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第七十七話

「七番―――センター。灰田君―――」


 灰田が打席に入る。


「ツーベースヒットでランナー返さねぇと追加点取れねぇなぁ」


 そうぼやいて構える。

 捕手がサインを出す。

 横田が頷く。


(そうだ―――こいつは三球で仕留められる。カットボールは使わないで行くぞ!)


 投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 真ん中にボールが飛ぶ。


(っしゃ! 絶好球!)


 灰田がスイングする。

 だが、ボールは打者の手元でゆっくり落ちる。

 そのままボールを打ち上げる。

 ファースト線にボールが観客席にキレる。


「ファール!」


 審判が宣言する。


「っち。切れたかー。ちょっと追い込まれたな」


 灰田が構える。

 ボールを貰った横田が捕手のサインを見る。

 頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 灰田がタイミングを合わせて、バットを振る。


(チェンジアップ? 低い!)


 外角高めにボールが飛ぶ。

 そのボールが打者の手元に落ちる。

 タイミングがズレて、そのままバットが空振る。

 僅かにボールに触れていただけに―――かすれた金属音が聞こえる。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに110キロの球速が表示される。


「チンピラ野郎―――あっという間に追い込まれちまったじゃねーか!」


 九衞が二塁越しに呆れて、灰田を見る。

 捕手のサインを見て、横田が投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 内角低めのストレートだった。


「おっそ!」


 タイミングがズレた灰田が空振りする。

 スコアボードに102キロの球速が表示される。 


「ストライク! バッターアウト! チェンジ!」


 球審が宣言する。

 灰田はこの回で終わる。


「くっそ! ブランクなのは仕方ねえが次に生かす!」


 バットを握ったまま―――灰田がベンチに戻っていく。


「朋也様の課題はバッテイングだが、守備で頑張ってもらう分、目を瞑るか」


「灰田君は投手として、これから活躍しますしね」


 中野監督と古川が短い会話をする。



「四回の裏。高天原高校の攻撃です。一番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 四回裏。

 点差は13対0.

 マウンドの陸雄がボールを握る。

 一番打者が構える。


「―――プレイ」


 球審が宣言する。

 ハインがサインを出す。

 陸雄が頷いて、セットポジションで投げ込む。

 指先からボールが離れる。

 外角やや高めにボールが飛ぶ。

 ストレートだった。

 一番打者がタイミングよくスイングする。

 カキンッと言う金属音と共にボールがサードに飛ぶ。

 サードは大城だった。


「メ、メンソーレ! ぶつかるサー!」


 大城はしゃがんで顔にグローブを構える。

 ショートの紫崎のフォローで後ろからバウンドしたボールを捕球する。

 一番打者が一塁に向かって走る。

 紫崎がファーストに投げる。

 星川が捕球した後には―――ギリギリでスライディングした一番打者が一塁を踏んでいた。


「セーフ!」


 塁審が宣言する。


(ナイス紫崎。サードがあんなんじゃあ、今後が心配だな)


「陸雄君。気しないで、次行きましょう!」


 星川が返球する。

 陸雄がボールをキャッチする。

 ベンチの松渡が気だるげにマウンドを見る。


「ありゃ~。三回の時の横田君に続いて、また一塁ランナーが出ちゃったね~」


「り、陸雄君…………だ、大丈夫かなぁ?」


 坂崎が心配そうにグラウンドのメンバーを見る。


「フッ、陸雄。コールドになりそうだからって、気が抜けているのか?」


 紫崎の言葉に、陸雄が帽子を整える。


「あのなぁ―――紫崎…………」


 陸雄が言いかけているところで、ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「二番―――」


「っとと、いけねぇ。次だ、次」


 二番打者が打席に入る。

 ハインがサインを出す。

 陸雄が投球モーションに入る。

 外角低めにボールが飛ぶ。

 二番打者がフルスイングする。

 タイミングが合わずにストレートがミットに入る。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 ハインからボールを受け取る。


(この試合でリクオにスライダーは一度も使わせない。カーブとチェンジアップは投げるが―――速球中心で組み立てる)


 ハインがサインを送る。

 内角低めにボールが飛んでいく。

 二番打者がフルスイングする。

 タイミングが合って、ボールが金属バットに当たる。

 カキンッと言う金属音と共にボールが飛ぶ。

 芯からは外れたコースだが、軌道を描いて飛んでいく。


「マズい打たれた!」


 陸雄が声をあげる。 


「―――ライト方向!? トモヤ頼む!」


 ハインが立ち上がり、大声で指示する。 

 ライト方向に打球が軌道描く。

 灰田がボールに近づいた時には、打球が円を描いて落ちていく。

 遅くなった灰田が取り損ねて、フェアになる。


「クッソ! 足が間に合わねぇか!」


 二番打者の打った球を灰田が取る。

 そのままファーストに中継する。

 ファーストにボールが飛ぶ。

 星川が塁を踏んで捕球する。


「セーフ!」


 塁審が宣言する。

 星川が捕球する頃にはスライディングで打者が一塁に付いていた。

 一、二塁にランナーが出る。


「ハインが言う前に走ってなきゃアウトに出来ねぇか―――」


 灰田が息を切らす。


「これって、初めてのピンチかな?」


 呟いた陸雄がグローブで、口元を隠す。

 ベンチの横田がハッとする。


(そうだ! ここで三点か四点入れば、コールド負けから逃れて―――勝機が戻るはずだ!)

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