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第百十話


 両校ベンチに戻り、野球道具を装着する。

 松渡がマウンドに立つ。

 大森高校のメンバーが守備位置に着く。


「一回の表。西晋高校の攻撃です。一番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 左打席に三年生の打者が立つ。


「プレイボール!」


 審判が片手を上げる。


(さてと、ハインのサイン通りに投げるかな~)


 松渡が構える。

 ハインが細かいサインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 サウスポーであり、肩が振り上げた足に隠れる。

 打者のタイミングが合わずに、松渡の投球フォームによる独特の間を作る。

 足を地面に踏むと同時に指先からボールが離れる。


(くっそ! サウスポーな上にタイミングが合わねぇ!)


 一番打者が遅れて、スイングする。

 外角低めにボールが飛ぶ。

 パンッと言う音を立てて、ハインが捕球する。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに123キロの球速が表示される。

 左投手が右投手より有利な点として左打者の抑えやすさが挙げられる。

 その理由は、左利きは選手数が少なく、多くの打者は左投手との対戦経験が少ない。

 そして左投手のボールリリースの出所が見にくいことが考えられる。


(ハジメの調子は良いようだな。緩急の中間のスピードを維持できたようだ)


 ハインが返球する。

 グローブで受け取った松渡はすぐに構える。

 ハインが細かいサインを出す。


(強気なリードだね~。まぁ、そういうのも好きだけどね~)


 松渡が頷く。

 そのまま投球モーションに入る。

 足をあげて、投げる腕が肩が隠れた次の瞬間―――モーションが見えにくく、投球の投げ終える瞬間になる。

 指先からボールが離れる。

 内角高めにボールが飛ぶ。

 二球目もストレートだった。

 目がまだ慣れていない打者がボールを追えない。


(さっきより、ちょっと早い!) 


 打者が振り遅れて、見送る。

 ストライクゾーンギリギリに入る。


「ストライク!」


 球審が宣言する。

 左投げは投手、一塁手、外野しか守れないというポジション上の制約がある。

 サブポジションで野手もしていた松渡はその制約に従った。

 よって、坂崎とは違いサードが守れない

 松渡はリリースポイントを安定させていった。

 その結果、投げるテンポを肩を隠して―――打者に解り難くくする独特のフォームで出塁率を下げた。

 腕のテークバックが小さくなるので頭の後ろにボールが隠れて見えにくい。

 それは下半身の疲労が少ない分、ボールを長く持っていられるのでリリースポイントが前になり球の出所が見えにくい。

 打者からすると投手の体は自分の方に向かってきているのに、なかなか投手の手からボールが離れないのでタイミングをとりづらい。


(フォームが投げている途中を切り取って、いきなり投げ終えるモーションに編集したみたいに見える。そのせいでペースを持ってかれるな)


 打者が一度、手を前に出してタイムを取る。

 バットをじっと見つめて、集中する。

 ハインが返球する。


(ボール一個分のコースにも投げれたか。ハジメの今日の制球力も問題無いようだな)


 松渡がキャッチする。

 スコアボードに135キロの球速が表示される。

 あっという間にツーストライクになる。


(ハジメ。次は遅い外角のクサイところだ)


 ハインがサインを出す。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 リリースポイントが解り難いところでボールが離れる。


(次の球はストレートか!?)


 ハッとした相手の打者のバットが少し動く。

 ―――が、スイングをしない。

 ハインが外角低めに外れたボールを捕球する。

 ボールだま一個ズレたストライクにならない球を見送る。

 

「―――ボール!」


 球審が宣言する。


(相手の打者のバットが少し動いたか―――まだ見るには徹し切れていないようだな)


 横目で見ていたハインが返球する。


「松渡君ー。落ち着いて抑えていきましょう!」


 ファーストの星川が声を出して、手を振る。

 ニッコリした笑顔の松渡がボールをキャッチする。

 スコアボードに124キロの球速が表示される。



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