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第163話 訓練3~武器と乗馬訓練~

 翌日もいつも通り準備して出発し準備運動を行った。


 その後ブライ教官から「では本日も合図があるまで各自昨日伝えた通りの訓練を行うように。解散!」と言われ、早速打撃武器の倉庫に向かった。


 そして爪を持ち出して塊に打ち込みだした。やっぱり1番しっくりきてるなぁと感じたが、一旦倉庫に戻って爪を戻し昨日あまり時間を取れなかった手甲に交換して打ち込んでみた。時間を使って打ち込んでみたが、爪よりはやっぱりしっくりこなかった。


 取り敢えず手甲も戻しその後剣系の倉庫に向かって保管されている短剣を全種類持ち出した。そして塊に斬りつけたり遠くから投げ込んだりしてみた。全ての種類でそれぞれ数回試した結果、やはりダガーが1番手応えを感じたのだった。


 これで2種類の武器を決定出来たところでダガー以外の短剣を返し、ダガーを持ったまま打撃武器倉庫に向かって爪を取り出して塊に戻った。


 その後は爪で打ち込みながら短剣を投げ込んだり、短剣で斬り込んで時間を過ごした。


 そうして······。「よし、今日はここまで!」あっという間にその日が終わり、ブライ教官から終了の合図が言い渡された。


「今日は全員ご苦労だった。明日も同じように時間を設けて武器を決めてもらう。なお、もし今日で武器を決定出来た者は、明日は次の訓練内容の乗馬を先に軽く実施するのでそのつもりでいるように。では解散!」と言われ武器を返して部屋に戻った。


 その夜兄ちゃんに武器を決めた事と乗馬訓練を実施する事を話した。


「そっか、いよいよ乗馬かぁ」「うん。乗馬は初めてだし、馬に乗るのも兄ちゃん達と団員さんを捜索しに行った時以来だから緊張してるんだよね」「まぁ何でも最初はそうだろう」「うん」


 そんな会話をしている最中、ふと数日前に見た夢の内容が気になり兄ちゃんに聞いてみた。


「兄ちゃん1つ聞いていい?」「何だ?」


「騎士団で飼ってる馬の中に、頭の髪の毛が若干緑色の毛を生やした馬っている?」「頭の髪の毛が若干緑色······そういやぁ、1頭そんな馬がいたっけな」


「いるの?」「あぁ。その馬がどうかしたのか?」「多分その馬に乗る事になると思うから」


「そうなのか?」「うん。その馬に乗ってる光景を夢でついこの間見たもんだから」その時の事を思い返していた。


「へぇ、そうなんだ」兄ちゃんは何か引っ掛かる言い方をしてきたが、取り敢えずこの話はそれで終わり、そのまま寝る事にした。



 翌日も準備運動まではいつも通り過ぎていった。そして準備運動を終えた後、「では昨日伝えた通り武器を選び終えた者はこの場に残り、まだの者は武器を選びに行くように。では解散!」ブライ教官の話の後、多くの者が武器を選びに行き、僕も含め5、6人だけがその場に残った。


「やはりそなた達は選び終えておったか。では付いて参れ」と言われ僕達はブライ教官に付いて行った。


 ブライ教官に連れられある小屋のような建物に連れて来られ、その小屋の前に1人の男性がいてその人に「おーい、シドー!」ブライ教官が声を掛けた。


 シドと呼ばれた人は僕達の方を見て「おぉ、ブライ。今年ももう来たか」と言った。その人に近付いたところで「こちらは騎士団で各種動物の世話をしているシドだ」「初めまして」ブライ教官からシドさんの紹介と、シドさんが挨拶をしたので僕達も返した。


「コイツらはもう武器選びを初日で終わらせたから先に連れて来たんだ」「なるほど。分かった」と会話を交わして「ではお前達にはこの中にいる馬から1頭選んでもらう。取り敢えずはコイツだと感じた馬で構わないからな。ただし、奥にいる白い馬は騎士団長の専用馬なのでそれは選ばぬように」と説明を受けて中に入った。


 小屋の中には数十頭の馬が放たれていた。僕以外の人は入口近くの馬からゆっくり馬を見定めていたが、僕だけはあの馬を探してどんどん奥に向かって行き、そして······(いた!)。


 少し奥のスペースにいたあの頭の髪の毛が若干緑色でサイズが他の馬よりやや小さい馬を見つけた。(やっぱりいたか)と思いながらその馬に近付いた。


 馬の方も僕に気付きこちらを見た。そしてその馬の正面に立ったところで(久しぶり)と言わんばかりに見つめていた。


 すると、その馬もゆっくりと僕に近付き柵から顔を出して僕に近付けた。その顔を僕は手で撫でてやった。


 ちょうどそこへシドがやって来て、僕達のその光景を見て驚いていた。そして気持ちを落ち着かせたところで僕に「その馬にするのか?」と聞いてきた。  


 シドさんに聞かれ一度馬の方を見た後僕は「はい!」と答えた。


「そうか」と言ってシドはその馬のスペースの柵に近付き、「ならその馬の手綱をしっかり持っておれ」と言われたので手綱を握ったところで前方の柵が外された。


「では馬を連れて付いてくるんだ」と言われたのでシドさんの後に続いた。


 他の人達はまだ馬を選んでいるようであったのでシドさんがブライ教官に「ブライ、コイツはもう馬を決めたようだから先に外へ出ておるから、後の者はお主に任せたぞ」「ん? あぁ、分かった」とブライ教官も答え僕達は外に出た。


 外に出たところでシドさんから馬を扱う時の基本的な内容を指導してもらったところで馬を座らせ、またがったところで立ち上げた後、ゆっくりと走らせ出した。


 そして徐々にスピードを上げさせ、あっという間に乗りこなしてみせたのだった。


 それにはシドも驚き、ちょうど馬を選び終えて出てきたブライ教官や他の人も驚いて見ていた。 


 ブライ教官らが出て来たのが見えたので一旦皆の所に戻った。そしてブライ教官から「レックス、だったか? もう馬を乗りこなせれたのか?」と聞かれ「みたいです」と答えた。


 さらにシドさんから「今まで乗馬の経験をどこかでした事があるのかね?」と聞かれたので、「いえ、今日が初めてです」と答えたら2人で「「えっ?」」と反応し、さらに「しかも、馬に乗るのもこれが生まれて2回目です」と伝えたら「「えーー!?」」と驚かれた。


 その後シドさんは残りの人に僕に教えた事を指導し、その人達が乗れれるようになるまで付いていて、ブライ教官は武器選びをしている皆の所に戻った。

 

 そして僕は······。「それっ!」あの馬をもう扱い慣らして普通に走らせていた。少し前にシドさんからも「取り敢えずは1人ででも心配無いだろう」とお墨付きを頂いたので小屋からも少し離れた場所まで走らせていたのだった。


 走らせながら自分でも(初日からこんなにも走らせれるようになるなんて)と感じていた。


 そんな僕の様子をたまたま用事で近くを通り掛かったパーシバル団長が見掛け、その乗馬が素晴らしかったのでシドさんの所に向かった。


 シドの方もようやく残りの全員が馬をゆっくり走らせられるようになったので一安心していた。


 そこへ「シドさん」パーシバル団長が声を掛けた。「おぉ、団長」「凄いですね、レックス君。もうあんなにも馬を走らせられるようになったなんて」と言うと、「ええ。おまけに彼は乗馬は初めてで馬に乗るのも生まれて2回目だと言うんですから」と聞いたら「そ、そうだったんですか!」パーシバル団長もさすがに驚いていた。


 さらにシドは「しかしそれ以上に驚いている事があるんですよ」と言い、「驚いている事?」パーシバル団長が聞き返すと、「団長、あの馬覚えてませんか? 頭の辺りの毛が緑色の······」


「あの馬······まさか?」「そうです。去年親を失くし、それ以降誰も乗せてはいなかったあの馬ですよ」「それを、レックス君が乗りこなしているのですか?」


「おまけに小屋の中ででもあいつの方から彼に近付いた様子でしたから」「まさか、あの馬が」


「ええ。ひょっとしたら彼とあいつとは何らかの絆が既に結ばれていたのかもしれませんなぁ」「確かに、そうかもしれませんね」と会話を交わしたのだった。


 その後時間となったのでシドさんから終了の合図が掛かって馬を小屋に戻した後、シドさんから伝えられた塊の訓練場所に向かった。


 僕達が戻って来たのを確認したところでブライ教官が「よし、そこまで!」と言った。


「全員この2日間で取り敢えず自分に合った武器を選べたはずだ。そこで明日は組手大会を実施する。方法は前回同様勝った者同士と負けた者同士とで進める方針だ。それ以降はまたその時伝える。以上だ!」と言って解散となった。


 解散となったところで、「レックス!」ジャックを始め知り合いが皆僕に近寄って来た。そして今日の乗馬訓練の事を聞いてきたので僕も感想を言いながら宿舎に帰った。


 そして夜に兄ちゃんにも乗馬の話をした。「そうかぁ。もうあの馬を乗りこなせたんかぁ」「うん。何とかね」


「シドさんも驚いていただろ?」「ん? 何で?」「シドさんから聞いてないのか? あの馬まだ子馬なんだけど、その親馬がつい去年失くなったんだよ」「そうだったの!?」初耳だった。


「それ以降誰も背中に乗せた事が無かったんだよ」「知らなかったよ。でも、だからなのかも」「だからって?」「そういう理由が前の時もあったから、同じ境遇だった僕と息が合ったのかもしれない」「なるほど。かもしれないな」と会話を交わした。


 その後、「ところで兄ちゃん。あれだけしか馬がいないから当然1頭に何人も交替して乗馬する事になるんだから、馬に名前なんて付けないはずだよね?」「あぁ。普通は誰も付けないが、何でだ?」「夢の中で走らせながら確か名前を叫んだような気がしたから」


 あの時ーー行くぞ、--!ーー(確かに名前を叫んだような······)と思い返していた。


「まぁそれもそのうち思い出すんじゃねぇか?」「そうだね」と言ってその話を終えて眠ったのだった······。

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