第七十八話
ベンチにいる横田が声援を送る。
ウグイス嬢のアナウンスが流れる。
「三番―――」
三番打者が打席に入る。
「―――プレイ!」
球審が宣言する。
ハインがサインを送る。
陸雄が頷いて、投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
ボールが内角球のコースに飛んでいく。
ボール球のコースだと打者が思い、バットを振らない。
その時ボールが右に曲がって落ちていく。
ストライクゾーンにしっかりと入る。
「ストライク!」
球審が宣言する。
ハインが返球する。
陸雄がグローブでキャッチする。
スコアボードに123キロの球速が表示される。
ハインがサインを送る。
陸雄が頷いて、投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
先ほどと同じ内角球のコースにボールが飛ぶ。
打者が一瞬振ろうとするが、見送る。
「ボール!」
球審が宣言する。
ハインが返球する。
陸雄がキャッチする。
スコアボードに113キロの球速が記録される。
(流石に同じコースとは言え、振らないみたいだな。ハイン、次はどうすんの?)
ハインがサインを送る。
陸雄が頷き、投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
外角低めにボールが飛ぶ。
打者が振り遅れる。
「ストライク!」
球審が宣言する。
スコアボードに135キロの球速が表示される。
ハインが返球する。
陸雄がキャッチする。
ハインがサインを送る。
陸雄が頷いて、投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
外角低めにボールが飛ぶ。
打者が一瞬振りかけるが、見送る。
ストライクゾーンからボール一個分コースから外れる。
「ボール!」
球審が宣言する。
スコアボードに119キロの球速が表示される。
ハインが返球する。
陸雄がキャッチする。
(さーて、ツーストライク、ツーボールか―――ハインはフルカウントにすんのかな?)
陸雄が考えていると、ハインがサインを送る。
陸雄が頷く。
(迷いのない配球だな―――頼もしいぜ)
そのまま投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
外角高めにボールが飛ぶ。
打者がスイングする。
が、タイミングが合わずに空振りする。
ボールがミットに収まる。
「ストライク! バッターアウト!」
球審が宣言する。
スコアボードに136キロの球速が表示される。
三番打者がしょんぼりとして、打席から離れる。
「ハインッ! ナイスリード!」
陸雄がマウンドから大声で話す。
ハインが返球する。
(予想通り―――五球で抑えたな。盗塁の心配は無さそうだな。相手の監督が指示してこないってのがデカいな)
キャッチした陸男を見て―――そんなことを考えたハインが座り込む。
ウグイス嬢のアナウンスが流れる。
「四番―――」
四番打者が打席に入る。
「―――プレイ!」
球審が宣言する。
ハインがサインを送る。
ボールを持った陸雄が頷いて、投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
内角低めにボールが飛ぶ。
打者が振れないのか見送る。
ストレートがハインのミットに収まる。
「ストライク!」
球審が宣言する。
ハインが返球する。
陸雄がキャッチした時に、スコアボードに130キロが記録される。
四番打者が構える。
ハインがサインを送る。
陸雄が頷いて、投球モーションに入る。
指先からボールが離れる。
外角高めにボールが飛ぶ。
四番がフルスイングする。
金属バットの芯に近い箇所にボールが当たる。
カキンッと言う金属音と共にボールが飛ぶ。
「やっべ! 当たった!?」
陸雄が驚いて、軌道に乗ったボールを見上げる。
ボールがライト線に飛んでいく。
ライト線にいる駒島はボールが見えていないのか、置物のように立っている。
「あのキモデブ! クッソ! 間に合うか!?」
センターの灰田が打球方面に走っていく。
「走れぇぇぇぇ―――!」
横田がベンチから叫ぶ。
軌道が下がり、ライト手前で転がる。
フェアになったライト前のボールを灰田が取る。
「九衞! しっかり取れ!」
センターの灰田が急いで中継する。
九衞が塁を踏んで捕球するも、間に合わなかった。
「セーフ!」
塁審が宣言する。
一塁はセーフになり、その間位に二、三塁にランナーが塁を踏む。
ランナーが三人で満塁になる
(まだ終わった訳じゃねぇ! こっから取り返すんだ!)
ベンチの横田の足元に強く力が入る。
「朋也様の三倍働きが、実戦でこうなるとはな―――守備位置を変えていく必要があるな」
中野監督がサインを出す。
セカンドの九衞が手を大きく上げる。
その遠くからのサインに―――錦と灰田がそれぞれの守備位置より真ん中を空けるように移動する。




