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ネズミと虹の道

ある日の夜、ミトコはパジャマ姿で探し物をしています。どこを探しても出てこない、


引き出しをひっくり返しても、棚を探しても、どこを探してもなかなか見つからない、




「どこにいっちゃったんだろう」




ミトコが困り果てている時です、ひゅんっと目の前をなにかが通りました。


ミトコが目の前を通った物にビックリしてそっちを見ると、象のようなピンクの生き物でお尻あたりに青い花の絵が描かれている生き物がおり、またひゅんっと消えた


ミトコがおどろいていると下の方から小さな声が聞こえました。





「大変だ、忘れた象だ、耳を塞げ!」





ふと、振り返ると、ネズミが二匹、耳を塞いでいました。





「親分!忘れた象は帰ったみたいでっせ」





「よし!我々の記憶は守られたようだ!さぁっ早くアワイに帰るぞ!」





「そうっすね!帰ってわたっこ食べましょう!」





そのネズミ達は何やら大きな袋を持っています。





「ネズミがしゃべった!」





ミトコの声に親分らしきネズミはビックリして飛び上がりました。





「ちゅ。ちゅう!」





「どうしたんです親分・・・・げげ!人間だ!」





子分らしきネズミがそう言うと親分は、子分を殴ってひっつかみ、ササササーと袋共々ベッドの下に入っていきます。ミトコは不思議なできごとにワクワクして、ネズミ達を追いかけてベッドの下に入りました。


親分は、慌てて虹色のビー玉を出してネズミ穴に押し付けます。


すると、なんてことでしょう!ネズミ穴が虹色に輝き、二匹は穴に吸い込まれていきました。


その時、子分が吸い込まれるまぎわ、虹色のビー玉を落としていきました。





「あのビー玉で穴の中に入れるのかな?」





ミトコは、子分の落としたビー玉を拾い、親分がしていたようにそのビー玉をネズミ穴に押し付けてみました。


すると、ピカッとネズミ穴が虹色に輝きミトコは思わず目を閉じました。


そして、次に目が覚めた時ミトコは虹色のトンネルの中に居ました。





「ここはどこ?」





虹色がくるくる回るトンネルをゆっくり歩いていきます。


長いトンネルを歩いているとなんだか頭がおかしくなりそうです





「きれいだけど変なトンネル、私が私じゃなくなるみたい、ちゃんと覚えてなきゃ、確認しながら歩こう、私はミトコ7才、好きなものはヌイグルミとドーナツ嫌いなものはナスと湖」





ミトコは自分のことを確認しながら長いトンネルを歩いていきます。しばらく歩いていると

 

虹色のトンネルには似合わない木の扉が出てきました。


ミトコがその扉を開けて中に入ってみると一面の花畑の中に目にいたいほどの赤い煉瓦の道がミトコの足元から一本だけ伸びています。




「わぁ、イチゴみたいに赤い道」





後ろを振り返ると扉は無くなっていて、不思議に思いながら辺りを見渡すと見たこともないような蝶や鳥がいてワクワクしていると赤い道の先に何か落ちています





「なんだろう」





ミトコは興味津々に近寄ってみます。近づく度にそれは大きくなってミトコと大きさがかわらないくらいのヌイグルミ二体がありました。


挿絵(By みてみん)



「ヌイグルミだぁ!」





ミトコは嬉しくなって走って近づいていきます。


そのヌイグルミは目や鼻、体の節々にボタンを使っている犬のヌイグルミと


目や口いろんなところにチャックで模様づけされた猫のヌイグルミでした。





「大きなヌイグルミ!かっわいいなぁ!」





ミトコがその人形に触れようとした時、犬のヌイグルミがぴょんと起き上がりました。





「きゃっ!」





「あれれ?ここどこだぁ?チャック?!チャック!ここどこだい!?ねぇねぇ!!チャック!花がいっぱいだ!どこかなここ!」





尻尾を振って何が嬉しいのか飛び回る犬のヌイグルミに鬱陶しそうな顔をした猫のヌイグルミのチャックは知らん顔ですが犬のヌイグルミは飛び回ります。





するとミトコが目に入ったのか、犬のヌイグルミはチャックの回りを跳び跳ねるのをやめてミトコに突進してきました。





「あ、君!ここどこか知ってる?あは!てか君誰?てか君人形?僕はねカフスてっ言うよ!君なんて言うの!てかなんで僕たち動けるのかな!?なんでかな!?」





押し倒さんばかりの勢いでこられて、ミトコはタジタジです。その騒々しい二人?にのそのそとチャックが、近づいてきてカフスにパンチをし、そのままカフスの口下に付いた紐を鼻のボタンにかけてだまらせました。





「んーんー!んんん!」





「うるさいにゃす、少しは落ち着けにゃす、まったく、これだから犬は、いやにゃす」





チャックはそう言いながら尻尾でバシバシと地面を叩いて不機嫌そう、





「で、君は誰にゃす?それからここはどこか教えるにゃす」





チャックはイライラしながら聞くものだから、ミトコはその態度にムッとしてしまって不機嫌に言い返しました。





「私はミトコだよ、それから人に聞くのにその態度は失礼だよ!」





「うるさいにゃす、しらなかったらそれでいいにゃす、他に話の聞けるやつを探すにゃす」





チャックの態度にミトコは、プンプン怒ります。





「じゃぁさ!じゃぁさ!この道の先に行こうよ!誰かいるかもよ!」





いつのまにかボタンをはずしたカフスが楽しそうに言いながら赤い道をどんどん進んで行きます。





ミトコもチャックも行く場所なんて無いので、仕方なくカフスに続いて歩いていきます。


しばらく歩くと二匹のネズミのようなものがいました。なぜネズミのようなものかと言うと服を着ていて、ネズミにしては大きかったからです。だってミトコと大きさがかわらないのです。





「まったく、虹玉をどこにやったんだ!」





「すいやせん、親分、ちゃんと袋に入れてたんすけど、穴が開いちまっていたみたいで」





「まさか、人間界においてきたんじゃあるめぇな!?そんなことありゃ母様に怒られちまうぞ!」





どうやらミトコの部屋にいたネズミのようです。探しているのは、ミトコが拾った虹色のビー玉のようです。





「探しているのはこれですか?」





ミトコは、ネズミの目の前にビー玉を出しました。するとネズミ達は飛び上がりました。





「どひゃぁ!」


「虹玉だ!」





子分は喜んでミトコの手ごと虹玉をつかんで親方の目の前に持っていきました。





「親分!虹玉ですよぉ!お人形さんありがとう!」





「ばっきゃろう!この子はどう見ても人間じゃねぇか!」





「えぇ!本当だ!人間がなんでこっちにいるんだぁ!?僕の虹玉で来ちゃったのぉ!?」





ネズミ達はたいそう驚いて慌てています。ミトコはどうやら悪いことをしてしまったようです。





「ごめんなさい、二人?がしゃべっているところを見てつい、追いかけてしまったの」





すると親分はキッと子分を睨みました。





「なんてこったい!お前が決まりどおりにネズミのマネをしなかったからこうなったんでい!」





親分はぷんぷん怒って子分をこづきました。子分は、いててと言いながら頭をさすります。





「すいやせん親分、俺がうっかりしていたせいでこんなことになっちまって」





子分はしぼんだように小さくなってしまいました。


親分はやれやれと首をふってため息をもらしました。





「来ちまったもんはしかたねぇ、ところでその後ろのやつらはなんでここにいんだい?」





親分は心底不思議そうにたずねました。


その質問にやっとかまってもらえるカフスは飛び付く勢いで答えます





「わかんない!ぼそって落とされて!目が覚めたらチャックとミトコと一緒にいたよ!」





カフスの言葉に親分は、ハッとして子分の袋を見ました。子分も親分の視線で自分のもうひとつの失敗に気がつきました。カフスとチャックは子分の袋から落っこちたのです。





「ひぃ!すいやせん親分!」





「このばかやろう!大事な袋に穴あけやがって!しかもこいつら押し入れにいたやつらじゃねぇか!」





「すいやせん!押し入れに無造作に落っこちていたんで、いらねぇもんだとばっかり!」





「ばっきゃろう!捨てられているオモチャだけ回収すんだろうが!」





どうやらカフスやチャックもいけないことをしていたようで、自分だけじゃないことに安心したミトコでしたが、親分がカンカンに子分を怒っていて先に進みたくても進めません。


しばらくして親分はまた、ため息を漏らし、ミトコ達の方を向きました。


怒られるんじゃないのかとちょっとビクッとしたミトコ達





「しかたねぇ、それよりあんたら忘れた象が居た時に居たのか、なんか大切なもん食われてねぇか?」





それを聞いてミトコは自分がとっても大事な物を探していたことを思い出しましたが、何を探していたかが思い出せません


ミトコは焦りました。だってきっと、とっても大事なもののはずなのです。





「どうしよう親分さん、私とっても大事な物を忘れているみたいなの!とっても大事な物のはずなのにどうしても思い出せないの!」





ミトコはそう言ってわんわん泣き出してしまい、親分はどうすれば良いのかわからず困ってしまいました。


わんわん、わんわんミトコの涙は止まりません。そこにブーンと言う虫の羽の音がします。子分は、その音を聴いてあわてました。





「大変だ!泣きっ面に蜂が来た!」





親分も音に気が付き、子分と一緒に慌ててミトコの手を引っ張って走りだします。


チャックとカフスは訳がわからないけれど、とりあえずミトコ達を追いかけて走ります。


手を引っ張られるミトコも突然の出来事にビックリして涙が引っ込んでしまいました。

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