18話 悩み【畑を荒らす魔物】
サーニャに続いてルナの両親が玄関にやってきた。
俺とラウルは両親と軽い挨拶を交わした。
「わざわざ遠いところからフランドル領に来てくれてありがとう。僕はエリック。こっちは妻のメイベルだ」
「メイベルです。これからよろしくねアルマさん、ラウルさん」
「「よろしくお願いします!」」
ルナの父はエリック、母はメイベル。
どちらも良い人そうで俺達が領地に来てくれたことをとても歓迎してくれた。
その後は夕食を一緒に食べて、空き部屋を貸してもらった。
当分の間はこの部屋を使ってもいいとのこと。
部屋にはベッドが二つ置いてあり、俺とラウルは同じ部屋で眠った。
「おはようございまーす。朝ですよー」
「んん……? ああ、サーニャか」
部屋の扉を開けて、俺達を起こしてくれたのはサーニャだった。
「ふわあぁ……歩き疲れてたのか、まだ寝足りねーなぁ」
ラウルも目を覚ましたが、どうやら疲労が溜まっているらしい。
眠そうな目であくびをしている。
「今日は朝食の後、フランドル領の案内と領民達に挨拶を済ませに行きますよー。優しい人ばかりなのできっと二人を歓迎してくれますよ!」
「昨日の夕食のときにエリックさんがそんなことを言ってたな。……よし、今日も一日頑張りますかっ!」
ラウルはベッドから起き上がって、頬をパンパンと叩いた。
加減を間違えたのか、ラウルの頬は少し赤くなっていた。
「ラウルさん、それ痛くないですか……?」
「……うん、痛い」
「……あはは」
サーニャもこれには苦笑いを浮かべるしか無かったようだ。
***
朝食を済ませてから、俺、ラウル、ルナ、サーニャで領内を歩いていた。
家屋の数はそう多くないが、使える土地はまだまだ沢山ありそうだ。
領民達は農作業、開拓作業、を主にこなしていた。
挨拶をすると、みんな笑顔で返してくれた。
「優しい人ばかりだなー」
「だよなぁ。タリステラにいた頃はさ、優しい人もたくさんいたけど、悪い奴もそこそこいたからなぁ」
「あ〜」
俺はラウルの言葉に共感をした。
あの冒険者の三人は間違いなく悪い奴に含まれるだろう。
あれを機に改心しているといいが。
「あれ? お二人はタリステラからやってきたんですか? あそこって商業都市ですよね?」
サーニャがそう言うと、ルナはビクッと肩を震わせた。
「……お姉ちゃん……まさか」
「……間違えは誰にでもある」
「うわああああ! お姉ちゃん! もう一人で旅しちゃダメだからね!」
「次こそは問題ない」
「ダメだからねっ!」
「……はい」
完全にルナが言い負かされていた。
ルナよりもサーニャの方が姉っぽいなぁ、と感じた。
畑に行くと、困っている様子の男性がいた。
もしやと思い、挨拶もかねて何かあったのか、尋ねてみることにした。
「どうかしたんですか?」
「ああ、最近魔物に畑を荒らされることが多くて困っているんだ。対策しようと案山子を置いてみたんだが、全く効果が無くてな……」
やはり、フェンリルの言っていたことが悩みの種になっているようだった。
「なるほど……、良ければその件に関して俺に任せてもらえませんか? 良い解決策があるんです」
「えっ、本当かい⁉︎ それが本当ならお願いしてもいいかな?」
「任せてください!」
領民の悩みを解決することでかなり信頼を得ることが出来るはずだ。
本当の意味で馴染むのならば、信頼を得ることは欠かせない。
それにこの方法を使えば、魔物という労働力も同時に確保できる。
さて、それじゃあ人助けといきますか。
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