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鋼翼蒼路のジュブナイル  作者: 宇奈木 ユラ
第二章 近"王"必"強"のチャレンジャー
17/20

No.016 本性と適正

▽▲▽


「──悪い、無茶させすぎたな」


 緋菜が帰ったあとのガレージにて、ミナトはパイプ椅子に腰掛けてグロッキー状態の凛月に謝罪をした。

 いくらなんでも、女の子にさせる訓練とかじゃなかったと真面目に反省したのだ。

 

「正直、調子に乗ってた」


「み、みーくん?」


 しっかりと頭を下げて謝る彼の姿に、被害者である凛月の方が少し面食らっていた。


「俺の悪い癖だ。自分基準でなんでも考えてしまう」


 自分が出来るのなら、他人も出来るだろう。

 自分がこうしたから、他人もこうする方がいいだろう。

 ミナト自身には全く悪意はない──むしろ彼なりに相手の為を思った善意の行動。

 しかし、誰も彼もがそう出来る訳じゃない。

 実際、彼は過去にそれで大きな失敗を──孤立をした事があった。

 それなのに、また同じ過ちを繰り返しかけたのだ。


「コレが一番効率が、って言ってもお前には無茶苦茶だったよな。凛月には、まず楽しんでもらわないと」


 凛月がW.G.P.に興味を持ってくれたことが嬉しくて、彼女が公式戦に出ても勝てるように仕上げようと思っていたが、多分それは間違いなんだとミナトは感じた。

 ──新規には、まず楽しんでもらわないと。

 勝利は楽しい、だがまずは勝つだけでない『楽しい』を知ってもらわないといけなかった。

 勝利を至上の喜びと感じる根っからの闘争者(ファイター)なんて、早々居ないのだ。

 ──自分の様な、闘争者(ファイター)なんて。


「だからごめんな、明日からはまず──」


「──なんで?」


 ミナトの謝罪に、凛月はそんな疑問符を投げかけた。

 予想外の問いかけに思わずミナトは顔を上げて彼女を見る。

 凛月は、きょとんとした様子で彼を見つめていた。

 まるで、謝罪の意図が理解できないかのように。


「勝負なら勝つのが一番良いんじゃ無いかな? 誰だって、どんな時だって、()()()()()()()()()()し」


 彼女は純粋な目を向けてくる。

 勝てるように無茶な訓練をやったミナトに対して、()()()()()()()()()()謝っているのかが、理解できないといった風に。


「勝負なら、取り敢えず勝つべきです。()()()()()()べきです。負けて得るモノもあるかもしれないけど、()()()()()()()


 その時、ミナトは彼女の瞳の奥に怪しい光を見た。

 普段の彼女の様子とは似ても似つかない、かつての自分と似た、闘争心からくる渇望の──貪欲な光を。

 凛月の境遇や性格について、ミナトはあまり多くを知らない。

 親戚だからといって、多く交流があったわけではないからだ。

 だがこの時、彼は初めて凛月のことを知りたいと感じた。

 凛月がミナトの過去を知らないように。

 ミナトもまた、凛月の過去を知らない。

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