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Episode 20. 木陰で休憩

「あ~~~~!!生き返る!!」

水筒から水を飲むとローズが心底、幸せそうな声を上げる。


ここは、街道から少し離れた場所にある木陰。

朝から歩きっぱなしの二人は、ここでしばらく休憩を取ることにした。

地面には大きな布が敷かれている。マリーが気を利かせて持ってきたものだ。

周りは大草原で風が吹きわたり、気持ちがいい。

また、見晴らしがいいので魔物の警戒にも持って来いだった。


「ローズちゃん、頑張ったもんね!!たくさん飲んで!」

マリーがその様子を微笑ましそうに見つめている。

「ぷはぁ!冒険の合間の水は最高の御馳走よね!!マリーも飲むでしょ?」

ローズはそう言って、マリーに水筒を渡す。

「えっ!!いいの?!」

なぜかひどく驚いた様子のマリーにローズは言う。

「マリーも長時間、歩いて喉渇いたでしょ?いいも何も二人の水だし...」

マリーたちは水筒を一つしか持ってきていなかった。

個別に持ってもいいのだが、荷物がかさばるので二人分、まとめて入れてきたのだ。

足りなくなれば、転移石でいつでも家に補充に帰れるので問題なかった。

「・・・」

じっと水筒の口を見つめるマリー。

しかし、すぐに思い切ったような顔をすると、水筒に口をつける。

(さっきまでここにローズちゃんのお口が...)

マリーの顔が赤くなる。

水というよりも水筒の金属の味を強く感じる自分がいた。

「はぁ...はぁ...」

荒い息づかいのマリー。

その様子を見たローズは、

「もう!マリーったら!!そんなに頑張って飲まなくても水は逃げないわよ!!」

そう言って笑う。

しかし、マリーはそんな言葉など聞こえなかったように、躊躇いがちに口にした。

「あ、あの...と、とっても...良かったよ...次はローズちゃんが飲んで!」

水筒を差し出すマリーの頬が赤い。目も潤んでいた。

「えっ!あたしはさっき飲んだけど...じゃあ、もう少しだけ...」

そう言ってローズが水筒に口をつける。

(ロ、ローズちゃんが...私の...口をつけた場所を...)

マリーの目がローズの口に釘付けになる。

「はあ!やっぱりいいわね!!」

ローズの言葉を聞いたマリーは、

「よ、よかった??...うれしい...」

そう言って幸せそうな顔で微笑んだ。

「ふふふ。大袈裟ね!マリーは!!」

ローズも思わず笑顔になってしまう。

二人はしばらく笑顔で見つめ合った...双方に解釈の違いは存在したが...


「あっ!焼き菓子あるんだ!!食べよ!!」

マリーが背負い袋からお菓子を取り出す。


こういう事が出来るようになったのも、ドラゴンを倒して大金を手にしてからだ。

それまでは一日、二食。

パンと野菜中心の料理のみ。タンパク源はハムとチーズくらいだった。それもあまり多くは食べられない。

しかし、今は鶏や豚などの肉料理も食卓に上るようになり、お昼に間食を取る余裕もできた。

金貨100枚は現在の日本の通貨に換算すると一千万円近くになる。

魔法の防具で半分以上、使ってしまったが、それでもかなりの額が残っている。

先の見えない冒険者生活とはいえ、仮免の時代とは雲泥の差があった。


「あっ!ありがと!!これ美味しいのよねぇ...こんなものが食べれるようになるなんて...」

ローズはマリーからお菓子を受け取ると、うれしそうにかじりつく。


お菓子もまあまあ高価な為、貧乏人には高嶺の花だ。

普通の庶民も何か特別なことがあった日に食べるくらいだった。

マリーたちは今は毎日でも食べられる。


お腹が満たされると、ローズは少し眠くなったようだ。

「ふぁぁぁあ!あたし、ちょっと寝ようかしら?...悪いけど見張りお願いできる?」

ローズはそう言うと、ゴロンと横になる。

そして、背負い袋を枕にして眠りだした。



「ス~~~~...ス~~~~...」

ローズが気持ちよさそうに寝ている。

(ふふふ!ローズちゃん、頑張ったもんね!!...でも可愛い寝顔...)

マリーは微笑ましげにその様子を見ていたが、やがてその寝顔の虜になる。

(もっと...近くで...)

マリーはローズに近づくと、顔を至近距離で眺め始めた。

(綺麗...すべすべでくすみ一つない...可愛いな...恋人になったら毎晩、見てられるのかな?)

マリーはそんな事を考えてしまう。

その時、一際強い風が吹きわたった。

「わぁ!気持ちいい!!」

ずっと歩いてきて疲れた体にその風はとても心地よかった。マリーはつい声を出してしまう。

「うう...ん...」

それに反応したのかローズが軽くうめく。

(いけない!!静かにしないと!!)

そう思ったマリーが、ローズの顔から離れる。

そしてローズの全身を見ると、

「っっ!!」

危うく、大声を出すところだった。

というのも、ローズのドレスが風で腰まで捲れ上がり、下着が丸見えになっていたのだ。

(な、直してあげないと!!)

マリーはローズの腰の辺りに移動する。そして、

(可愛い...ローズちゃんの下着姿、こんな近くで見るの初めて...)

ローズのつけた可愛い下着に見入ってしまった。

(いけない!!そうじゃなくて早く、直してあげないと!!)

マリーは軽く首を振って邪念を吹き飛ばすと、ローズのドレスの裾に手をかける。

その時、顔がローズの下着のすぐそばにまで近づいてしまった。

(ロ、ローズちゃんの...ここ...こんなに...顔を近づけて...)

マリーは真っ赤になるが、そこで、

(あっ!下着がほつれてる!!...今なら直せるけど...)

ローズの下着のほつれに気づいてしまった。

ハサミで切ってやればとりあえずは大丈夫だろう。後で繕ってやればいい。しかし、裁縫道具は家に置いてある。

(一度、家に戻って...って転移石はローズちゃんの背負い袋の中!!今、枕にしてるから、取ろうとしたら起こしちゃう!!)

その方法は使えなかった。

(ど、どうしよう...今、直さないとほつれが広がって...買ったばかりなのに...)

マリーは迷ってしまう。

(ローズちゃんが起きてから...ってどう説明するの?!下着、見たのがバレちゃうじゃない!!)

そして考えた末、ある結論に思い至った。

(わ、私、今日はローズちゃんとお揃いの下着だよね...)

マリーの顔が真っ赤になる。

(わ、私のをはいてもらって...私がローズちゃんのをつけたら...私はそんなに激しく動かないから、今日一日くらいは大丈夫かも...)

要するに二人の下着を交換しようということだ。それの意味するところを考えると、マリーは躊躇わずにはいられなかった。

(わ、私はいいけど...ローズちゃんは私のなんか、はきたくないよね...)

そう思いながらも、ローブの中に手を入れると、スッと下着を下ろした。

そして広げて汚れを確かめる。

(だ、大丈夫...だよね...)

注意深く見たら、気づくかもしれないが、普通に見る分には綺麗なままだった。

(においはと...)

下着に鼻を当て、大きく息を吸う。

(大丈夫!...多分...)

注意してにおいを確かめたが、気になるほどではなかった。

(・・・)

じっとローズの下着を見つめるマリー。

しばらく踏ん切りがつかなかったが、ついに心を決めた。

(これはローズちゃんの為なの!!)

そして、まずはドレスの裾を直す。

(こ、このままじゃ見えちゃうもんね!!将来はお互い見せ合うことになるとは思うけど...今は...まだ...)

そう頬を染めながら考えるマリー。しかし、時間をかけるとローズが起きてしまうかもしれない。

(えいっ!!)

マリーは思い切ってローズのドレスに手を突っ込むと下着を下ろした。

(こ、これが...ローズちゃんの...脱ぎたての...)

思わず下ろした下着を見つめるが、

(ダ、ダメ!!今はとりあえず、急がないと!!)

そう考えると自分の脱いだ下着をローズにはかせる。

(わ、私のつけた下着を...ローズちゃんが...)

そして、今度はローズの脱いだ下着をそっと身につけた。

下着がそこに触れた瞬間、

(ロ、ローズちゃんの...あそこに触れた布が...私の...ここに...)

マリーは真っ赤になる。体が火照ってくる。

目を閉じていると、頭の中が変な気持ちでいっぱいになりそうだった。その時、

「んん...マリー?そばにいてくれたの?」

ローズが目を覚ました。

「ロ、ロ、ロ、ローズちゃん!!わ、わ、私、仕方なく!!決してやましい気持ちでしたわけでは!!」

マリーが慌てて言い訳をする。

「ん??何の話?...まあ、いいわ!ひと眠りしてスッキリしたわ!!でもなんかドレスの中の感覚が...」

ローズは首を捻っている。

「な、な、なんでもないよ!!気のせいじゃない?!それよりもう大分、時間も経ったし、出発しない?!」

その様子を見たマリーが大慌てで言う。

「そうね!汗に濡れてた下着が乾いてる気がしたんだけど...多分、寝てる間に乾いたのよね!さあ、出発よ!!」

「う、うん!!」

そう言うローズの言葉を受けて、マリーは大急ぎで荷物を片付けるのだった。


そしてその日の道中、マリーの意識はある一点に集中していた。

(ローズちゃん...ローズちゃんを感じるよ!...いつか...布越しじゃなく...直接...)

そんなことを考えながら顔を真っ赤にしているのだった。


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