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第195話 避難拠点づくり4~材料集め・ガラス~

 土石材調達の目処をたたせた僕達が次に考える事となった物は······。


「次は窓とかに使うためのガラスだな」「そうですね」(ガラスかぁ。そういえば······)「あの、そもそもガラスはどのように調達しているのでしょうか?」


 よく色々な所で見掛けてはいるが、正直ガラスの調達方法や各形に作る方法は知らなかった。


「基本は"輝石"と呼ばれている石を利用していて、それを溶かしたり加工してそれぞれの用途に使っているんだ」「そうなんですか」


「うん。その輝石も北方の岩山地帯の洞窟の中にもあることはあるんだけど······」「流石に今回は窓ガラスだけでも数百軒分作らなければならないからなぁ。そこにあるだけでは全然足りないんだ」


「やはり他に調達できる所を考えないといけませんねぇ」「あぁ」


 隊長とマーシュが話している間、(輝石······石、かぁ)と思っていたらある人物を思い浮かべ、「あの隊長。もしかしたら輝石を大量に調達できる場所を知っているかもしれない人物に心当たりがありますので、その人に聞いてきましょうか?」と尋ねた。


「何!? 本当かい? レックス君」「誰だよ、それ?」「ピエールだよ」「ピエ······あっ、そうか! 確かにあいつなら」「ねっ?」


「ピエールって、ひょっとして団長の······」「はい、そうです」「確かに彼なら······良し! なら2人で聞いてきてくれ!」「「はい!」」僕達はピエールに輝石の事を聞くために養成学校の寄宿舎に向かった。


 寄宿舎に着いてピエールの部屋を確認し、「ピエール、レックスだけどいるか?」部屋を尋ねた。


 すると、「レ、レックスさん! ちょっと待って下さい!」(いた!)中から声が聞こえ、その直後ドアが開いた。


「レックスさん!」「久しぶり」「お久しぶりです。そちらの方は?」


「マーシュだよ、ピエール」「あっ、マーシュさん! お久しぶりです。どうしたんですか、お二人で?」


「ちょっと君に聞きたい事があって」「えっ? 取り敢えず、どうぞ」と部屋の中に促された。


 部屋に入って僕はすぐ机の上に置かれていた本に目が止まった。(まだ愛読してるんだ)と思って見ていたら、「あぁ、その本ですか? 実はずっと読み続けている事が両親に知られまして、買ってもらったんです」


「じゃあこれ自分の何だ!」「はい」「そこまで読みふけってるんだね、この"鉱石分布録"」そう、その本とは1年生の頃から図書室で読み続けていた鉱石分布録であった。


「ならきっとあの事も知っているだろうね」「ああ。そうだな」「あの事?」「うん。実は······」と僕はピエールに今の状況を説明し、輝石の事を尋ねた。


「そ、そんな事に」「うん。それでガラスが大量に必要となるんだけど、その材料の輝石を大量に手に入れられる所を知らないか聞きに来たんだ」「それでしたら······海人族に尋ねてみると良いかもしれません」「「海人族に!?」」思いがけない言葉が返ってきたので僕達は2人で驚いた。


「はい。海人族は輝石を用いてアクセサリーや陶芸品、日用品などを作っていると本に書いてありましたし、授業で先生から教えてもらいましたから」「そういえば······前にアリス達へのプレゼントを買いに行った時も高価なガラス製のアクセサリーや小物が多く売られていたよね?」「あっ、そうだった」確かにあの時高価すぎて誰も何も買えなかった事を覚えていた。


「それだけ分かれば十分だよ。ありがとう、ピエール。本当に石や鉱石の事は詳しくなったな」「いえ。正直それだけで」


「いや、それだけでも十分だよ。恐らくそれだけで僕らの部隊では重宝されるだろうよ」とマーシュに言われて恥ずかしがりながら「ありがとうございます、マーシュさん」と答えた。


 その後僕達はピエールの部屋を出て本部に戻って青い移動の羽でマリンタウンに飛んだ。


「で、これからどうするんだ?」「まずアークさんに話を聞きに行こう」「アークさん? あっ!」


「うん。あの人なら輝石をどこから調達しているのか知ってるはずだろうから」「そうだな」というわけでアークさんのお店に向かった。


「アークさん!」「んー、ん? レ、レックスか?」「お久しぶりです」「レックス! ホントに久しぶりだなぁ。そっちは······」「マーシュです」「おぉ、マーシュか。どうしたんだ、2人で?」「実は······」とアークさんにも事情を話して輝石の事を尋ねた。


「輝石かぁ。確かに今も城のモンがちょくちょく取りに行っているなぁ」「お城の人が?」「あぁ。マリンタウンから北西の岬の崖下に洞窟が空いていてな。そこから調達してきていると聞いた事がある」


「そうだったんですか」「あぁ。んでそれを町の者に配給してそれぞれ売り物を作ったり、自分達で使う物にしてもらってるんだよ」「分かりました。取り敢えず国王様に尋ねてみます」「あぁ。それが良いだろう」とアークさんのお店を出た。


「まさかお城の人が取りに行ってるとはなぁ」「取り敢えず後は隊長に報告してから動く事にしよう」「だな」そうして一旦本部に戻り、隊長の下に向かった。


「そうか、海人族が」「はい。ですので国王様に頼めば輝石を分けてもらえるかと思います」「そうだな。なら······」と言って隊長が何かを考えだした。


 そして、「レックス、マーシュ。その事を団長に報告して3人で国王様に頼んで来てくれ」「えっ? 隊長は?」「俺はその間に別でやる事があるから、今回は別行動だ」「分かりました」「頼んだぞ!」「「はい!」」と僕達は部屋を出た。


 僕達が部屋を出て少しした後、「さてと」と隊長も部屋を出たのだった······。


 僕達は隊長の部屋を出てすぐ団長室に向かい事の経緯を話した。


「そうか、ヒューズ君が······」「はい。それで国王様の所には3人で頼みに向かってくれと仰っていました」「分かった。早速頼みに行こう」「「はい!」」


 こうして僕達は再び移動の羽でマリンタウンに飛び、すぐお城に向かって国王様と再会した。


「やぁレックス君。そちらの方々は?」「初めまして。私はサンドリア王国騎士団団長のパーシバルと申します」「レックスと同じ騎士団員のマーシュです」団長とマーシュが自己紹介をした。


「騎士団の団長殿がわざわざどのようなご用件で?」「実は······」と団長からヒト族の領土内で起こっている事が説明され、その後僕達の考えている計画のために輝石が大量に必要である事を伝えた。


「まさか、その様な事に」「はい。そのために是非ともこちらで調達しております輝石を分けて頂きたく願い出た次第です」「ええ、構いませんよ。好きなだけ持っていって下さい」「す、好きなだけって······」


 流石にそれはと思っていたら、「いや本当に構わないんだよ。一度にたくさん調達しても、暫くしたら再び同じ辺りに現れているのだからね」「そ、そうなんですか!?」「ああ」それを聞いて改めて僕達は喜んだ。


「ありがとうございます!」「ただ、その岬へは船でしか行けなくてね。流石に今すぐにとは······」と国王様が続けようとしたが、「それは構いません。我々の方も準備が必要ですので、······2日後では如何でしょうか?」


「ええ。それぐらいあればこちらも準備は可能です」「では2日後に。その際は私の代わりの者がこの者らを伴って伺いに参りますので、その節はよろしくお願い致します」「ええ。分かりました」と約束を交わしてお城を出た。


「まさかこんなにあっさりいくとはな。ドワーフ族の時と違って」「そうだね。ところで団長、代わりの者って?」先ほど団長の言った事について質問した。


「ああ。今のところはアッシュ隊に同行してもらおうと思っているんだ」「アッシュ隊に?」「アッシュ君なら今までも国王様と何度もお会いしているからお互い接しやすいだろう。それに輝石の大きさ次第だが、恐らく民家1軒に1つは必要となると想定すると、最低400個以上は必要となるだろうから、持ち運べる人数が多いに越したことはないだろうからね」「よ、400個!!」流石に本当に多いになぁと驚いた。


「それに、万が一何かあった際には適切に対応出来るだろうから、ね」「ま、万が一って、どういう?」「特に深い意味はないよ。だから"万が一"って言ったのさ」と団長は答えた。僕もそれ以上は何も聞かず本部に戻った。


 本部に戻ってからは輝石を取りに行く準備を整えた後は体を休め、翌日団長から兄ちゃん達と調整がついたので正式にアッシュ隊が同行すると伝えられた。そしてその翌日······。


 事前に兄ちゃんと正面入口で集合する事にしていて、僕達が先に到着した。


 兄ちゃん達を待っている時マーシュが「ところでレックス。今さらこんなこと聞くのも野暮だろうが、アッシュさんとの仲は元に戻ったのか?」と聞いてきたので、「······何の事?」「······オイ」ととぼけた反応をみせマーシュを呆れかえさせた。 


 その時「おーい!」兄ちゃん達がやって来た。「悪い、待たせたか?」「いーえ、僕達もさっき来たばかりですから。アッシュ"副隊長殿"」と答えた。


 直後、カチーン! と周囲が凍りつくような雰囲気となった。「そうか、それは良かったよ。"レックス君"」と兄ちゃんも返してきた。


 カチーン!! 更に周囲が凍りついてしまった。直後、「「アハ、アハハハ、アーハッハッハッハッ······」」2人で同時に大笑いしだした。


 そんな僕達の様子を見た他の3人は、(まだ仲が直ってなかったのかー!)と感じた。


 しかしそのすぐ後、「「ハッハッハッ、冗談だよ」」と3人を見ながら僕達は答えた。


 ズゴォッ! それを聞いた直後に3人はその場にズッコケたのだった。「「アッシュさん!!」」「レックス!!」と流石に3人は僕達に怒りをぶつけた。


「いやぁ悪い悪い」「ゴメンゴメン」と僕達は平謝りをした。


 取り敢えず3人に許してもらって僕達はそのまま移動の羽でマリンタウンに飛び、お城に向かい王の間へと向かった。 


 団長の言っていた代わりの者が兄ちゃんだと分かり国王様も「おぉ、アッシュ君!」「お久しぶりです、国王様」「そうか、パーシバル殿が仰っていた代わりの者とは君だったのか」


「はい。今回は私が責任者として同行させて頂きます」「それなら()()も緊張しなくて済むかもな」「彼女?」国王様の言葉を聞いて僕達は不思議に感じた。


 そんな僕達の様子を見て国王様はニコッと笑って「こちらが今回君達と同行するこちら側のメンバーだよ」と3人を僕達に紹介した。


 その内の1人を見て僕達は驚いた。何とその1人とは、「「マ、マール!?」」だったのだ。


「お久しぶりです。アッシュさん、レックス」とマールは笑顔で答えた。

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