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第百二十一話


 構える戸枝にサインを出す。

 頷いた戸枝は投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 真ん中にボールが飛ぶ。

 打者の手前で左に曲がりながら落ちる。

 星川がその変化球、シンカー見送る。

 ミットにボールが収まる。


「―――ストライク!」


 審判が宣言する。

 スコアボードに114キロの球速が表示される。

 星川がバットを肩から離す。


(戸枝君の凄いところは変化球でも直球でも球速があまり変わらない上に、フォームでタイミングを合わせにくくする所ですか―――加えてあの制球力、古豪の野球校のレギュラーなだけありますね)


 捕手が返球する。

 戸枝がキャッチする。

 指先からボールが離れて、五球目を投げる。

 内角高めにボールが飛ぶ。


(ストレート! だけど、誘い球ですね)


 星川のバットがピクリと動くが振らない。 

 そのままストライクコースからボール一個分の位置に捕球される。


「―――ボール!」


 審判が宣言する。

 スコアボードに115キロの球速が表示される。


(フルカウントですか―――振ると思ってたんでしょうね)


(っち! 振らないか―――)


 捕手が力を少し入れて、返球する。

 パンッと音を立ててグローブにボールが収まる。


(次はどう考えてもストライクを狙うしかないか―――先輩だって、当然そう思う)


 戸枝が捕手のサインを見る。


(えっ? ですけど先輩―――それで大丈夫なんですか?)


 戸枝が首を振る。


(安心しろ。この星川って打者なら、アウトになる)


 捕手が同じサインを繰り返す。

 戸枝は渋々頷いて、投球モーションに入る。

 六球目が指先から離れる。

 外角やや低めにボールが飛ぶ。

 打者の手前で左に落ちながら曲がっていく。

 星川がタイミングを合わせて―――そのカーブをスイングする。

 バットの軸にボールが当たる。


「何っ―――!」


 捕手が驚く。

 カキンッと言う金属音と共に右中間にボールが飛ぶ。

 星川がバットを捨てて、一塁に走る。

 ライトが手前でバウンドしたボールをキャッチする。

 そのまま一塁に送球する。

 星川が一塁を蹴り上げて、真っ直ぐ走り終えて止まる。

 ファーストがキャッチしたのは星川が一塁を踏み終えた後だった。


「―――セーフ!」


 塁審が宣言する。


(中野監督の指示どうりカーブだけ的を絞って正解でしたね)


 星川が一塁に戻っていき、ベースの前で足を踏んで止まる。


「ちくしょう! ここまでノーアウトかよ」


 戸枝が小声で毒づく。


「六番―――ピッチャー、松渡君―――」


 松渡が左打席に立つ。

 中野監督がサインを出す。

 松渡が一塁にいる星川をニッコリと見る。

 星川が頷いて、塁から少し離れる。


「あらかさま―――なんだよっ!」


 戸枝が打者の方向を向かずに、一塁に牽制する。

 星川が一塁にヘッドスライディングして戻る。

 ファーストが捕球する。

 星川の手がすでに一塁に触れていた。


「―――セーフ!」


 塁審が宣言する。

 戸枝がファーストからボールを受け取る。  




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