表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/987

第六十九話

「二回の表。大森高校の攻撃は―――七番、センター。灰田君―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 二回表。

 点差は9対0。

 灰田が打席に立つ。

 

(中野からのサインは?)


 中野監督がサインを出す。


(ダミーサイン? 好きに打てか? わかった)


 灰田が打席に立ち、構える。

 横田がサインに頷き、投球モーションに入る。

 そのまま指先からボールが離れる。

 外角高めのストレートだった。

 灰田がタイミングを合わせて、バットを振る。

 鈍い音が聞こえて、打球が上がる。


「初球打ち! セカンド! フライだ!」


 横田が指示する。

 セカンドがフライを捕る。


「アウト!」


 塁審が宣言する。


「ちぇ! 俺の打率じゃこんなもんか―――サボってる時間ってのは残酷だぁねぇ!」


 灰田がベンチに戻っていく。


「……もう駄目だ……この点差は取り返せない」


 横田がこの点差に項垂れる。


「八番。サード大城君―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「さて、この回の打撃は終了だな」


「九衞~。いくら何でも言い方って物があるでしょ~? まぁ、確かに終わったけどさ~」


「松渡君も大概ですよ」


 ベンチが守備用のグローブなどを付ける。


「バッターアウト!」


 球審が宣言する。


「おっ! いつもより早いな。金髪、立つことのない打席だがネクストバッターだろ?」


 ハインが無言でネクストバッターに座る。


「―――九番、サード。駒島君」


 ベンチの陸雄が捕手道具一式持ってくる。


「ハイン。終わったら俺が付けてやるから、配球の事だけ考えておいてくれ」


「わかった。リクオ―――次は四番打者とクリンナップ打線だ、まだ相手はお前の球を見ていない。緩急つけるぞ」


「―――おうよ」


 陸雄が返事をした頃には駒島が三球三振で終わる。


「チェンジ!」


 球審が宣言する。


「さあ、守備位置につくぜ!」


 陸雄達がベンチから出て行く。


「…………まぁ、あのバカ二人には何も期待していなかったが―――選手交代が出来ないからしょうがないな」


 中野監督は達観したかのように、腕を組んで帰ってくる駒島を見る。


「マネージャー、相手の投げ球は?」


「二人合わせて、六球とも真ん中のストレートでした」


「…………ご苦労」



「二回の裏。高天原高校の攻撃です。四番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 四番打者が打席に立つ。

 ハインがサインを出す。

 陸雄が頷いて、セットポジションで投げ込む。

 指先からボールが離れる。

 打者が見送る。

 外角低めにボールが入る。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに127キロの球速が表示される。

 ハインからボールを受け取る。


(次、どうする? 四番だぜ?)


 ハインがサインを出す。


(おっけー! 強気なリードな事で―――)


 陸雄が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 打者が振り遅れる。

 内角高めにボールが飛ぶ。

 ボール球スレスレのコースでミットに収まる。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに118キロの球速が表示される。

 返球して、陸雄がキャッチする。

 ハインがサインを出す。

 陸雄が頷いて、投球モーションに入る。

 打者が集中して構える。

 指先からボールが離れる。

 129キロのストレートだった。

 打者が振るのを一瞬ためらい見送る、

 それは高めの誘い球だった。


「ボール!」


 球審が宣言する。

 ハインが陸雄に返球する。


(リクオ。今ので打者の集中力が無意識にだが減っている。今がチャンスだ)


 キャッチした後に、ハインがサインを出す。

 陸雄が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 打者の真ん中より下にボールが飛ぶ。

 打者がフルスイングする。

 ボールが右に落ちながら曲がる。

 122キロのカーブだった。

 バットに触れることなく、ボールがミットに入る。


「ストライク! バッターアウト!」


 球審が宣言する。


「よっし! 調子が出てきた!」


 陸雄が張り切る。

 四番打者が悔しそうにバットを握り、打席から離れていく。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ