代遺跡に痕跡が残るのみとなった。


ミミミミミミミミミミミ☆


「そんなことがあったのか...」

ダイアンが過去の大事件を聞いて、驚きのあまり口にする。

「そうだ!その文献を発見した学者はその場所をサクラノの近くの山だと突き止め、定期的に装置が正しく作動しているか確認することにした!」

ジークが更に説明すると、

「じゃあ、ジークさんは時々、山に?」

ミランダが聞く。

「ああ!その度に青く光っているのを見て安心していたが、昨夜の嵐...晴天にいきなり来て、一晩で晴れてしまった...君たちも不思議に思っただろう...あれは...」

「あれは?」

ミランダの言葉に、

「二千年前、サタンが出現した時と同じだ!!...それで急遽、ローズ君たちに様子を見に行ってもらったんだが...」

ジークはそこまで話して険しい顔をする。

「じゃあ、今頃、ローズたちは...」

「ああ、おそらくあの石は力を失い、光ってはいないだろう...うまく逃げおおせてくれていればいいが...」

ミランダもジークもマリーとローズを心配する。しかし、

「でも転移石があるんなら大丈夫だよ!!たとえサタンと遭遇したとしても、いつでも逃げれるよね!」

キャサリンが安心させようとしたのか明るい声でそう言う。

「そうだな!あれだけ言ったんだ...マリー君もいるし、ローズ君も無理はしないだろう...」

ジークは自分に言い聞かせるように口にする。するとミランダも、

「そうですね!!今頃はもうサクラノの街に戻っているでしょう...」

一つ頷くとそう言って微笑んだ。


そして、少しの沈黙の後、ミランダが再び口を開く。

「それにしてもサクラノにそんな装置があったなんて...それでジークさんが派遣されたんですね!!私、『ジークさんがどうしてこんな田舎に?』って不思議に思ってたんです!!」

ミランダが納得したようにジークに笑いかける。しかし、それを聞いたジークは、

「ははは。『田舎』はひどいな!!私はこの、のんびりとした環境が気に入っていたのだがね!!都会の喧騒は疲れたよ...」

思わず、苦笑いをしたのだった。

「ご、ごめんなさい!!決して悪い意味で言ったんじゃなくて...」

ミランダが慌てて釈明すると、

「ははは。気にすることはない!!君たち若い者には退屈な街だろう!私も昔はそうだった。ミランダ君もそのうち分かるようになるよ!!」

ジークはそう言ってフォローした。

「・・・」

ミランダがなおも俯いていると、可哀想に思ったのかジークは言葉を続ける。

「それにもう一つ、仕事もあったしね!!」

「もう一つ??」

ミランダが首を傾げると、

「おっと、つい余計なことをしゃべってしまった!...もうすぐ、あの魔物が発見された場所だよ!!まだ、魔物が集まるには時間がかかるだろう!!数が少ないうちに、殲滅するぞ!!」

「「「「はい!!」」」」

ジークの言葉にミランダたちは気合を入れ直したのだった。


☆彡彡彡


「これは...」

山の麓に辿り着いたジークたちは思わず声を漏らす。

そこには数十匹の黒い鱗に覆われた邪悪な魔物たちが集まっていた。

それだけではなく、遠くに見える黒い渦のようなものから次々と魔物が現れてきている。

「あの渦が『地獄への扉』ですね?!」

ミランダが聞くと、

「おそらくそうだろう!!あれを閉じるにはサタン自身を倒さないといけない...ここにはいないようだが...」

ジークが言うと、

「分かるんですか?!」

ミランダが驚く。

「サタンらしい強大な気配がないからね!!ミランダ君も分かるだろう?」

ジークが聞くと、

「確かに...」

そこにいる魔物はどれも強そうだったが、ミランダたちにとってはそれほどの脅威ではなかった。

「どうしやす?サタンを探しやすか?」

ネルソンが聞いてきたが、

「いや、ここを放っておくと魔物の数が増えすぎて対処できなくなる!!今のうちに叩く!!...そうしているうちにサタンも我々に気づくだろう!!歩きにくい山を探すよりも効率的だ!!」

ジークはそう判断した。

「そうだな!!ではこいつらを叩くとするか!!久しぶりに腕が鳴る!!」

ダイアンが指の関節を鳴らしながらそう言った。

「よし!!派手にやってサタンをおびき出すぞ!!魔力は惜しまなくていい!!存分に暴れろ!!」

「「「「了解!!」」」」

ジークの指示にミランダたちは魔物に向かって飛び出すのだった。


(アンチ)物理(マテリアル)障壁(フィールド)!!」

キャサリンが防御魔法を発動する。

すると皆の体の周りを光が包み込んだ。

物理的な障壁として、物理攻撃を軽減する魔法の衣だ。

「おりゃ~~~~!!」

ダイアンが魔物の群れに突っ込むと、その大きな斧を振りまわす。

巨大な体躯を持つ魔物が力尽き、その場に倒れ込んだ。

「おお!デーモンを一撃で倒すとは...ダイアン君も成長したじゃないか!!」

そう言ったジークは魔物の真っ只中に飛び込み、剣を一回転させると、5匹の魔物を一度に倒していた。

「こいつが『デーモン』ですかい...話には聞いたことがあるが見るのは初めてだ...」

ネルソンが呟く。

デーモンは地獄の軍勢の中核をなす存在で、ここにいる魔物のほとんどを占めている。

大きな筋骨隆々とした体、その手に持った重そうな鉄槌(かなづち)

攻撃力と体力が半端ないのが見た目からでも分かった。

「でも、私とは相性がいいわ!!どんどん倒すわよ!!」

そう言ったミランダは、デーモンが振り下ろす鉄槌(かなづち)の力を利用して、強烈な一撃を相手に叩き込む。

一撃で敵は沈んでしまった。

「空を飛んでいるちっこいのは『ガーゴイル』だ!!すまんがネルソン君はそいつの相手を頼む!!」

ジークが言うと、

「わっかりやした!!...マジックアロー!!」

ネルソンが詠唱すると、光の矢がガーゴイル目がけ飛んでいく。

「ギャ!!」

一声鳴くと、ガーゴイルは素早くその矢を避けるが、魔法の矢は逃げたガーゴイルを追尾し、その体を貫いた。

「グェェェ~~~!!」

叫び声と共に、ガーゴイルが絶命する。

「ヒュ~~~~!ピッタリの攻撃力じゃん!!どんどん撃ち落としてやるぜ!!」

そう言うと、ネルソンはマジックアローでガーゴイルを次々と倒していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ