14話 フェンリル
ストレスが原因で体調を崩してしまったので、一旦感想欄を閉じさせて頂きます。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
(別に嫌な感想がいっぱい来たとかじゃないよ!)
そして『世界最強の努力家2巻』本日発売です。
都市の門を抜け、ルナの領地に向けて出発する。
ルナは方位磁針を手に取り、方角を確認しながら歩行する。
俺とラウルもそれについて行く。
この辺りは草原で周囲がよく見える。
もう少し先には、木々が高く生えている。
進行方向を考えると、あの森林に入るのは間違いないだろう。
「……しかし、あれだな。何でこんなに魔物が寄って来ないんだろうな」
ラウルは遠くにいるボアが俺達とは逆方向に走って行くのを確認してから、不安げに呟いた。
「ほんとどうしてだろうな」
「ボアは良い食糧になるのに勿体ない」
「……そういう問題か?」
「うん」
「ハハハ、ルナらしいな。……でもほんと不気味だぜ」
ラウルは相変わらず不安に思っているようだ。
「確かに不安に思うかもしれないけどさ、考えても答えは見つからないんだから前向きになろうぜ」
「お、おう。……そうだよな! うん、考えるだけ無駄だ!」
「これは空元気」
「……ええ、そうですとも」
ルナの発言にラウルはがくりと肩をすくめた。
草原を抜け、予想通り森林に足を踏み入れた。
やはり、森林の中でも魔物に遭遇する事は無かった。
しかしラウルは不安を口にしなかった。
その分、不安を紛らわせるためか、口数は多いように感じた。
「そろそろ日が暮れるな。野営の準備をした方がいいんじゃないか?」
俺は二人に野営の提案をした。
今まで魔物に遭遇していないとはいえ、夜の移動は危険だ。
まぁこの辺りの魔物はぶっちゃけそんなに強くないので大丈夫だとは思うが。
「あーそうだな。じゃあ俺は薪になりそうな木の枝を集めてくるよ」
「お、それじゃあ任せた」
「あいよっ!」
「私はどうすればいい?」
「じゃあ俺の手伝いをしてくれ」
「ん、分かった」
俺たちは野営の準備に取り掛かった。
【アイテムボックス】から必要な物を取り出して、俺とルナはテントを設営した。
ラウルが持ってきた薪に火魔法【トーチ】で火を起こした。
焚き火の周りで俺たちは食事をする。
──そんな中、俺は此処へ高速で接近してくる気配を感じ取った。
木の枝の上を駆けているようだ。
人ではなく、魔物……。
それも四足歩行の魔物だ。
上手く気配を隠して接近しているようだが、俺を誤魔化す事は出来ない。
野営地の横に生えている木の枝の上に、そいつは姿を現した。
体毛が銀色に輝く大狼──フェンリル。
流石の俺でも知っている強力な魔物だ。
[ 名 前 ] フェンリル
[ レベル ] 1050
[ 魔 力 ] 4500
[ 攻撃力 ] 5260
[ 防御力 ] 2820
[ 持久力 ] 4560
[ 俊敏力 ] 6100
やはり中々の強さを誇っている。
「おお! これ結構うめえな!」
「うん、案外いける」
ラウルとルナはそいつの存在に気付くことなく、食事を楽しんでいる。
普通なら、フェンリルの存在を教えてあげるべきだろうが、今回は教えない方が得策だと俺は考えた。
何故なら、あのフェンリルからは敵対心をほとんど感じないからだ。
『お主か……』
フェンリルは【念話】で俺に語りかけてきた。
俺はフェンリルに視線を向け、【念話】で返事をする。
『あの、フェンリルに知り合いはいないんですけど』
『そういう事ではない。森に足を踏み入れた化物がどんな者なのか確認に来ただけだ』
『……化物? 化物はむしろフェンリルの方じゃないか?』
『何を言っておる。お主、自分の魔力の大きさを自覚しておらんのか?』
『いや、魔力だけは誰にも負けない自信がある』
そうでなければ、一度目の人生を強くなるためだけに捧げた意味がない。
『その魔力のせいで森の魔物供がお主を恐れておったぞ』
『何故……? 魔法を使うとき以外は、体外に魔力が流れないようにしているのに……』
『我々魔物は人よりも魔力を感知することが優れており、それでお主の魔力の総量を感じ取ってしまったのだ。魔物が全く近寄って来ない、など身に覚えはないか?』
『……ある』
そういうことだったのか……。
ラウル、良かったな。
謎は解けたぞ。
『やはりな。……そこでそんなお主に一つ頼みたいことがある』
『頼みたいこと?』
『うむ。……どうか我の息子と一度会ってはくれないか?』
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