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第四十一話

 陸雄が家に帰る。


「たっだいまー! 母さん! さっきメールで送ったけど、夕飯用意してくれた?」


「おかえりー。まだカレー煮こんでるから、その前にお風呂場に行って―――入れるもの入れて、洗濯機回したら、そのままお風呂入りなさいよー」


「オッケー! 清香呼んどいて!」


 玄関前に荷物を置いて、駆け足で浴室に向かう。

 ジャージと制服、下着を洗濯機に入れて洗剤を入れる。 

 浴室に入り、シャワーを浴びながら、ボディソープを体の汚れを落とすボディタオルにかけて体に擦り付ける。


「シャワーあったけぇ……練習後だから、余計にホクホクするな~♪」


 シャワーでひと洗いして、シャンプーを頭にかけて磨く。


(あっ、そうだ。母さんに合宿のこと言っとかないとなー。さっさと入って、上がったら説明すっか!)


 シャワーで頭を洗い終えて、風呂に入る。


「ふぃ~、生き返るわぁ~! この瞬間が一日の癒しだな~♪」


 インターホンの音が鳴る。


「あっ! 清香かな? そろそろ上がらなきゃ、ヤバいヤバい…………」


「おじゃましまーす! あっ、陸雄また荷物玄関前に置いてるー!」


 清香の声で風呂場から上がる。

 急いでタオルで体を拭く。


「さてと―――Tシャツとボクサーパンツはいつもの居間のタンスだっけか?」


 陸雄が肩にタオルを巻いて、移動する。

 ドアを閉めた音が聞こえて、通路を歩く。

 玄関前に可愛らしい薄ピンクを主調としたスカート姿の私服の清香と出会う。

 清香が陸雄を見て、顔を赤らめる。


「きゃあっ! ちょっと、陸雄! パンツくらい履いてよ!」


「ああ、わりぃ。でも清香は特別だから別に気にしないよ」


「―――バカッ! 私だって女の子なんだからね! 意識しちゃうんだからっ―――!」


 頬を赤らめた清香が後ろを向く。


「カレーすぐに食うから、この後の勉強頼むな」


「わかったから…………は、早く行きなさいよ。目を瞑るから、早足でね」


「おうっ! 中学の頃より筋肉付いただろ?」


「―――やだっ! もうっ! さっきの裸思い出しちゃうでしょ? 女の子の前くらい恥じらいを持ってよね!」


「はいよー。教科書入ってる鞄だけ持ってていいから―――階段上がったいつもの部屋のところに置いといてねー」


「う、うん―――」


 陸雄が食卓前に移動する。


「母さん! 上がったから、カレーまだー?」


「もう置いてるわよ。清香ちゃんに次裸見せたら、ご飯抜きよ!」


「事前に風呂場に替えの下着とジャージくらい置いといてくれよな~。頼むよ~」


「はぁ……うちの息子はなんでこう事の深刻さに気付かないのかしらねぇ。ごめんなさいね、清香ちゃん」


 母親の声で階段を上がろうとする清香がドア越しに答える。


「い、いえ。陸雄の部屋に上がってますね」


 テレビをつける音が聞こえると、陸雄が大盛りのカツカレーとリンゴジュースを早めにガツガツと食べる。

 清香が階段を上る音が聞こえる中で、テレビのニュースを見る。


「さてと今日のプロ野球ニュースの時間まであと五分かー。あっ、アナウンサー変わってる。あっ、そうだ! 母さんゴールデンウイークの合宿のことなんだけどさ……」


 陸雄が話す中で、清香は二階に上がる。


「やだ……どうしよう―――まだドキドキしてる。もうっ! 陸雄が馬鹿なんだから!」


 陸雄の部屋のドアの前で、清香は胸を両手で抑える。



「今日も遅くまで勉強ありがとうな。これ母さんから―――親戚から旅行のお土産で送って貰ったかすたどんね」


「あっ、うん。ありがとう。パパとママ喜ぶと思う」


 陸雄はかすたどんの箱を清香に渡して、靴を履く。

 夜に清香との勉強を終えて、清香を家まで送る。


「陸雄。高校の野球部の練習って……いつもこのくらいの時間なの? 中学より長いんだね」


「おう。懐かしい奴やら面白れぇ奴らが入って来たから、日曜以外はこの時間までほとんど練習だな」


「そうなんだ。今度の日曜日って、ユニフォーム買うんだっけ? 一緒に行こうか?」


「大丈夫だって、スマホで確認したから迷わねぇからさ」


「そうじゃなくて―――ただ一緒にお出かけしたかったの」


 清香が顔を下に向いて、モジモジする。


「あー。そういうことなら―――空いた日に隣町で、俺用のプロティンと混ぜる牛乳を買うついでに買い物でも行くか?」


「―――う、うん。隣町にね。美味しいスイーツ店がオープンしたみたいなの! 再来週の日曜日に一緒に食べに行かない?」


「わかった。母さんに頼んで食事代用意しとくわ」


「言っとくけど、お出かけだからね! で、デートじゃないんだよ?」


「清香。家着いたぞー」


「もうっ! 真面目に聞いてるの!?」


「再来週の日曜日に、清香とお出かけで隣町のスイーツ店に行くんだろ? 分かってるよ」


「分かってるなら、別に良いけど―――もうちょっと嬉しそうにしても、いいじゃない」


「いやー、お姫様のお誘いとあらば喜んで行きましょうー」


 清香の家の玄関前で、陸雄が大げさに頭を下げる。


「―――意地悪っ! 知らないんだからっ!」


 清香がバンッとドアを閉める。


「清香―――怒んなよー。お世話になりっぱなしで感謝してるんだぜ」


 ドア越しから、清香の声が聞こえる。


「そういう問題じゃないもん! もう、早く帰って寝なさいよね! プロティン魔人!」


「清香、お休み。また学校でな」


 陸雄は返事を聞かずに、玄関から離れる。

 夜空を見ながら陸雄が笑う。


「さてと、甲子園に行くまでにどんな奴らと試合するか楽しみだぜ! 乾の奴、もう二年生だからレギュラーになってるだろうなぁ。ふわぁ~、家着いたら明日の準備して、さっさと寝るかな~」


 陸雄は家までのんびりと歩いていく。





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