第100話 大戦準備~アリス・メリッサ~
「この辺りだな。よーし各自分散して採掘開始だ!」「「はい!」」
現在私達サポート科は来たるダークエルフ達との戦いに備え、武器や防具を武具屋へ注文する時に提供する鉱石を採掘するため、1年生のピエール君が教えてくれた採掘場所へ分担して訪れる事となった。
私もその内、以前頼み事を引き受けた時にレックスやお兄ちゃんが採掘しに来た洞窟へ主に銀鉱石や金鉱石、他にも取れる鉱石を求めてやって来て、ちょうど採掘場所に到着して採掘を始めようとしていた。
開始早々多くの生徒が「ありました!」「こちらにも」「こっちには······」次々と目的の鉱石の発見報告の声が飛び交い、私もようやく「······あ、銀鉱石ありました!」銀鉱石発見の報告が出来たのだった。
徐々に目的の鉱石が集まってきたのですが、未だに最大の目的の1つである金鉱石は誰も発掘出来ていないのでした······。
時間の経過と共に先生から適宜休憩を取るようにと言われていた事もあって、作業を中断して休む生徒も現れ出しました。
そんな周りの事は構わないと言わんばかりに、私は一所懸命に発掘作業を続けていました。けれど、そんな私の様子を見越してか一緒の場所に訪れていたお姉ちゃんが、「アリスちゃん。少し休憩しましょ?」と声を掛けてくれました。
流石に少し無理をしていたかもと気付いてお姉ちゃんの誘いに従い、近くで休憩を取る事にした。
そして「焦る気持ちは分からないでもないけど、焦っても出ない時は出ないだろうから、ね」「はい。そうですね」心の中を見透かされたかのような言葉を掛けてくれたのでした(確かに、心のどこかでレックスのように皆の役に立ちたいと思って焦っていたかもしれないな······)。
そこへ「隣いいかい? アリス」マーシュも休憩を取りに来た。「あぁマーシュ。良いわよ」マーシュが隣に座った。
「どれぐらい採掘出来た?」と聞いてきたので、「銀鉱石が1つと、あとリストに載っていた鉱石が少々よ。そっちは?」「こっちはリストに載っていた分は結構採掘出来たけど、まだ金鉱石どころか銀鉱石すら見つけられてないよ」「そっかぁ」とそれぞれ答えた。
「しょうがないわよ。これまでも多く採掘されてきたんだし、金鉱石に至ってはレックス君達もベアーズの力があったから容易に発見出来たみたいだったから」とお姉ちゃんが言ってくれた。
「そういえば、私達との合同授業で亜人族領境の鉱山へ採掘しに行った時も、ベアーズが金鉱石を振り当てて、後々大騒ぎになったんだっけ」「そういやぁ、そんな事あったな」「でしょ。だから見つからなければ他の人に頼ったり、別の機会に手に入れれば良いって気持ちでいれば良いのよ」お姉ちゃんがそう言ってくれた事で少しは気持ちも楽になった。
「それじゃあ、先に採掘に戻るわね」「はい」と言ってお姉ちゃんは元の場所に戻って行った。
「ホントに優しい人だよな、メリッサ先輩って」「うん。そうだね」本当にお兄ちゃんがお姉ちゃんと付き合ってくれてつくづく良かったって思った。
「それじゃあそろそろ僕達も再開しよっか」「そうね」と私達も採掘を再開させた。
その直後、「あっ······き、金鉱石見つけましたー!」再開してすぐにマーシュが金鉱石を掘り当てたのでした。
その後も他の生徒やお姉ちゃんなども金鉱石を発見し、そうして無事必要な分をそれぞれ採掘出来た事で私達は洞窟を出ました······。