第7話 森へ
「ふぅ、終わった」
ファンタジック歴1092年、神の使いとの会話から何年も年月が過ぎ、僕は少し前にもう5歳になった。
あの会話でトロル襲撃を回避できる望みが出来た事で、自分で自由に歩き回れるようになってからは家の色々な手伝いや主にアッシュ兄ちゃんやアリスと、そしてたまに村の他の子供達と遊んだり、そしてアリスのおじさんとおばさんがお医者さんだという事で色々な薬草や医療に関する情報が書かれた様々な書物を持っており、たまにその何冊かを借りて家で読んだりしながら皆にはバレないように少しずつ知識や体力を身につけていったのであった。
確かに知識や体力は前世で死んだ13歳までに蓄積したものがそのまま今の身体に移されたけど、トロルが襲撃してくる事が分かっているのといないのでは日頃のそれらに向き合う気持ちも違ってくるので、まさに今は1つ1つの行動を大事に取り組むようにしている。で今は母さんに頼まれて行っていた薪割りが頼まれていた分を全部終えたところだ。
「母さん、薪割り終えたよ」「あぁご苦労様。もうすぐお父さんが帰ってくるだろうから、それから夕ご飯にしましょう」
「うん分かった。じゃあそれまでアリスん家に行ってくるね」「えぇ、テレンシアさんのお邪魔にならないようにね」「はーい!」
そう言ってすぐ隣のアリスの家に行き、外から窓を覗いて誰も患者が来てないのを確認して家の中に入った。
「ジョーおじさん、こんばんは」とアリスのお父さんのジョーンズ(僕も含めて皆はジョーと呼んでいる)さんに挨拶した。
「やぁレックス君。今日はどうしたんだい?」「昨日見せてもらった本の続きが気になって見せてもらいに」「あぁ、あの本ね。書斎にあるから持って行って家で読むといいよ」「ありがとう。そうさせてもらいます」そう挨拶して奥の書斎へ向かった。
何度も来ているので目的の部屋まではすぐに着くことができ、その部屋に着く直前にアリスと遭遇し、「あっ、レックス!」「やぁアリス」「今日はどうしたの?(もしかして、私に会いに?)」
「おじさんに本を見せてもらおうと頼みに来たんだけど、持ってって良いって言ってくれたからそれを書斎に取りに来たんだ」「あっ、そう」とやりとりをして書斎に入り、目的の本を探し当てた。
「本当にレックスはお父さんの持ってる本に興味津々なのね」「ウン。だって本当に色々な情報が載ってるんだもん」そう、これから間違いなく必要となる様々な情報が。
「フーン、そうなんだ」「じゃあね、アリス。また明日」「うん、また明日」
そう言ってジョーおじさんにも挨拶をしてアリスの家を出た。
そして家に入る直前に「おーーい、レックスー!」と声の聞こえた方を振り向くと「父さん!!」ちょうど父さんらが帰ってきた。
「おかえり」「おう。今日も上出来だ!」そう言って左手に持っていた獲物を見せてくれた。
「うわぁ、凄い!」「そうだろう。さぁ、晩御飯にしよう」「うん!」と言って一緒に家路に着いた。
そして夕ご飯を食べた後、父さんが突然「なぁレックス」「何父さん?」「お前もついこの間5歳になったよな」「うん、そうだけど?」
「明日、俺と一緒に森に行って狩りをしに行かないか?」「えっ、良いの!」「あぁ、レオん所のアッシュ君も5歳になった時に連れて来たし、明日はその2人と狩りに行くからちょうど良いだろ」
「うん、行く行く!」「じゃあ今日は早く寝ろよ」「分かった。おやすみ!」「って早すぎるだろ!」と言って僕は部屋に向かった。
そしてすぐに寝······ないで借りてきた薬草に関する本を見ながら明日の事を考えていた。
明日は初めて森に行けるんだ、楽しみだ。確か前世でも同じ時期に森へ初めて行ったんだっけ。
あれ、そういえば初めて森に行ったとき何か大きな出来事が起こったような。何だったっけ?
まっ、いいか。そろそろ寝よっと。
こうして僕は眠りについたのであったが、この森での出来事が後々の未来に大きく影響が起こる事になろうとは思いもしてなかった。