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お別れ花火
僕は少女に恋をした
素直じゃなくて でも可愛くて
歳下なのに偉そうで
そんな彼女が好きだった
僕らの町は花火で有名だった
毎夜のように花火が空を彩って
けれどこれはね 普通の花火じゃないんだよ
お別れ花火
町の人が一人死ぬ その度打ち上げられる弔いの花火
ほら今日も
ある日彼女が死んでいた
本棚の下敷きになりあっさりと
引きずり出したらぐちゃぐちゃで
そんな彼女を抱いた僕 涙がポロポロ溢れ出す
その夜も花火が夜空を輝かす
今日は彼女のお別れ花火
僕は虚しい気持ちを抱え
空をずっと見上げてた
さようなら愛しい人
少女の魂が可憐に散った
そんなふうに僕には見えた