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鋼翼蒼路のジュブナイル  作者: 宇奈木 ユラ
第二章 近"王"必"強"のチャレンジャー
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No.018 飛翔(Ⅰ)

 ──瞬間、凛月は宙を落ちる。

 ぞわりとした全身を悪寒が撫でるような、全ての動物が持つ本能が鳴らす警鐘。


「あ、あぁぁぁぁぁッ!!」


 頭の中で鳴るその警鐘を振り切るように叫び、手に握った操縦桿(レバー)を全力で引く。

 ソレに合わせて背部メインスラスターと脚部サブスラスターが全力で推進力を生成し、機体を空へ押し上げた。

 大型の主翼が展開し、瞬時に機体のバランスを整える。


「──飛んだ」


 そうして、ようやく彼女は実感する。


「わ、わたし、私、()()()()()()()()()っ!!」


 故郷の山の、息がつまりそうなほど閉塞感があったあの森。

 木々の隙間からいつも見上げていた、あの空。

 彼女にとって一番身近で、一番遠い()()()()()()()()

 そこに今、彼女はいた。

 非常に感慨深い瞬間ではあったが、浸っていられる時間は少なかった。

 彼女の目の前を()()()()横切る様に、黄色と黒の警戒色をした機体が先行する。

 肩越しにチラりとこちらを見たシグナルイエロー。

 そのある種の挑発に近いアクションに、一瞬で凛月の浮かれた熱が冷める。

 ここが戦場であり、戦いが始まったのだと我に帰った彼女は瞬時に他機体の位置を確認する。

 最も先行しているのは青いレオニーズ・ワン。

 彼は序盤から、かなりハイペースで飛行していた。

 続くシグナルイエローは、二番手の位置をキープしながらゆったりと飛行する。

 前にも後ろにも充分な警戒を払い、誰に対しても何に対しても即座にアクションが取れる様な姿勢を維持している。

 その姿はある種の野生動物を、力を抜いた状態の肉食獣を連想させる。

 最後に、ブリッツ・ティガー。

 彼はレオニーズ・ワン、シグナルイエロー、凛月(ガラテア)の更に後ろに着いている。

 それぞれが安定した飛行で、位置取りを牽制しながら第一チェックポイントへ向かう。

 第一チェックポイントを通過するまでは、()()()

 それぞれが本格的に打って出るのは、そこからだ。

 先頭を飛ぶレオニーズ・ワンが、最初にチェックポイントに触れて──一気に加速する。


「あ!」


 W.G.P.のルール上、第一チェックポイントを通過しなければ戦闘行為は出来ない。

 だからこそ、レオニーズ・ワンは()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()、妨害される前に距離を離し切る作戦だ。

 後続機体の武器の射程外まで一気に先行出来れば、あとは消化試合と化す。

 レオニーズ・ワンはソレを狙った、いやソレに特化した機体だった。

 彼の狙いに気がついた二番手のシグナルイエローは、ライフルの照準を合わせた状態のまま機体を即座に加速させる。

 区域を抜けた瞬間に発砲できるようにする為だ。

 しかし、レオニーズ・ワンは逃げ切ることを念頭においた機体。

 

 ──そんなことは、想定済みだった。

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