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Episode 24. マリーの憂鬱

「はい、どうぞ!!」

マリーがローズにメインのお皿を差し出す。

「あ、ありが...」

ローズが目を上げると、眼前にはマリーの大きな胸があった。

マリーは深く屈んでいた為、キャミソールが垂れ下がって隙間から下着が見えそうだった。

「!!」

ローズは慌てて目を逸らす。

「・・・」

すると、マリーは悲しそうな顔をして自分の席に戻った。

「こ、この肉、美味しいわね!!シェナリーの市場で買ったの?新鮮な豚肉ね!!」

気まずく感じたローズは今日のメニューの話をマリーに振る。

「...うん...」

やっぱりマリーは元気がない。

「...どうしたの?マリー。何かイヤなことでもあった??」

ローズが聞くと、躊躇いがちにマリーが答えた。

「...ローズちゃんは...大きすぎる胸は...嫌い?」

「ブッ!!...んん...ゴホッ!ゴホッ!!」

思わず口の中にあった物を吹き出しそうになったローズだったが、なんとかこらえる。

しかし、大きくむせてしまった。

「大丈夫?!ローズちゃん!!」

マリーが慌てて駆け寄り、背中をさすってくれる。

「だ、大丈夫!それよりいきなりどうしたの?そんな話するなんて!!」

ローズは落ち着くと、心配そうにマリーに尋ねる。

「だって...」

マリーはしばらく黙っていたが、思い切ったように話し始めた。

「き、今日、スカーレットちゃんたちと話してた時、胸を見てたでしょ?...でも...私の胸は見てくれない...」

そう言って寂しそうな顔をする。

「そ、それは!!」

ローズは図星だったのか気まずそうな顔をする。

「もしかして私よりスカーレットちゃんの方が...」

マリーが泣きそうな顔で訴えると、

「そんな事ない!!」

ローズは真顔で答えた。

「じゃあ、なんで!!」

マリーが珍しく大きな声を出すと、

「...実は...リボンが...」

ローズが恥ずかしそうに呟く。

「リボン??」

マリーは意味が分からない。

「...笑わない??」

ローズが心配そうに聞く。

「私がローズちゃんを笑うなんて有り得ないよ!!」

そう即答するマリーにローズは話し始める。

「その...スカーレットのドレスの胸元に大きなリボンが結んであったじゃない?...その...可愛いなって...」

その顔は恥ずかしさの為か真っ赤になっている。

「えっ?!じゃあ、見てたのは...」

「そう、リボンなの...」

マリーの問いにローズはそう答えた。

「そ、そっか...ゴメン、変なふうに取っちゃって...確かに可愛かったよね!!...そ、そっか!ローズちゃんはああいうのが...私も...」

マリーが何か呟いている。

「どうしたの?マリー!」

「な、なんでもない!!」

ローズに聞かれたマリーは慌てて誤魔化す。するとローズは、

「それならいいけど...でもカッコ悪いとこ見せちゃったわね!」

そう言って決まり悪そうにしていた。

「そんなことないよ!!女の子は可愛いのが大好きだもん!!見てたことは多分、気づかれてないから大丈夫!でも今度からは気をつけてね!」

「分かってるわよ...」

マリーに説教されて、少しバツが悪そうなローズだった。

「で、でも...私のは見ていいからね!!」

マリーが恥ずかしそうにそう言う。

「何を??」

不思議に思ったローズが聞くと、

「分かってるくせに!!ローズちゃんの意地悪!!」

マリーは機嫌を損ねてしまうのだった。


そして普段の様子に戻った二人は楽しく夕食を取り、やがてローズが席を立つ。その時、

「あ、あの!!あたし、マリーの胸は素敵だと思うわよ!!女のあたしが見ても羨ましいくらい!!だから...その...自信持って!!」

そう恥ずかしげに言うと、ローズは自分の部屋に入っていった。

「ローズちゃん...」

マリーはその言葉に、じっとローズの部屋のドアを見つめていたのだった。



そして、後片付けが終わり、部屋に戻ってきたマリーはそっとキャミソールを脱ぐ。

さらにブラのホックに手をかけるとそれも外した。

姿見で自分の姿を眺める。

「これは...ローズちゃんのものだよ!!好きにしてくれて...いいのにな...」

そう言って頬を染めるのだった。そして、

「もっと見てもらう為には...」

そう言うと、裁縫道具を取り出し、何やら作業を始めるのだった。



一方、部屋でベッドに潜り込んだローズは考え事をしていた。

(もう!!マリーったら、たまに変なこと言い出すんだから!!)

夕食時の会話が頭から離れない。

(あんな綺麗な体してるのに、なんで劣等感持ったりするのかしら?)

ローズはマリーのありのままの姿を見た時の事を思い出す。

顔が真っ赤になり、体が熱を帯びているのが感じられた。

(スカーレットは確かにスタイル良かったけど、マリーとは比べ物にならないわ!!)

そこまで考えて、ある可能性に気づく。

(そっか...マリーは顔も可愛いし、スタイルは多分、王国でもトップクラス。それに性格も大人しいときてる...当然、お嫁の貰い手もたくさんいるわよね...)

そして最高のシチュエーションを考えてみる。

(あたしたちのパーティが有名になれば、貴族や王族とも繋がりができるかもしれない...そしたら...貴族や王族に求婚されるなんてことも!!)

それは今まで考えたことのない可能性だった。しかし、現実性は高いように思われた。

(マリーの家柄では正妻は無理。でも、側室にはなれる。あの容姿と性格なら寵愛されるのは間違いないわ!!それで嫡子でも産めば...)

そこまで考えて、ふと寂しくなる。

(でも、そうなるとあたしとマリーはいつか別れることに...)

しかし、ローズは気を取り直す。

(まあ、マリーにとってはそっちの方がいいかもね!!あたしが言うのもなんだけど戦い、好きそうじゃないし!!)

そう思うと少し明るい気持ちになった。しかし、

(でも...そうすると新しいパートナーを見つけないと...マリー以上の子は無理としても、あたしについてきてくれる子、いるかな...)

やっぱりブルーになってしまう。そんな気持ちを振り払うかのように首を振るとローズは声に出して言った。

「どっちにしてもまだまだ先の話よね!!それまではマリーはあたしが守らないと!!」

そして、顔を赤くすると話を付け加えた。

「マリーの...じゅ、純潔も...守って...あげるからね!」

そう口にした途端、顔からボッと湯気が出たような錯覚に襲われる。

そのくらい顔は真っ赤になり、体が熱くなっていた。

「何、考えてるのかしら!!あたし、今日はちょっと変!!早く寝ないと!!明日は北の丘に向けて出発よ!!」

そう言うと、ギュッと目を閉じ、頭を空っぽにすると布団に深く潜り込むのだった。


☆彡彡彡


翌朝、

「ど、どう??」

マリーが自分のローブをローズに見せている。

その胸元には大きなリボンがつけられていた。

「そ、そうね!!可愛いけど、マリーにはもっとシンプルなのが似合うんじゃないかしら?...その...元がいいから...」

リボンを見ると目に飛び込んでくるマリーの大きな胸に、ローズは思わず照れくさくなり、視線を逸らしてしまう。

「...スカーレットちゃんのは見てたのに、私のは見てくれないんだね...」

マリーが顔が沈む。それを見たローズは、

「そ、それは意識してないから...あっ!!」

自分でも想定外だったのか、ローズが驚いた顔をする。

「えっ?!」

マリーがその意味を聞いてくるが、

「その...マリーのは...下着の下も見てるから...そ、想像しちゃって...」

ローズの顔が赤くなる。誤魔化したつもりがもっと恥ずかしいことを言ってしまった。しかし、

「そ、そっか!!私たち、そんな関係だよね!!私、何を焦ってたんだろ...」

その言葉を聞いたマリーの顔が明るくなる。

「これはいいや!邪魔だもんね!!」

そう言って、ピンで留めたリボンを外す。

そしてローズの手を取ると、玄関に向けて歩き始めた。

「じゃあ、行こ!!」

「ちょっとマリー!!腕が胸に当たって...」

ローズが真っ赤になりながら戸惑っているが、

「ふふふ!」

マリーはうれしそうに笑いながら更に胸を押し付けるのだった。


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