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Episode 34. 帰り道

「ふう!すっかり焼けて、火も治まったね!!これで一安心!」

トロルロードの集落が燃え尽きたのを見て、マリーがホッと息を吐く。

「そうね!これでアンデッドが発生することもなくなるわね!」

ローズの言葉に、

「では、帰途につくといたしましょうか。帰りも別々でよろしくて?」

スカーレットがマリーたちに聞く。

「うん!それでお願い!」

マリーが言うと、

「では、私たちは泉に寄って...お嬢様、楽しみですね!特に戦闘の後は燃えますから...」

「ワカクサ!!いい加減になさい!!」

ワカクサの言葉にスカーレットが噛みつく。もう見慣れた光景だ。

その様子を微笑ましく見ながら、

「じゃあ、私たちはまっすぐ帰るね!!」

とマリーが言った。すると、

「...今日は邪魔して悪かったですわ!帰りにどこかで続きをやってちょうだい!」

スカーレットが目を逸らしながらそう言う。

その様子を想像してしまったのか、ほんのり頬が染まっていた。

「わ、わ、私たちはそんなんじゃ!!」

「そ、そうよ!!あたしはマリーの為を思って...」

マリーとローズが真っ赤になって反論するが、その言葉を聞いたスカーレットは、

「ふふふ。恥ずかしがり屋さんですのね!わたくしたちは分かっておりますから気になさらずに!」

そう言ってウインクするとワカクサと共に去っていく。

「もう...スカーレットちゃんったら...」

マリーの目がローズと合う。

二人は恥ずかしくなって目を逸らせてしまった。


☆彡彡彡


「スカーレットちゃん、なんか誤解してたみたいだね!」

トロルロードの集落からの帰り道、マリーがローズに話しかける。

「...そうね...」

小さく呟く、ローズ。

しかし、マリーはそれに構わず、

「でも、わ、わ、わ、私は...誤解じゃなくても...」

真っ赤になりながらそう言うが、その言葉を聞いていなかったのか、ローズがマリーに聞いてくる。

「どうしてそんなことしたの?」

「えっ?!」

マリーは意味が分からない。

「だって、ローズちゃんが『捲れ』って言うから...」

そう答えると、

「そうじゃなくて!!」

ローズが怒ったように言う。

「どうして下着を...その...」

しかし、続きを話そうとして恥ずかしくなってしまったようだ。

顔が赤くなり、声も小さくなっていく。

「!!」

その言葉を聞いたマリーも真っ赤になる。

「「・・・」」

しばらく無言で歩いていた二人だったが、ローズが口を開いた。

「言いたくないんだったら別にいいけど...」

そう言うが、マリーは決心したように話し出す。

「あ、あのね!今まで、大きな戦いの後はいつも...その...見てもらってたでしょ?」

最後の『見てもらってた』の所でマリーはまた、赤くなってしまった。

「う、うん...」

ローズも赤くなりながら答える。

「き、今日もそうかなって...だから昨日、体を綺麗に洗って、そして『どの下着がいいかな』っていっぱい悩んだの!!」

「そ、そうなんだ...」

マリーの説明に、その様子を想像してしまったのか、ローズの顔がいっそう赤くなる。

「でも...決まらなくて...いっそのこと『無し』でいいかなって...どうせ...全部脱いじゃうし...」

「・・・」

真っ赤になってそう言うマリーにローズはなんと答えていいものか分からない。黙っていると、

「軽蔑した?」

マリーがそう言って顔を伏せる。

「年頃の女の子が服の下に何もつけずに...変態だよね...」

そう続けて悲しそうな顔をする。するとローズは、

「そんなことない!!あたしがマリーを軽蔑するなんて有り得ない!!」

大声でそう言った。

「で、でも...」

驚いてローズを見つめたマリーだったが、やっぱり心配なのか、また俯いてしまう。

「あたしが言いたいのは、『他の人に見られたらどうするの?』ってこと!!マリーがそんなことになったら...あたし...」

ローズが涙ぐむ。

「ローズちゃん...」

その様子を見たマリーが、申し訳なさそうな、それでいて少しうれしそうな顔でローズを見つめる。

「さっきだって、下手したらスカーレットに!!」

ローズの声はもはや金切り声になってしまっていた。

「ゴメン!!ゴメンね!!そこまで考えてなかった!!...ホントにゴメン...」

マリーがそう言ってまた顔を伏せてしまう。

「...いいの。マリーが一生懸命、考えてくれたことはうれしいわ!だからそんな顔しないで!!...でも、もうこんなことしちゃダメよ!!」

その様子を見たローズは逆に落ち着いたのか、優しく微笑みながらマリーに言う。

「うん!!もう絶対にしない!!私の全てを見ていいのは...」(ローズちゃんだけ...)

「うん!そうね!」(将来の旦那様だけかぁ...いいなぁ...ってあたしも見てるんだっけ...違うの!!これはマリーの純潔を守る為!!数には入らないのよ!!)

そう言って、心に誓うマリーと羨ましそうな顔をするローズだった。



それから二人はおしゃべりをしながら歩いていく。

やがて夕方が近づくと、

「...もうすぐ見えづらくなっちゃうね...」

急にマリーが呟いた。

「ん?そうね!魔物には注意しないと!!」

ローズはマリーの意図が分からなかったようだ。とりあえずそう言うと、

「今日はあそこ...確認してもらってないね...」

マリーが頬を染めながら呟く。

「マリー...」

じっとマリーを見つめるローズ。

「見て...私の...ここ...」

そう言うと、マリーはローブの裾を捲り出す。

「ダ、ダメよ!!こんな所で!!」

しかし、ローズはしゃがみこんでマリーの露わになった場所に顔を近づけていくのだった...


☆彡彡彡


その夜。

(マリーの、今日も可愛かったなぁ...)

ローズはベッドで夕方のことを思い出していた。

(じゅ、純潔も確認できたし...これからもこんな日々が...)

次を考えると体が火照ってくる。

(マリーが結婚するまであと5、6年はかかるわよね!!それまではあたしがしっかり守ってあげないと!!...純潔を...)

そう考えると顔が赤くなるのが自分でも分かった。

(マリーの結婚相手はあたしがしっかり精査しないとね!!容姿・性格・将来性、全てが高いレベルじゃないとマリーには釣り合わないわ!!)

ローズは心を新たにするが、

(で、でも、そんな都合のいい人がそうそう現れるわけは...その場合、マリーはずっとあたしのもの?)

そう考えると頬が緩んでしまう。

(ち、ち、違うの!!『あたしのもの』って何よ?!あたしはやましい気持ちでマリーを見ているわけじゃ...)

ローズは一人、頭を振っていたが、

(...そういう訳にもいかないわよね...マリーはいずれ将来有望な貴族の側室に...それまであたしはマリーを守る!それだけよ...)

ローズは暗い気持ちで布団を顔まで上げた。



一方、マリーは、

(今日も何もしてくれなかったなぁ...ただ私のを見てるだけ...しっかり洗っていったのになぁ...)

ローズが見るだけでそれ以上の進展がないことに悩んでいた。

(やっぱり、私の気に入らないんじゃ...でも、その割に何度も見てくれるし...)

マリーはローズの気持ちが分からなくなってくる。

(も、もしかして今日は草原の中だったから?!...私、あんな所であんな格好を...)

見通しの良い場所で恥ずかしい行動をしてしまったことを思い出すと顔が赤くなってしまう。

(こ、今度は二人きりになれる場所で...って今がそうじゃない!なんで来てくれないの??)

マリーは悲しくなってしまった。

(き、きっと疲れてるからだよね!!ローズちゃんは激しく戦ってるし...うん。きっとそうだよ!!)

マリーは自分をそうやって納得させた。

(ハンナも『ゆっくり時間をかけて』って言ってた!!定期的に全てを見てもらえるなんてすごい進歩だよ!!この調子で頑張ろう!!)

マリーは心を新たにすると、布団に深く潜り込むのだった。


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