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第七十二話

 星川が喜ぶ。


「凄いですよ! 三回で11点! 僕こんな凄いスコア見たの初めてですよ。しかも自分のチームからなんて、あはははっ! 甲子園行けますよ! 絶対にっ!」


「星川君~。そんな甘いもんじゃないと思うよ~。今の気持ちは解るけどさ~」


 そんなムードの中で、ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「四番―――レフト。錦君―――」


 錦が打席に立つ。

 横田が汗をダラダラと流す。


(この場面でこいつはマズい! ランナーは二塁しかいない。落ち着こう)


 錦が敬遠される。

 そのまま一塁に移動する。

 九衞は二塁のまま手を腰に当てていた。


「さーて、チェリーに打てるかどうか―――見物だな」 


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「五番―――ピッチャー。岸田君―――」


「よっし! 流し打ちのように華麗に決めるぜ!」


 打席に陸雄が立つ。

 中野監督のサインを見る。


(一球待て―――か。了解)


「―――プレイ!」


 球審が宣言する。

 捕手がサインを出す。

 横田が頷き、投球モーションに入る。

 指からボールが離れる。


(カットボール―――か!?)


 陸雄が観察する。

 右回転では無かった。

 それは横田のストレートだった。

 外角低めにボールが飛ぶ。

 陸雄はボールを見送る。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 横田が捕手から返球したボールをキャッチする。


(こいつに遊び球は要らない。三振で仕留めるぞ!)


 横田が構える。

 捕手のサインに頷き、投球モーションに入る。

 そのまま指からボールが離れる。

 ボールが内角やや低めに飛ぶ。

 陸雄がバットを振るタイミングを誤って、早めにスイングする。

 バットにかすめることなく、そのまま打者の手元にボールが遅く落ちる。


「ストライク!」


 球審が宣言する。


「チェンジアップか、難しいコースだったなぁ」


 陸雄がバットを構え直す。

 ボールを受けった横田がすぐに構える

 捕手のサインに頷く。

 横田が投球モーションに入る。

 陸雄がフォームをじっと観察する

 横田の指先からボールが離れる。


(これで―――抑える!)

 

 真ん中高めにボールが飛ぶ。


「ここ―――だ!」


 陸雄がバットをタイミング良くスイングする。

 バットの芯でボールを捉えようとバットを当てる。

 が、それは芯から外れる。

 カットボールだった。

 違和感のある感触に陸雄がハッとする。


「カットボール―――かっ! でも―――」


 スイングの力をバットに降り注ぐ。

 バットの芯からボール一個分外れて、打球が飛ぶ。

 内野手の頭ギリギリのラインで打球が飛ぶ。

 セカンドがボールを取り損ねる。

 そのままセンターライナーでキャッチされ、アウトになる。


(俺のカットボールが打たれた? 落ち着け! センターライナーだ。アウトには違いない!)


「あー、クソッ! すまない、みんな」


 九衞がニヤリとする。


「所詮はチェリーと言うことだな! がっはっはっ!」


 九衞が大声で笑う。

 塁審に注意され、軽く謝り―――黙りこくる。


「九衞…………反論出来ねぇのが悔しい! でも、カットボールの攻略法が見えてきた」


 陸雄が握りこぶしを作って、打席から離れていく。



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