第五十六話
メンバーが円陣を組む。
「一番! キャッチャー・ハイン!」
「はいっ!」
打順の書かれた紙を片手に中野監督が読み上げ―――それぞれの選手を見る。
「二番! ショート・紫崎!」
「はい!」
「三番! セカンド・九衞!」
「はいっす!」
「四番! レフト・錦」
「―――はい!」
「五番! ピッチャー・岸田!」
「は、はい!」
「六番! ファースト・星川!」
「はいっ!」
「七番! センター・朋也様!」
「っておい! 俺だけ下の名前で様づけかよ! 中野、睨むなよ…………はい」
「八番! サード・大城!」
「メンソーレ!」
「九番! ライト・駒島!」
「―――うむっ」
松渡と坂崎はベンチの為か呼ばれなかった。
(陸雄がマウンドで潰れそうになったら、代わりに僕がなんとかしないとね~)
「さぁ! 長い夏の始まりだ―――ノックをしたら、整列後に試合が始まるぞ!」
「「はいっ!」」
アナウンスが流れる。
「それでは大森高校の先攻で試合を始めます!」
陸雄達レギュラーがグラウンドの守備位置に移動する。
陸雄は―――横目で相手ベンチのメンバーを見る。
高天原高校の一年達は十八人いた。
(うおっ! 一年だけなのにすげー多いなぁ―――俺も勧誘の時このくらいメンバーが入ればなぁ)
球場のアナウンスが流れる。
「先攻の大森高校、ノックをお願いします。時間はボール回しを含めて七分です」
中野監督がノックをそれぞれ綺麗に行う。
駒島と大城のみボールが回って来るも取り損ねる。
(なるほど、弱点はサードとライトか)
横田が大森高校のノックを見て、分析する。
(ウチの高校の監督はソフトボール部の監督だ。野球は知らない。俺が投手でもキャプテンでもあり、監督をしなきゃならない。この試合に勝って、少しでもブランド力を上げなきゃな!)
横田がそう思い、大森高校をじっと見る。
「したっ!」
ボール回しが終わった大森高校のメンバーが―――帽子を脱いで、一礼する。
戻っていく中で―――陸雄は自分のスタンドの観客席を見る。
(観客席に清香は―――来てないな。安心したぜ。あいつこういう場所ダメだもんな)
大森高校は弱小なせいか、学校での知り合いは居なかった。
父兄なども数えるほどしかいない。
「見事にガラッガラだな!」
灰田が陸雄の横に並ぶ。
「決勝になる頃には全校生徒のほとんどで埋まってるさ」
二人が話をしている間に―――相手の高天原高校のノックが終わる。
「さぁ、攻めて行こうぜ!」
灰田に背中を叩かれ、陸雄はベンチに戻る。
(いよいよ公式試合が始まった―――待ってろ、甲子園っ!)
陸雄はベンチに戻り、握りこぶしを作り武者震いする。
※
両校のノックが終わり、試合開始前に整列する。
「「お願いします!」」
両校のメンバー全員が頭下げる。
そして、陸雄達がベンチに戻っていく一方で、高天原高校のレギュラー達は守備位置に着く。
横田が捕手からボールを貰い、マウンドで構える
※




