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第149話 卒業試験に向けて

 ハウル様達の下を訪れ協力を仰いだ翌日、いよいよ最後の学期が始まった。


 また初日に教室へ向かい時間となってハインリヒ先生がやって来た。「皆おはよう。いよいよ最後の学期となったが、今期はこれまでと色々変更点がある」と前置きを述べて今期の授業方針を説明された。


 まず、中間発表会やマックス先生への報告は廃止となった。


 その上で、僕達のクラスはSランクのクエストを1つとAランクのクエストを最低5つ以上を含めて10個以上のクエストを完了させるように努め、それを達成し自信を持つ事が出来たらハインリヒ先生に報告をするように言われた。


 それらの内容次第で卒業試験の課題を与えるか判断される事となり、その課題を達成出来れば卒業との事だった。


 そして、先程の条件を達成出来ればいつハインリヒ先生の下を訪れても構わないと言われた。


「つまり、今日明日でクエストをあっさり完了させて来るもよし。1、2ヶ月かかって完了させるもよし。全ては君達の努力次第という事だ」と述べて教室を出られた。


 先生が出て行って早速僕も含めて多くの生徒がギルドに向かった。 



 ギルドに着いて中を覗き、"彼女"がまだ来てなかったので外で待っていたらジェシーがやって来た。


「先に来てたのね」「うん。中を覗いたけどいなかったからここで待ってたんだ」「ありがとう」と会話を交わし、昨日話し合ったようにお互いのやりたいクエストを2人 (とベアーズ)で協力して行う事にしていたので早速ボードを確認した。


 ちょうどお互いのやりたいクエストの各依頼主が近くに住んでいたのでその2つを受理してもらい、まず僕のクエストを完了させ、その後ジェシーのクエストを完了させた。


 ギルドに戻って後1つぐらい出来る時間があったのでボードを確認したら、ジェシーがやりたがるクエストがあったのでそれを2人で実施し、その日は終わった。


 翌日もお互いやりたいクエストがあったのでそれぞれ受けて順番に完了させ、今度は僕のやりたいクエストがあったのでそれを2人で実施し、それも早く終わってしまったので他にクエストを探していた時、ネールに見つかってしまった。


 ジェシーがネールに説明しようとしたらネールも僕らの事は承知していたみたいで、明日からは自分も加わると言ってきた。


「でも」流石に3人のやりたい事をと思っていたら、「私の事は気にしなくて構わない。卒業出来れば良い故に十分時間があるのだからな」と言ってくれたのだった。


 そのため明日からは3人 (とベアーズ)で行動をする事にし、今日はたまたまネールのやりたいクエストしかなかったのでそれを3人で実施した。


 そして翌日には3人で僕とジェシーのやりたいクエストを優先して実施し、さらにその翌日にはネールがライアンを連れて来たのだった。


 ライアンの方はネールと違って僕と一緒という事が気に入らなさそうだったが、ジェシーから「嫌なら私の護衛役を降りても良いのよ?」と言われ渋々了承したのだった。


 そうしてその日から4人 (とベアーズ)で僕とジェシーのやりたいクエストを中心に実施していった。


 やはり4人で実施するだけあって1つ1つのクエストはあっという間に完了させられた。


 またクエストをこなすにつれて僕とライアンやネールとの関係も徐々に良好な雰囲気になっていった······。


 それ故に僕の頭の中ではあの水晶玉の事が気になりだし、(多分このまま行けば2人とも問題なく付き合って行けるだろう)と思いだしたのだった。


 そのようにクエストを行った結果、新学期開始僅か数日間でAランクを5個以上含めた僕が9個、ジェシーが8個ものクエストを完了させられたのだった。


 そして翌日クエストを探しに来た時、大きな選択を迫られる事になった。



 早速ボードを確認し、すぐにそれぞれの依頼主が近い僕とジェシーのやりたいクエスト(共にAランク)を発見したが、ふと別にあったクエストを発見して見た時、以前夏季休暇前に受けた試験の事を思い出して固まってしまった。


 そんな僕の様子を見掛けたライアンが「どうした? レックス」と声を掛けてきて、ジェシーも「レックス?」と声を掛けてきた。


 それに答えるように「ライアン、夏期休暇前に受けた筆記試験の問題覚えてる?」「ん? ああ。将来やりたい事とどのクエストを選ぶかと、仲間と依頼主のどちらの命を取るかって問題だろ?」「うん。その"どのクエストを選ぶか"って問題と似た状況となったんだよ」「えっ?」と言って先ほどの3つのクエストをライアンに示した。


 それを見てライアンもあっと気付いた。そんな僕らの様子を見てジェシーが「どういう事? レックス」と聞いてきたので説明を始めた。


「今までの流れからだとこの2つ(先ほどのAランク)を選ぶ事になるよね?」「ええ、そうよね」「ただ、こんなクエストを見つけたんだ」と先ほど見つけたSランクの捜索クエストの依頼書を指した。


「これ」「うん。捜索系のクエストでSランクなんだけど、さっきの依頼主達の所とは離れているから一緒に行うのは難しいよね?」「う、うん」「それを思って夏期休暇前に受けた試験の問題を思い出したんだ」とジェシーやネールに僕達が受けた試験内容を伝えた。


 その説明を聞いた上で「それじゃあ」「うん。今回のケースだと自分もそうだし、ジェシーの事を考えて確実に恐らく早く完了出来るこのAランクを選ぶか、自分だけが多分卒業試験を受けれる条件を満たせるこのSランクを選ぶかが、まさにあの試験問題とそっくりなんだ」と伝えた。


 それを聞いてジェシーだけでなく、ネールにライアンも固まっていた。


「それで、お前はあの時何て答えたんだ?」とライアンが聞いてきたので、「僕はあの時······」と解答内容を思い出しながら依頼書の1つを手に取って解答した内容"これから進む道は先がどうなるか分からない状況ばかりとなるため、経験の有無に関係なく確実に条件を達成出来る方を選ぶ事にすると思う"って答えたと言いながら、Sランクの依頼書を皆に見せた。


 そして、「それでもしこのクエストを完了させられたら、そのまま卒業試験に挑むつもりだよ」と答えた。


 するとジェシーが「そっか。やっぱりそうだよね」と言いつつ「頑張ってねレックス。私もこのクエストを頑張るから」と先ほどのAランクの依頼書を手にした。


「うん。お互い頑張ろう!」と声を掛けて受理してもらってギルドを出た。



 ギルドを出たところで一緒に付いて来ているベアーズに「ベアーズ、このクエストは僕1人でやるから、スペースに戻ってて」と伝えたら、ベアーズはチラッと僕を見た後すぐ学校の方へ走って行った。


 その様子を見た後僕は依頼主の所に向かって内容を聞き、そして何とか1人でクエストを完了させられたところでハインリヒ先生の所に向かった。


「ハインリヒ先生!」「おおレックス、どうした? ······もしや?」「ハイ!」と完了させたクエストの依頼書を取り出しながら「卒業試験を、受けに来ました!」とはっきり伝えた。

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