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Episode 3. 冒険に出よう!

「おはよう!ハンナ!!」

翌朝、マリーはローズと共にギルドにやってきた。

「あら、二人揃ってご出勤?」

その様子にハンナが冷やかすと、

「えへへ~~~!実は昨日から一緒に住んでるんだ!今日も朝ごはん、作ってあげたんだよ!!」

マリーが恥ずかしそうに言う。しかし、その頬は緩んでいてうれしいのがバレバレだった。

「へぇ!急接近じゃない!!いつの間にそんな関係になったの??」

ハンナが興味深そうに聞くと、

「紛らわしいこと言わないでくれる?一緒にいた方がパーティの意思疎通が便利だからそうしてるだけよ!大体、女同士何か問題があるの?」

ローズが煩わしそうに言った。

「そ、そうだよね...昨日の夜も何もなかったし...」

寂しそうに俯くマリーにハンナが囁いた。

「焦っちゃダメよ!今は片思いだけど一緒に時間を過ごせるというのはすごいアドバンテージなの!!このままゆっくり関係を深めていけば、いつかきっと...」

「そうだよね...私、焦りすぎたかも!じっくり頑張ってみる!」

「ファイト!!」

そう言って囁き返したマリーをハンナが励ました。


「何をこそこそ話してるの?それより今日は依頼を受けに来たんだけど...」

ローズが二人の様子を見て、機嫌が悪そうにそう言うと、ハンナはお仕事モードに戻り、敬語で申し訳なさそうに言った。

「あ~~~!お二人はまだ冒険者としての経験が浅いので『仮免』扱いです。ですので通常の依頼をこなすことはできません」

「えっ!じゃあ、どうするの?」

マリーが尋ねると、

「とりあえず定常依頼でポイントを溜めて、仮免を卒業してもらう必要があります」

ハンナの説明に、

「そうだったのね...今まで他のパーティに入っていたから知らなかったわ!」

今まで何度も他のパーティで依頼を受けていたローズも初耳のようだった。

「『定常依頼』って?」

再びマリーが聞くと、

「常時、ギルドで取り扱っている依頼です。魔物の討伐とよく使われる素材の採取で、これは達成した分、報酬とポイントが出ます」

それを聞いたローズは、

「じゃあ、強い魔物を倒しまくったらいいのね!」

と早速、飛び出そうとするが、ハンナに止められてしまった。

「待って下さい!仮免者だけのパーティは安全の為、倒していい魔物が決まっています。それ以外の魔物を倒すと逆にペナルティでポイントが減ります!」

「なんでそんな決まりがあるのよ!!」

ローズは怒っているが、

「優秀な冒険者はほぼ全員が、他のパーティで経験を積むのでこの規定に意味はありません。この規定があるのは未熟で他のパーティに入れてもらえない冒険者の為です」

「つまり、未熟な冒険者が早く仮免を卒業しようと無理な戦いで命を落とさない為に...」

マリーはこの規定の意味を理解したようだった。

それを確認したハンナは説明を続ける。

「はい。仮免のパーティが倒していいのはスライムとゴブリンのみです」

「それじゃ、なかなかポイントが溜まらないじゃない!!」

ローズはイライラしているようだが、

「規定ですので...しかし、ローズさんは他のパーティである程度ポイントを溜めてますので、後、数百ポイント溜めてもらったら...」

ハンナがなだめようとするが、

「数百ポイント?!スライムとゴブリンって1ポイントじゃない!!数百匹、倒せっていうの??」

ローズの怒りは収まりそうにない。

「だ、大丈夫だよ!ローズちゃんが魔物を倒している間に私が素材採取をするから...ポイント対象の素材って何?」

マリーがそう言って、なんとかローズをなだめたのだった。


☆彡彡彡


「じゃあ、私はその辺で薬草の採取をしてるね!ただ、私、魔物倒せないから、あんまり遠くに行かないでね!!」

街から出てしばらく行ったところにある草原でマリーはローズにそう言った。

「よ~~~し!倒しまくるわよ!!あっ!あそこのパーティ、ゴブリンの群れに遭遇しそう!!急がないと!!」

そう言うと、ローズはすごい速さで駆け出していった。

「すごいなぁ...ローズちゃんは...私、気づかなかった...」

そう言って感心しながらも、

「私に出来るのは薬草の採取だけだしね!頑張るぞ~~~~!!」

両手でガッツポーズをするとマリーは薬草を探し始めるのだった。


「あっ!あった!これだよね!昔、怪我した時に使ったからよく覚えてる!」

そう言って、『癒し草』を丁寧に根っこから引き抜くと、持ってきた籠に入れた。

「あっ!こっちは『解毒草』だよね!葉っぱの先が紫色になってる!」

順調に素材を採取していくマリー。やがて、

「こ、これは『催淫草』...素材リストには無いけど、こっそり持ち帰って、夕飯に混ぜたらローズちゃんは...」

思わず、良からぬことを企んでしまう。

「ダ、ダメだよ!!ハンナの言う通り、ゆっくり関係を深めていかないと!焦っちゃダメ!焦っちゃダメ!」

そう言って、名残惜しそうにその場を離れたのだった。


「ふう...大分、集まったね!」

マリーの籠にはもう十個くらいの薬草類が入っていた。

探し疲れたマリーは少し休憩することにした。

「ふう...疲れた...」

草原に大の字になって寝転がるとふと良い香りがしてくるのに気づいた。

「あっ!この花、いいにおい!それに綺麗!」

名もないオレンジの花を気に入ったマリーは一輪、摘んで髪に挿してみた。

「ふふふ。ローズちゃん、気づいてくれるかな?」

そんなことを考えると、うれしいような心配なような気持ちになってくる。

その時、草原に風が吹き抜けた。

「ふう。風が気持ちいい!」

草原には常にそよ風が吹いていた。時折、強めの風がくる。

「・・・」

マリーは何か思いついたようだ。どうしたわけか顔がほんのり赤くなっている。

「誰も...いないよね...」

周りを見回し、人も魔物もいないのを確かめたマリーはそっとローブの裾を握った。

ローブは紺色の麻製で、やや分厚い。

魔法のかかっていない普通の布製品にはそのくらいの強度が必要だった。

風を感じるにはやや物足りない。

マリーはローブを少し捲った。

その時、また強めの風が吹いてくる。

「はあ!いい風!!もうちょっと捲ったら...」

マリーが風を感じるたびにローブが少しずつ捲れていく。

膝から太ももへ。

腰から胸へ。

気がつくと首の辺りまで捲り上げ、綺麗な下着姿を晒していた。

(私、こんな所でこんな格好で...)

マリーは真っ赤になってしまう。

しかし、風の心地よさの虜になってしまっていた。

「・・・」

もう一度、周りを確かめたマリーはそっとブラのホックに手を回す。

(下着、汗で濡れてる...外したら...きっと...)

マリーは少し変な気持ちになり始めていた。

そして、正に外そうとしたその時、

「マリー!!いる?!」

突然、ローズの声が聞こえた。


その声に急いで服を直すマリー。

「な、な、な、何!!ローズちゃん?!」

慌てて立ち上がったマリーに、

「あら、ここにいたのね!草の陰で気づかなかったわ!!...なんか顔が赤いけど...どうしたの?」

ローズがマリーに聞いてくる。

「な、な、何もしてないよ!こんな所で変なことなんて!!...私、変態じゃない!!」

マリーは泣きそうな顔で訴える。

「あら。結構、薬草集めたじゃない!頑張ったのね!でもそれがなんで変態になるの?」

ローズは首を傾げている。

「そ、そうなの!!頑張って疲れちゃって、変になったっていうか...なんていうか...」

マリーは苦しい言い訳をするが、ローズは興味がないようだった。

「それより、こっち来て!!大変なの!!」

そう言って、元来た方向へと走っていった。

「待ってよ!ローズちゃん!!私、そんなに速く走れない!!」

マリーは自分に『敏捷性強化(ブーストアジリティ)』のバフをかけると急いで追いかけた。


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