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第七十四話

「三回の裏。高天原高校の攻撃です―――七番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 三回裏。

 点差は11対0。

 七番打者が自信なさげに打席に立つ。


「―――プレイ!」


 球審が宣言する。

 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 七番打者がスイングする。

 真ん中高めにボールが飛ぶ。

 ボールとバットが芯から大きく外れて、ヒットする。

 コンッというと音でキャッチャーフライに打ちあがる。

 ハインが眼でボールを追って、立ち上がる。

 右方向に走り、落ちていくボールを捕球する。


「バッターアウト!」


 球審が宣言する。

 七番打者がガックリと肩を落としてベンチに帰っていく。

 ベンチにいる横田が唇を噛む。


(くっそ! この打線じゃ、得点圏に行けない! 九番の俺がなんとかしねぇと!)


 ネクストバッターにバット持って、横田が座る。


「八番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 八番打者が打席に立つ。


「―――プレイ」


 球審が宣言する。

 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷き、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 外角低めのストレートが飛ぶ。

 相手の打者が球を見逃す。

 

「ストライク!」


 球審が宣言する。

 ハインが返球する。

 スコアボードに128キロの球速が表示される。

 ボールをキャッチして、ハインのサインを待つ。

 ハインが少し考えて、サインを送る。


(同じコースでゆっくり投げろ? 良いけど、打たれねぇかな? まっ、いいか。リード信じよう)


 陸雄が頷き、セットポジションで投げ込む。

 外角低めにボールが飛ぶ。

 相手の打者がスイングする。


(打たれる―――!?)


 が、タイミングが合わずに空振りする。

 ミットにボールが収まる。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに113キロの球速が表示される。


「―――ほっ。スリリングだなぁ」


 陸雄の肩の力が抜ける。


(やはりボールが見えていないようだな。リクオ―――次はこいつで行くぞ)


 ハインが返球する。

 キャッチして、ハインのサインを見る。

 頷いて、ボールの握りを変える。

 セットポジションで投げ込む。

 指先からボールが離れる。

 内角低めにボールが飛ぶ。

 相手の打者が速さで見逃す。


「あっ!」


 相手の打者がハッと声をあげた時には、ボールはハインのミットに収まっていた。

 内角低めのストレートが見事に入る。


「ストライク! バッターアウト!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに135キロが記録される。

 八番打者が残念そうにベンチに戻っていく。

 途中で横田とすれ違う。


「ごめん。横田」


「…………」


 黙り込む横田に八番打者がベンチに早歩きで去る。


「九番―――ピッチャー。横田君―――」


 横田が左打席に立つ。


(同じ一年でコイツにだけは負けられない。俺だって投手なんだ。球を見切って打ってみせる)


 陸雄とハインが横田をじっと見る。


(このメンバー唯一の左打席か。ハイン? どうする?)


(相手は投手だ。配球を変えるぞ)


 ハインがサインを出す。

 陸雄が頷き、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 内角高めにボールが飛ぶ。

 横田が見送る。

 打者手前でボールが落ちる。

 そのままミットに収まる。


こいつもチェンジアップを持っているのか…………俺とキレは同じか?)


「ストライク!」

 

 球審が宣言する。

 スコアボードに125キロが記録される。 

 陸雄がハインからボールを貰う。


(いきなり変化球見せたけど―――いいわけ?)


 ハインがサインを送る。


(わーたよ。こういう時のハインって何考えてるか解んねーんだよな)


 陸雄が頷き、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 外角低めにボールが飛ぶ。


(見えた! ―――ここだっ!)


 横田がフルスイングする。

 バットの芯からやや離れた位置にボールが当たる。

 カキンッと言う金属音と共にボールが低めに飛ぶ。


「打たれた? マズい! サード方向だ!?」


 陸雄が声を漏らすもショートの紫崎が走っていく。

 打球はサード方面に飛ぶ。


「メメメッメ、メンソーレ!」


 サードの大城が顔を隠して、球を見ない。

 横田が一塁に向かって全速力で走る。

 サードの大城が球を取り損ねる。

 ボールはバウンドしてフェアになる。

 ショートの紫崎が後ろからフォローに入る。


「星川―――!」


 紫崎がボールをグローブでキャッチして、送球する。

 星川が捕球する頃には、一塁に横田が走り抜けていた。


「セーフ!」


 塁審が宣言する。


「おおっ! 横田がやってくれた!」


 横田のチームから士気が戻り応援がが大きくなる。


「くっ! 打たれたか気持ち切り替えないと! ハイン大丈夫か?」


「―――ああ」


 ハインは表情を変えずに座り込む。


(心配するまでもないか―――)


「陸雄君。次行きましょう!」


 星川からボールを貰う。


「サンキュ! 抑えるから任せろよ!」

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