第72話 ギルドクエスト~クエスト完了~
マールのーー洞窟にブラックスコーピオン達の家族がいたーーと言った事に僕達は驚いた。
「ほ、本当なの!? マール!」僕が聞いたら、「うん。ベアーズに付いて洞窟に行ったら、中にも大人のブラックスコーピオンと何体か子供のブラックスコーピオンがいたの」
それを聞いてハウル様は守備隊長さんと共に洞窟へ向かい、僕達は兄ちゃん達にもこの事を伝えるため兄ちゃん達が戦っている方へ向かった。
兄ちゃん達が戦っている所へ着いた時には、兄ちゃんが最後の1体に止めを刺そうとしていた。
すぐに僕が「兄ちゃん、待ったぁーー!」と叫んだ。その声に反応して兄ちゃんが刺すのを直前で止めた。
そして僕達が近くに着いたところで「いきなり何あ……言い出すんだレックス! そっちはどうしたんだ!!」と聞いてきたので、「じ、実は······」と洞窟の事を伝えた。
残っていたブラックスコーピオンにもベアーズが説明をした。
「ま、まさか」「本当です。私も確認しました」「今ハウル様と守備隊長さんも洞窟に入って確認しているから」と伝えたところで洞窟前に全員で向かった。
洞窟前に着いたところで既に2人も洞窟から出て来ていた。
「ハウル様!」「おぉ、アッシュ。マール殿の言った通りじゃった。中に母親と子供のブラックスコーピオンがおったわ」
「ではこのブラックスコーピオン達は?」「うむ。家族や仲間を守ろうとしただけなのかもしれんのぉ」とハウル様が仰った。その事が確実となった事で僕達は驚愕した。
「でも、何でこの洞窟にブラックスコーピオンが何体も出没したんですか?」と僕が聞いたら、「洞窟の奥に水路がありまして、その水路が海底洞窟内の水溜まりに繋がっていたんです。恐らくその水路を使って移住してきたのかと······」守備隊長さんがそう説明してくれた。
「じゃあ、俺達がした事は?」「······無駄な戦いじゃったと言う事じゃな。結果的には」
ハウル様の言葉に僕達はもちろん、特に兄ちゃんが一番ショックを受けていた。全権を任されたのだから当然か。
(だけど······)「それで守備隊長殿。この一件どう対応なさるつもり何じゃ?」とハウル様が守備隊長さんに尋ねた。
「事情が分かりましたので、残ったブラックスコーピオン達だけとでも共生する方法を考えさせてもらおうと考えています」
「つまり、ブラックスコーピオン達と共生する意思は海人族側にはあるんじゃな?」「もちろんです。今回もすぐ近くに大量発生したので心配したまでですので」「そうか」
するとハウル様が「なら儂らも色々と動くとしなければな、アッシュ?」「えっ?」「動くって?」
僕が尋ねたら、「守備隊長殿、国王に事情を説明してあれの錬成準備を頼んで下され。今回は少々多くなってしまうが」「あれ? って、まさか!?」
「マール殿、街にいるメリッサ殿とアリス殿、お医者殿に事情を説明してブラックスコーピオン達の怪我の治療を出来る物を持って砂浜に来てもらって下され」「わ、分かりました」
「後の者は海底洞窟へあれを取りに行くぞ」「あれって、まさかハウル様」「そういうことじゃ」ハウル様が各自に指示を出して僕達は海底洞窟へ向かった。
その道中で兄ちゃん達にハウル様が行おうとしている事ーー命の石でブラックスコーピオン達を生き返らせるつもりーーを説明した。流石にそれを聞いて全員が驚いていた。
そして海底洞窟に着いて中に入り、途中シーハーフマンに何体か遭遇したが皆で軽くあしらって奥へ進み、命の石の原石があるフロアに辿り着いた。
今回はビッグクラブの姿は見えなかったので、必要な数を取って洞窟を出た。
そしてそのまま僕と兄ちゃん、ハウル様がお城へ向かい、国王様に命の石へ変換してもらって砂浜へ戻った。
砂浜では既にお医者さんやお姉ちゃん達が残ったブラックスコーピオン達の治療をしていた。
そして僕達が殺してしまったブラックスコーピオン達は、僕と兄ちゃんが手分けして命の石で生き返らせた。
全員を生き返らせたところでちょうど治療も終わったようだ。そしてベアーズに頼んでブラックスコーピオン達に事情を話してもらった。
ベアーズの話を聞いてブラックスコーピオン達も理解したみたいで、全員が大人しくなった。
その後はハウル様が仲介に入って話し合いが行われ、砂浜の1部をブラックスコーピオン達のエリアにして海人族は立ち入らない事としたのだった。
こうして今回のギルドクエストは取り敢えずクエスト完了となった。
この後僕達は全員お城でおもてなしを受け、守備隊長さんからクエスト完了の証をもらって学校へ戻った。
そして兄ちゃんと僕は校長室へ行ってジルコニー校長に今回の報告をした。
「事情は分かった。その辺りの事も私からギルドに報告しておこう。ご苦労だったな2人共」「はい」と返事した兄ちゃんの声は暗かった。
「今回は君にとって貴重な経験だったな、アッシュ君」「はい。ただ闇雲に魔物を倒せば良いだけでは無いという事を痛感致しました」
「そうだな。それは我々やギルドはもちろん、他の種族ら全員に言える事かも知れないな。それに······」「それに?」
「我々は今回それを動物のクマであるベアーズ君に教えられた事も忘れてはならないな」
「「!!」」確かに、今回ベアーズが洞窟の存在に気付いたからブラックスコーピオン達の家族の存在も気付けたんだ。
「故に」「ゆえに?」そこでジルコニー校長が後ろを向き「あいつの事も色々と考え直してもいい頃かもな」
「えっ、あっ!」僕もジルコニー校長が見た方を見たら、学校に帰ってすぐスペースに戻したはずのベアーズが窓の外からこちらを覗いていたのだった。
「べ、ベアーズ!」「君は知らなかっただろうが、あいつああして頻繁にスペースを抜け出して学校の中を走り回っとるんだからな」「えー!?」それは本当に知らなかった。
「ま、それも今日までで良いかもな」「え?」
翌日、ベアーズのスペースが一部改良され、ベアーズが自由に出入り出来る部分が設けられたのだった······。




