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第142話 プレゼント~VSクロコダイル~

 僕達が陸地に落ちている物に見とれている中、突然ベアーズがある方向を向いて唸りだした。


 すぐ傍にいた僕が気付いて「どうした? ベアー」ズと言い終わる前に僕も何かの気配を感じ取り、その方向を見たら明らかに"何か"がいた。


 そこで「皆!」3人に呼び掛けてこちらに注目させ、「向こうに何かいるよ!」と伝えた。


 それを聞いて3人とも驚き、その後ジャックとロースが僕の隣に来た。


 そして奥から現れたのは······。「あれは、クロコダイルだ!」全長数メートルある巨大なクロコダイルであった。「な、なんてデカさだ」そう言っていたらクロコダイルが急速にこちらへ突進してきた。


「来るよ!」僕がそう言った直後、シッポを振り回してきた。


「うわっ!」全員間一髪で避ける事が出来た。


「このっ!」ロースが弓を射たが鱗に弾かれた。


「っく、やっぱり駄目か」続いて僕とジャックが剣で斬りかかったが、こちらも歯が立たない状態だった。


「全然効いてない!」「くそっ!」再びクロコダイルが僕やジャックに目掛けて突進してきた。


「「うわっ!」」今回も何とか避けられたが、埒が明かなかった。


「ったく、剣も弓も通じねぇんじゃあ手の打ちようがないじゃねぇか!」ジャックがぼやいたところでふと僕が他の2人に「ねぇ、ひょっとしてアークさんの言おうとしてた事って、()()()の事だったんじゃあ?」「「······あっ!」」2人もそう思ったようだ(大した事あるじゃないですか、アークさーん!)。


 その頃、当のアークは店にある酒瓶の1つを見て「······あっ、思い出した! そういやぁレックス達に教えた場所には凶暴なクロコダイルが居座ってたんだ! ······けどあいつらなら何とかするだろぉ」と開き直っていた。



 一方そのレックス達は······「「うわっ!」」未だにクロコダイルの突進やシッポ攻撃に翻弄させられていた。


「ホントにどうすれば?」「レックス、取り敢えず僕やジャックで注意を引き付けるから、その間に奴の弱点を調べるんだ!」「分かった!」


 ロースに言われて僕はクロコダイルから少し距離を置いた後、集中スキルの覚醒で奴の弱点を探り、背面の鱗の一部が弱点だと分かって皆に伝えた。


「んなとこどうやって攻撃すりゃあ良いんだよ?」確かに。


 そう僕らが思っていたら、マーシュが自分の持ってきた鞄をあさり出し、その中からある物を取り出した。


 そして唐突に「皆ー! 一旦そいつから離れてっ!」と言ったので僕達はクロコダイルから距離を取った。


 その後マーシュが、「これでも、くらえっ!」と叫びながらクロコダイル目掛けて先ほど鞄から取り出した小袋を投げつけた。


 その小袋はクロコダイルの鼻先に当たったらパンッ! と破裂し、その辺りに中身の粉末が飛び交った。


 その直後、「グルル······グ、グゥ······」なんとクロコダイルが眠ってしまったのだ。


 その光景を見てマーシュが、「今だよ、レックス!」と叫んだので僕は念のためクロコダイルの背後から弱点の鱗部分に近付き、そこを短剣で刺して息の根を止めた。


 何とかクロコダイルを倒せたところで、「マーシュ、さっき投げた小袋って?」ロースがマーシュに尋ねた。


「スリープパウダーって言う眠り粉だよ。クエストとかで外に出掛ける際にあれと痺れ粉であるナンナスパウダーを入れた小袋を2、3個はいつも持ち歩いてるんだ」「そうだったんだ。取り敢えず助かったよ」「うん」


 マーシュが先ほどの小袋の中身の説明をして僕がお礼を言ったところで、「まぁ取り敢えず他に何も来ない内に拾っちまおうぜ」とジャックが言って僕達はそれぞれお目当ての貝殻などを拾い集めたのだった。


 各々が十分拾い集めたところで切り上げて海底洞窟を出た。そして······。



「いやー、悪かった悪かった。あいつの事すっかり忘れてたぜぇ」文句を言うためにアークさんのお店に来てこう切り出されたのだが、許すはずがなく僕達は全員でアークさんを睨み続けた。


 特にベアーズの睨みがきつかったみたいで、「わ、分かった分かった。俺が出来る事は何でも協力するから、そいつの顔を止めさせてくれ」と言ってきた。


 というわけで、アークさんの好意に甘え(脅し)て拾った貝殻などを安く加工する事が出来たのだった。


 ちなみに、ロースは小さな貝殻をイヤリングに、マーシュはいくつかの真珠を用いてバングルに、そしてジャックは小さくてキレイな貝殻をブローチに加工してもらった。


 僕はというと、「本当にレックスは良いのか?」「うん。僕はこのまま渡すつもりだから」と言ってキレイな形をしたそこそこの大きさである貝殻を見せ、「お前なぁ」とマーシュに呆れ返られた。


 まぁ僕からアリスへのプレゼントはこれぐらいで十分だろう。それより······。


 アリスへの誕生日プレゼントとは別にジェシーへの全快祝い用として拾っておいた物を気にした。



 後日それを持って僕は······ガチャ!「いらっしゃい、レックス君」初めてお姉ちゃんの部屋を訪れた。


 あの後孤児院でお姉ちゃんにジェシーへの全快祝いのプレゼントの事を相談し、お姉ちゃんの部屋で一緒に準備する事にしたので訪れたところだ。そうしてお姉ちゃんにも手伝ってもらってプレゼントする物を完成させた。


 そしてそれぞれ希望した物に加工してもらったところで、ロースはすぐにエイミーにイヤリングをプレゼントし、久しぶりにもらったからなのかとても喜ばれたと聞いた。


 マーシュと僕は数日後に訪れたアリスの誕生日に今年は2人してプレゼントを贈り、どちらも受け取って喜んでいた(どちらかと言えばマーシュからもらった方で······)。


 最後にジャックについては······。



「まぁいつでも渡せれるように持っていれば、そのうち渡せるよきっと」「······だな」


 海底洞窟を訪れた後に次の中間発表会の日の事を一応伝えたところ、発表会に出て来て数個のクエストを実施していたようでその報告を行った。


 そして発表会が終わり、僕から誘ってギルドに向かっているところであった。

 

 その際取り敢えず肌身離さず例のブローチを持っていると言ったので先ほどの会話となった。


その時ベアーズが何かに反応して走り出した。


「あっ、おい······」言いたい事を続けようとしたら、ベアーズが向かった先にジェシーを見掛けたのだった。


「っ! ジャック」「あっ」先に僕達が気付き、ベアーズを抱き上げたところでジェシーも僕達の存在に気付いた。そして「ジャック」と呟いたところで僕達に近付いた。


「久しぶりね、ジャック」「ああ。皆から聞いてたんだけど、怪我本当に治ったみたいだね」「うん。ドクトリー先生達のお陰でね」敢えて僕達の事は伏せてくれたみたいだ。


「良かった」「うん。だからジャック、本当に怪我の事は気にしなくて良いから」「レックスにもそう言われたよ」「私からレックスにそう伝えてって頼んだから」


「それも聞いてる。だから一旦一区切りする意味も兼ねて、全快祝いとしてこれを受け取ってほしいんだ」と言って閉まっておいたブローチを取り出した。


「これ!」「レックス達と海人族の海底洞窟の中にある地底湖を訪れて、そこにあった貝殻で作ってもらったんだ」


「そんな所があったんだ!」と言ってブローチを受け取り、「キレイ。ありがとう、ジャック。大事にするわね!」「ああ」ようやく2人のわだかまりも解けたようだ。


(未来の事も気にしなきゃならないけど、取り敢えず今はこれで良かったんだよな)


 そう思って2人を見ながら、自分が用意したジェシーへの全快祝いのプレゼントを入れたポケットに手を添えたのであった······。

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