第五十話
練習時間が普段よりも少なめになった中間テストの時期。
いよいよテストが始まった。
(今はテストの事だけ考えよう。乾との戦いはとりあえず置いておいて、赤点回避しなきゃ! つーか受験ももしかしたら受けるかも知んないから全力出さねーと!)
陸雄は用紙が配られると同時にシャーペンを握る。
「それでは試験を始めてください」
教師の言葉で最初の英語の科目テストが始まる。
(絶対に試合に出てやるぜ!)
※
中間テストが終わり、数日後。
学校の教師が、それぞれの科目の平均点を黒板に書く。
公表はされていないが、清香は満点ばかりで学年一位だった。
全ての答案用紙が返ってきた後で、一組メンバーの陸雄達は集まっていた。
「はじめん。点どれくらいだった?」
「80点から90点が多めだったかな~」
「ほとんどの科目の平均点って、だいたい67点くらいだったろ? 上出来じゃん!」
「フッ、そういうお前は点はどれくらいだったんだ?」
紫崎の問いに、陸雄が全ての答案用紙を机に見せる。
「ええと理系は78点台で、文系科目は90点だった」
「文系大学行き確定だね~」
「俺は野球でプロ受験するから良いんだよ―――順調にいけばな!」
話を聞いていた灰田が、クリームジャムパンと焼きそばパンを食べる。
食べ終わり、陸雄達の近くの席に座る。
「陸雄。野球で受験って、ドラフト指名されなきゃ二軍確定のトライアウトしかねーぞ。マジで言ってんの?」
灰田がそう言って、カルピスソーダをゴクゴク飲む。
「本気も本気さ!」
「ふーん。甲子園に行っても指名されないかもしれねぇのにか?」
灰田が興味深げに陸雄を見る。
「プロ選手にならなかったら、入試受けて東京六大学野球で結果残してなるからいーの!」
陸雄の言葉に、紫崎と松渡が顔を合わせる。
そして二人が陸雄を見る。
「な、なんだよ? 変なこと言ったか?」
「フッ、ハッピーセットな頭してるなって思っただけだ」
「俺はいつだってリアリストです!」
「十月過ぎたら勉強重点的にしなよ~。特に理系科目とかね~」
「おい、お前ら―――みんな来たみたいだぜ」
灰田が顔を教室の入り口に向ける。
教室に九衞とハイン、坂崎、星川がやって来る。
「どうだった? 上手くいったか?」
紫崎の言葉で、九衞達はにやりと笑う、
「まぁ、今から例の物を見せるから安心しろ」
(なんか映画とかでやる―――港の倉庫で行う裏取引みてーな会話だな)
陸雄がそう思う一方で、九衞がプリントを机に置く。
全員で返ってきた答案用紙を見せ合う。
「おおっ、九衞は紫崎と同じでほとんど80点から90点ばかりじゃん!」
「がっはっはっは! 俺様は常に文武両道なんだよ! チェリーの点はお粗末だな」
「フッ、野球を辞めれば俺ももっと点が取れるけどな」
「言い訳すんなよー」
陸雄のつっこみの後に、星川が答案用紙を見せる。
「星川君も……どれも平均点よりも10点くらい高めだな。 おっ! 英語満点じゃん!」
「あはは、メジャーリーガーになるから英語はしっかりやらないと―――と思って、ずっとハイン君に教えてもらって、頑張ってますからね」
「―――そのオレも英語は満点だけどな」
「いやいやいや、ハインは当たり前だろ。あれ? 古文と漢文だけ半分くらい問題間違えてるな」
陸雄がそう言って、ハインのやや高めの平均点のプリントを見る。
「他は90点以上だからノープログレムだ」
星川がまだ答案を見せていない二人に視線を送る。
「そういえば灰田君と坂崎君はどうでしたか?」
「……全部平均点だった」
灰田が答案用紙を見せる。
「フッ、お前って選択問題だけは全部外さないんだな」
「うっせえなぁ! 良いだろ? ちゃんと赤点回避したんだしさ」
「灰田って、三年時のセンター試験の成績異様に良くなったりして~」
「勝手に言ってろよ」
「ぼ、僕もどれもなんとか平均点は取れたよ。こ、九衞君のおかげだよ。あ、ありがとう」
坂崎はそう言って、平均点に近い全ての答案用紙を見せる。
「がっはっはっは! まぁ、俺様のレッスンなら赤点回避できて当然だ。これで試合に外されることはまず無いだろうな!」
九衞の言葉に、陸雄が席から立ち上がる。
「じゃあ、後は抽選会だな。テストも終わったし、いよいよ試合が始まるんだな!」
「リクオ。大会中に期末テストもある―――忘れるな」
「お、おう。頑張るわ。その時はまた勉強会でもやろうな」
「チェリーは幼馴染とマンツーマンだろ。俺様達からハブじゃん」
「……」
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