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第百話


「朝練終了までまだ残り四十七分! まだ行ける! この岸田陸雄君なら―――間に合う!」


 陸雄は恐怖のあまり変なスイッチが入っていた。


「くお~!! ぶつかる~!! ここで俺がランニング状態でアクセル全開! インド人を右にっ!」


 野球部のグラウンドに向かう為に右側の通路に曲がる。

 曲がった矢先にバケツを持った女生徒にぶつかる。


「えっ!? キャアアー!」


 先生に頼まれて、一昨日の科学の実験で使ったバケツの水をゴミ捨て場に捨てるように頼まれた古川だった。

 陸雄が古川が持っていたバケツの変な物体が入った水を顔から被る。

 液体まみれになった陸雄が奇声を上げる。


「おっべぇ!」


 そのまま滑って、古川を押し倒す。


「あっ……ごめっ、ひっ!」


 倒れ込む古川の胸に顔を突っ込み。

 両手で下着越しの尻を思いっきり揉んでしまう。


「いやぁ! ちょっと、き、岸田君! は、離れて! お、お願い!」


 古川が悲鳴をあげながら、顔を赤らめる。

 下敷きになっている古川がモゾモゾと倒れ込みながら、離れようと動く。

 動くたびに下敷きになった陸雄の両手が尻に触ったまま―――感触が生々しく残る。

 胸に突っ込んだ顔はそのまま古川の股間にずり落ちる。


「独特の匂いと、なんか感触が、や、柔らか…………へくちゅ!」


「ちょっと、どこにくしゃみしてるの! や、止めて! ひゃん! 息がくすぐったい!」


 古川の履いている赤い小さいリボンのついたピンク色のバラ模様のパンツの先端に鼻息を吹きかける。

 野球部より朝練が遅いソフトボール部の女子が駆け寄って来る。


「何事? あれ? 野球部の…………うわ~、大胆!」


「ちょっと岸田君! いいから、早くどいて!」


 古川が陸雄の顔を手で抑えて、どかそうとする。


「すいません。古川さん! 練習サボった訳ではなくて! 幼馴染と徹夜で日課の勉強してたらですね……睡魔が襲って、そりゃもうバッキバキに眠りに…………」


 陸雄が古川のパンツに顔を突っ込みながら弁明する。


「ちょ、ちょっと! いいから離れて、暴ないで! スカートの中で叫ばないで! やんっ! 息が吹いて、熱い!」


 ソフトボール部の女子達が集まり出す。


「岸田君って、最低……」


 もう一人のソフトボール部女子がスマホを向ける。


「昨日野球部で勝ったのにあんな事するんだ。バレンタインのチョコリストから消そう。そしてコミュニティで知らせなきゃ」


 女子が写真を撮る前に陸雄が何とか古川の股間から抜け出す。

 そして、起き上がる。


「ですから、中野監督に謝りますから! ……って……あの、古川さん。涙ぐんでますけど、どうされました?」


 カジュアルなゴールデンポニーテールの髪が乱れ―――顔を赤らめた古川がプルプルと涙を流しながら、キッっと睨む。

 不安そうに陸雄が古川の顔を覗き込む。


「あ、あの……」


 次の瞬間。

 古川から投手らしいスナップの効いた良いビンタが陸雄の頬に響く。


「ほ、ホゲゲェー!」


 痛みで倒れ込みながら、叫ぶ陸雄。

 ブタれた瞬間―――鼻水が飛び散る。

 飛び散る液体の中に若干血も混じっていた。


「岸田君の変態っ! もう知らない!」


 陸雄はバタリと、寿命が来た夏のセミのように黙って倒れ込む。

 ビンタだけでなく、かけられたバケツの水で何やら気分が悪くなっていく。


「お、俺が変態……周りの視線が痛い……まるで試合をしていないのに今日の戦犯を見るような視線だ!」


 古川が空になったバケツを持って、走っていく。

 代わるように中野監督がバットを持って、現れる。


「岸田。コンクリートの敷かれた熱い地面に倒れ込んで、何してるんだ? まぁ、とりあえず朝練サボった分だけ放課後シゴクぞ。今日の朝練は来なくていいからな。次の試合の先発は変える。その日はお前は坂崎とベンチだ」


 戦力外通知。

 まさに死刑宣告だった。

 グッタリと倒れ込む陸雄が青空を見上げる。


「さ、最悪だ―――頭痛いけど、このまま授業に行こう! ゲンジツが今の俺を忘れてくれるさ」


「やだ、この変態にパンツ見られちゃう! みんな離れて! ローアングル越しに見られちゃうよ。キモーい!」


 ユニフォームに着替えていない制服姿のソフトボール部女子が、スカートを抑える。

 そして警戒しながら、ジリジリと離れていく。

 陸雄がフラフラしながら、立ち上がる。


「ううっ、頭が痛快ガンガン行進曲だ。早くここから離れよう」


 そのままトボトボと下駄箱に向かった。

 たまたま朝早く登校した同じクラスの地味な女子が陸雄をじっと見る。


「あれって、岸田君? いつも話す友達の清香ちゃんの幼馴染みか。朝練遅刻するなんて、思ったよりやんちゃなんだな」


 地味な巨乳の黒髪セミロングの少女はそれを見終わった後に、登校する。 

 少女は青空を見上げて、何かを思い返すように呟く。


「野球部、か―――友達になって結構経つけど、清香ちゃんも大変だな。今度の試合見に行こう」





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