表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/59

Episode 30. アンデッド退治

「ピュアリファイ!!」

ワカクサが浄化魔法を唱える。

多くのアンデッドが光となって消えていった。

「すごい!!全くダメージを与えてない魔物まで...」

マリーはレベル10の浄化魔法の威力に目を見張る。

「低レベルのアンデッドならダメージを与える必要すらありません。もちろん、高レベルの魔物になるほど、浄化は難しくなりますが、それでも4分の1まで体力を減らせば大抵、浄化できます」

ワカクサがいつものように淡々とした表情で説明してくれる。


「よっと!」

<スバン!!>

ローズの一撃でスケルトンがバラバラになる。

しかし、バラバラになった骨が元通りにくっつき、元に戻ってしまった。

「そんなにダメージを与えてはいけませんわ!!ワカクサが浄化してくれますから、軽くでいいのです!」

スカーレットがそう言いながら、ゾンビを軽く撫で斬った。

「グワ~~~!!」

斬られたゾンビが襲いかかってくるが、

「ピュアリファイ!!」

ワカクサの魔法でゾンビが消え失せる。

「難しいわね!これでも手を抜いてるんだけど...」

ローズはちょうどいい手加減に苦労していた。

「ここはわたくしたちに任せて、奥の屋敷跡を見てきてくださる?」

スカーレットがそんなローズを見て言う。

「悪いわね!やっぱりついてきてもらって正解だったわ!!...マリー!行きましょう!!」

「うん!!」

ローズがマリーを伴って集落の奥へと走る。

「もし、強力なアンデッドがいたら無理をしてはいけませんわよ!!わたくしたちもすぐに向かいますから、それまで攻撃は控えてくださいましね!!」

スカーレットがローズの背中に向かって叫ぶと、

「分かってるわ!!あたしにはアンデッド退治は向いてないみたい!!頼りにしてるわよ!!」

ローズは走りながら振り返り、にっこり笑って去っていった。

「手を抜いてあれですか...全く、上には上がいますわね...」

スカーレットはそう言って、寂しそうな顔をした。

「お嬢様にはお嬢様の良さがあります。私は分かっていますのでお気を落とさずに...」

その様子を見たワカクサが元気づける。

「分かってますわ!!雑魚アンデッドはさっさと倒して、あの子たちを追いかけますわよ!!」

「はい!お任せください!!...ピュアリファイ!!」

スカーレットとワカクサはみるみるうちにアンデッドを片付けていった。


☆彡彡彡


「何もいないみたいだね!」

トロルロードの屋敷だった場所に入ったマリーたちはがらんどうになった空間を見つめていた。

「・・・」

しかし、ローズはトロルロードの死体があったはずの場所を見つめている。

「どうしたの?」

マリーが聞くと、

「おかしいわ!あれから1週間くらいしか経っていないのにもう骨だけになってるなんて...」

ローズの言葉にマリーが見ると、そこには骨しか残っていなかった。

しかも、トロルロードの骨にしては骨格がおかしな気がする。

「確かにおかしいね!でも何の変哲もない骨だよ!!」

マリーが近づいて手に取ろうとする。

「ダメ!!不用意に近づいちゃ!!」

ローズが叫ぶ。

「えっ?!」

思わず後ろを振り返ったマリーの後ろで骨が動き出し、形を作り出した。

<カチャ!カチャ!カチャ!>

「危ない!!」

ローズがマリーに飛びつき、抱きしめるとそのまま横っ飛びで骨から距離を取った。

<ズシ~~~~ン!!>

ちょうどマリーがいた場所で、重い何かで踏みつけたような音がする。

<ズザザ~~~~!!>

ローズがマリーを庇いながら、背中で着地する。

勢いでしばらく滑っていく音が響いた。

「大丈夫?!ローズちゃん!!」

マリーが心配するが、

「あたしなら大丈夫よ!!さすが魔法の防具ね!これくらいじゃ怪我もしないわ!!」

ローズは安心させるようににっこり笑う。しかし、

「あっ!!」

ローズが思わず声を上げる。マリーがローズのドレスを捲り上げ、背中を確かめたのだ。

「ホントだ!怪我してない!!良かった!!」

マリーが一安心する。

「あの...もういいかしら...」

ローズが真っ赤になりながら恥ずかしそうな声で聞いてきた。

マリーが気づくと、ドレスを後ろから高く捲り上げ、下着が丸見えになっていた。

「ゴ、ゴ、ゴメン!!」

マリーが顔を赤くしながら慌ててドレスを戻す。

「気にしてないわよ!マリーはあたしが心配で見てくれたのよね?」

ローズがまだ赤いままの顔で聞くと、

「も、も、もちろんだよ!!し、下着を見ちゃったのは不可抗力で...」

マリーはしどろもどろになってしまう。

「ふふ。あたしはマリーが心配で全部、見ちゃったものね!そのくらいいいわよ!」

ローズがその様子を可愛く思い、ついトロルロードを倒した後のことを話してしまう。すると、

「あっ!!」

マリーはその時のことを思い出して、真っ赤になってしまった。

その時、

<ズシ~~~~ン!!>

また、何かが踏みつける音。

しかし、ローズはマリーを抱きかかえると、サッと避ける。今度は余裕があったようで慌てた様子はない。

「その話は後よ!!コイツは...」

ローズが踏みつけてきた骨の塊に目を向ける。マリーも同時にそれを見つめていた。

「ドラゴスケルトン...」

ローズが巨大な魔物の名前を呼ぶ。

その魔物は骨だけでできているが、紛うことなきドラゴンの形をしていた。

「ドラゴスケルトン...これが...」

マリーが怯えた顔で魔物を見つめる。

それもそのはず、ドラゴスケルトンは本物のドラゴンと同じだけの身体能力を持つ。

ブレスは吐けないが、その代わり、体が骨だけで出来ている為、防御力が非常に高い。

特に斬撃や刺突には強い耐性があった。

「まさか、アンデッドの最上位種に出会うとはね...」

ローズもさすがに焦っているのか、額に汗が流れている。

「ど、どうするの?私の魔法じゃ...」

マリーがローズに聞くが、

「一旦、撤退よ!!スカーレットたちと合流しましょ!」

「うん!!」

ローズの言葉にマリーは同意し、二人で出口に走った。しかし、

<バキバキバキ!!>

出口が崩壊する。

ドラゴスケルトンがその長い尻尾で出入口を破壊したのだ。

「くっ!!逃がさない気ね!!そこまでいうならやってやろうじゃない!!」

ローズは逆に闘志に火がついたようだった。

ドラゴスケルトン目がけてジャンプすると、重い一撃を食らわす。

<バキ~~~~~ン!!>

「くっ!!」

思わず、ローズの顔が歪む。

骨が硬くて思うようにダメージを与えられないようだった。

「仕方ないわね!!スカーレットたちが来るまで凌ぐわよ!!」

そう言うと、ローズはマリーに攻撃が行かないように、積極的に斬りかかっていくのだった。


☆彡彡彡


<バキバキバキ!!>

目の前でトロルロードの屋敷の入口が崩壊する。

「くっ!!中で何が起こっていますの?!これはただ事ではありませんことよ!!」

スカーレットがその様子を見ながら叫んでいた。

「これはかなり強力なアンデッドがローズさんたちと交戦しているようですね。真っ先に思い浮かぶのは...ドラゴスケルトン!」

ワカクサが答える。

「ドラゴスケルトン?!バカみたいに硬い上に、斬撃に耐性がある。しかも驚くほどの体力を持っている...レベル1の浄化魔法で浄化できるまで体力を削るのは...」

「ええ。いくらローズさんでも難しいかと...」

スカーレットの言葉をワカクサが引き取った。

「とにかく助太刀しますわよ!!入口をこじ開けて...」

スカーレットが崩れた入口に向けて剣を振り上げた時、

「!!(アンチ)魔法(マジック)障壁(フィールド)!」

何かに気づいたワカクサが防御魔法を唱える。その瞬間、

「ファイアウォール!!」

<ゴォォ~~~~~!!>

無機質な声と共に、辺りを火炎が覆い尽くした。

「まさか!!」

スカーレットが振り向くとそこにいたのは...スケルトン系の魔法使いの最上位種・リッチだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ