29話 栽培前の準備
魔物を披露した後、俺は畑の方へ向かうことにした。
それにラウル、ルナ、サーニャが同行する。
「なぁ次は一体何をするんだ? とっておきの作物を用意するって言ってたけど、そんなの出来るのか?」
「アルマが言ったことは実現するに決まってる。ラウルはそう思わないの?」
「思うけどさぁ、流石に作物って一度に収穫できる量とか決まってるじゃん? どんなにいいものを持ってきてもそれだけで食糧を賄えるとは思えなくてなぁ」
「そうですよねー。私もそう思います。今までとんでもないことをしてきたアルマさんでも今回ばかりは難しいんじゃないかなーって」
「はははっ、確かにラウルやサーニャの言う通りだよ。一度に収穫できる量は今までとそう変わらない」
むしろ収穫できる量は今まで通りの方が都合は良い。
慣れない作業は、慣れるまでに時間がかかるからな。
「……その口振りだと何か他に策があるってことか?」
「もちろん」
「す、すごい……! その策を早く見てみたいです!」
「大丈夫。すぐに見せることになると思うから」
なにせその作物は俺の【アイテムボックス】の中にあるのだから。
畑に到着した俺は土を片手ですくってから、品質を確認した。
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[土]《品質:低》
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まぁそうだよなって感じの品質だ。
収穫していたカブの品質が低だったので、土もそれと同様だろう。
この品質をあげていかなければならない。
最低でも極上には達していないと、俺が収穫したいと思っている作物は育たない。
この畑以外の畑も品質は低、と見て間違いないだろう。
全ての畑の品質を極上まで引き上げる必要がある。
1つずつ品質を上げていこう。
品質を上げる際に必要になってくるのは土の中に含まれている魔素の量だ。
魔素の量を増やすことによって、土の品質も上がっていく。
魔素を増やす方法はカブのときと同じように俺が魔力を送ることも一つだ。
しかし、そんなことをしていては他の畑にある土の品質を上げられない。
それにはもっと膨大な魔力が必要になるのだ。
現実的じゃない。
だからこれを使うんだ。
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[豊穣神の肥料]
穀物や農作物の豊穣を司る豊穣神から授かった肥料。
この肥料を畑にまくことによって、収穫される作物の品質は大きく上昇する。
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これはダンジョンの宝箱に入っていたような気がするな。
出現するモンスターの強さもかなりのもので宝箱の中身もめちゃくちゃ豪華なダンジョンだった思い出がある。
[豊穣神の肥料]は結構量があるので、足りなくなったと困ることは当分ないだろう。
「またなんか取り出したな……ん、それは肥料か?」
「そうそう。これを畑にまくんだ」
「え? 作物は?」
「作物を育てるための準備だよ。まぁ準備に3日はかかるかな」
土の品質を極上にするまでの日数は大体3日だろう。
「準備に3日だと……!?」
「流石に3日はかかってしまうな。無理をすれば今日中に出来るだろうけど、それをやるぐらいなら他の作業を進めちゃった方が効率良いだろうし」
「いやいや、俺は遅い的な意味で言ったんじゃないからな? 農作業するのに準備が3日って早すぎないか? って意味だからな!」
「なるほど、そういうことか。……早いかな?」
俺がそう尋ねると、3人は首を縦に振った。
そっかー。
3日は早いかぁ。
「まぁでも早ければ早いほど良いよな! ってことで、早速準備に取り掛かろう」
俺は[豊穣神の肥料]を3人に渡して、領内の畑にまいてきてもらうように頼んだ。
そして無事に肥料をまきおわった俺たちは、ルナの家に帰ってきた。
「ふぅ〜、まきおわったぜ」
「みんなお疲れ様」
みんなに手伝ってもらったおかげでスムーズに進んだ。
あとは3日経つのを待つだけだ。
「アルマさん、これから何をするんですか? 3日経つまで他のことをやるって言ってましたけど」
「そうだなぁ……開拓作業でも手伝おうかな」
「良いですね! 私も手伝います!」
「私も手伝う」
「ははっ、ありがとう二人とも」
「もちろん俺も手伝うぜ。明日はみんなで開拓作業だな!」
「それは楽しそうだ」
魔物を披露した一件で領民達から少し認めてもらえるようになったのは間違いないが、それでもまだ足りない。
開拓作業を通じて、その距離を更に縮められれば良いな。




