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Episode 14. マスターの謎の行動

「ハンナ~~~!!ドラゴン倒してきたよ~~~~!!」

ギルドにうれしそうにマリーが飛び込んでくる。

「そう。待ってたわ!それでマスターは?」

ハンナは特に驚くこともなく、冷静に返事をすると、マスターについて尋ねてきた。

「マスターならあたしにこの剣を渡した後、去っていったけどここに戻ってないの?」

遅れて入ってきたローズが腰の剣を見せながら答える。

「あら?これは失礼しました。知らないのなら結構です」

ハンナはローズたちにそう答えながら思っていた。

(マスター、どうしたのかしら?隠れて倒すのを手助けしたとか?それにしてもマリーたちより遅いのは変ね...)

黙ってるハンナを前に、マリーが饒舌に話し出す。

「ローズちゃん、すごかったんだよ~~~!!ドラゴンのブレスを華麗に躱して、重い一撃を首にドカン!!」

「も、もう!マリーったら!...最初は苦戦してたじゃない!マリーの機転のおかげで勝てたのよ!!」

ローズが恥ずかしそうに話に割り込む。

(やっぱり、マスターが隠れて何かしたのね!)

そう思ったハンナは、

「そうですか。それは良かったです!...しかし、詳しい報酬等はマスターが戻ってからでないと...」

と言って、とりあえずマスターが戻るまで二人には待ってもらうことにした。

「そりゃそうよね!これだけの案件なんだから!...で、マスターはいつ戻るの?」

ローズが聞くと、

「それが今朝からお姿が見えなくて...もしかしてお二人なら知っているかと思ったのですが...」

とハンナは答える。

「どうしようか?」

マリーがローズに相談すると、

「今日は疲れたから明日にしましょ!マリーも疲れてるでしょ?!別に報酬は逃げないし...」

と言ったので、

「そうだね!じゃあまた明日来るよ!またね!ハンナ!!」

マリーはそう言ってローズと帰っていった。


「ふう。今日は随分、ご機嫌ね!何か進展があったとか...ふふふ!」

ハンナは珍しくマリーが快活にしていたのを思い出して笑う。

「それにしてもマスター、遅いわね。ドラゴンの死体でも調べてるのかしら?」

そう言いながらマスターを待っているが、なかなかマスターは帰ってこない。

マスターが帰ってきた頃にはもう日が暮れていた。


「遅かったですね、マスター。何かあったんですか?」

ハンナが聞くと、

「ああ、ちょっと気になった事があったんで調べに行ってたんだ。そしたらドラゴンの群れと遭遇してね...一苦労だったよ。私も老いたな...」

そう言うと、手に持った一組の銀色に輝く石を見つめていた。

「その石、なんですか?それに『ドラゴンの群れ』って...もしこの近くにそんなものがいるのなら...」

ハンナが慌てるが、

「いや、ずっと北の国境の近くの山脈だ。もともとドラゴンの生息地だし、気にする事はない」

そうマスターが言う。

「えっ!国境の近くって...馬でもひと月はかかりますよ!!」

ハンナが驚くが、

「まあ、そこはちょっとからくりがあってね!悪いけどハンナ君には教えられない。悪く思わないでくれ!」

マスターはすまなそうに答えた。

「...そうですか...まあ、マスターの事は詮索しない契約になっていますので構いません。それより、夕方、マリーとローズさんが来ましたが...」

ハンナは少し微妙な顔をしたが、雇われの身なので気にしない事にしたのだろう。話を変えた。

「ああ。ドラゴン討伐の報告だろう!私もまさか本当に二人だけで倒すとは思ってなかったよ!!」

そう言って、マスターが愉快そうに笑う。

「えっ!二人だけで倒したんですか?!私、てっきり、マスターが隠れて手助けしたのかと...でもどうやって...」

ハンナが唖然としていると、

「それは後で話してあげよう。きっとハンナ君もマリー君を見直すと思うよ!しかし、今日はもう遅い。ドラゴン討伐の後始末の打ち合わせをしてしまおう!」

マスターはそう言って、ハンナを小部屋に誘った。

「はい!」

ハンナはいろいろ書類を取り出すと、マスターについていく。


ハンナが席に着くと、マスターが話し出した。

「早急に決めないといけないのは、ローズ君たちへの報酬と、倒されたドラゴンの素材の回収だ!」

「そうですね!しかし、この辺りでドラゴンが出たのは今回が初めてですので資料が...」

ハンナが困った顔でそう言うと、

「ああ、私もギルド側としては初めてだが、冒険者の時にもらった報酬や、受けた依頼をもとにざっと決めてしまおうか!」

「はい!」

「処理が済んだら、シェナリーのギルドに確認の手紙を送ってくれ!違っている箇所があったら後で調整したらいいだろう!」

「はい!分かりました!!」

二人はそれからマスターの経験をもとにマリーたちへの報酬とドラゴンの素材回収の依頼内容を決め、今日はお開きとした。


☆彡彡彡


そして翌朝、

「ハンナ!来たよ~~~!!」

マリーがローズと一緒にギルドに入ってくる。

ハンナはギルドの依頼板に多くの依頼の紙を貼っていた。

「あっ!ゴメン!今、手が離せないの!後にしてもらえるかな?ちょっと時間がかかるから出直してもらった方がいいかも!」

ハンナが言うが、

「へぇ~~~~!!『ドラゴンの素材の回収』か...鱗に角、牙に爪。肉まであるのね!あれだけ大きかったら大変なんじゃない?」

ローズが依頼の紙を見ながら口にした。

「そうなんです。盗賊や魔物に荒らされる前に、出来る限り回収しないと...肉は腐りますしね!そのため報酬も破格です!ローズさんたちもどうですか?」

ハンナが仕事の手を休めることなく、ローズにも依頼を持ちかける。

「どうせ待つんだったら、ひとっ走り回収してきてもいいかもね!マリー!行きましょうか!」

「うん!!」

ローズが誘うとマリーもうれしそうに返事をした。

「ふふ。デートみたいね!」

ハンナが微笑ましげに呟くと、

「そ、そ、そんなんじゃ...」

マリーが慌てるが、

「ふふふ。急いでるので依頼の受注は後で構いません。片っ端から持って帰れるものは持ってきてもらえると助かります!あっ!隣で荷車も借りれますよ!!」

ハンナが笑いながら依頼の説明をする。

「じゃあ、早速行きましょうか!」

「うん!!」

ローズとマリーがギルドを出ようとした時、奥の部屋からマスターの声がかかった。

「ローズ君!マリー君!来てたのか!よかったら私から報酬の手続きをしよう。渡したいものもあるしね!」

その声に、

「どうする?ローズちゃん?」

ドラゴンの素材の回収に行く気になっていたマリーはローズに尋ねる。

「ん~~~~...先にマスターの話を聞きましょう!剣も返さないといけないし...」

「あっ、そっか!じゃあ、手続きをしてから依頼に行こうか?」

「そうしましょう!」

二人はそんな会話をするとマスターの待つ部屋へと向かった。


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