猫との結婚式。そう。ネッコン式
鹿の神父が猫と人間の女にゆっくりと問いかけた。
「新郎ねこ。新婦にんげん、あなたたちは健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
まずは人間が答えた。
「誓います」
そして猫も答えた。
「ノゥ」
NO。
「猫は機嫌の悪い時は人間に当たりますし、お腹が減ったらご飯を要求します。そして人間が寝ていようが疲れていようが遊びたい時に遊んでもらい、好きな所でおしっこもうんちもします。あと普通に噛みます」
鹿の神父は人間にまた問いかけた。
「だそうですが、いいですか?」
「はい。構いません」
「よろしい!1人と一匹のネッコン(主従関係)を認めましょう!誓いのにゃーを!」
『『にゃー』』
・
・
・
鹿は神父服を脱ぎ捨てて森の中を走っていた。
これこそが鹿のあるべき姿。
水を飲み、崖を登り、草を食べ川を下り新鮮な空気を思い切り吸い込んだ。
「……DEER」
※deer……鹿。または鹿肉の意味。