死者に散る弔い花
「救護隊、息子は大丈夫なのか・・?」
「ええ、命に問題はありません
しかし、脳の伝達機能が止まってます」
「なら・・・ 動けないのか?」
「いえ、一時的なものです
数ヵ月は立つ事も出来ないのですが」
「よかった、君は知っているか?」
「はい・・・・?」
「戦場で足を失った兵士が何と呼ばれるか」
「いえ 私は救護隊ですので... 」
「死人だ、その時点で軍の死者リスト
載ってしまう。そんな兵士は要らないと」
「ですが。他にも使い道があるのでは?」
「私も聞いたことがある・・・
兵士として役目を終えたのなら
他の役目が何処かにあるはずだ、それを」
「探してやれ、と命令した」
「そうすると・・・・ 」
「大統領、お言葉ですが
兵士一人にその待遇をしていては
軍は成り立たないのです。こう言ったよ」
「君も足だけは失わないようにな
君のここでの人生は終わってしまう 」
「はい。 軍曹!」
「あ・・・・ぐ..つ・・・」
「隊長、まだ起きてはいけない」
「軍曹! 彼は悪魔です・・・」
「ああ、理解しているよ」
「違う! 聞いてくれ・・・
あの男は彼女を奪って逃げた。」
「彼女¨ まさか───」
「確認してくれ、父さん・・・」
「あ、あぁ・・・ お前は大丈夫か?」
「心配はいらない、これでも軍人だ
並の鍛え方はしてないよ、身体は丈夫だ」
「そうか、そうか・・・・ 」
「ぐあ"」
「軍曹、これをまだ使えますよね」
「あぁ、隊長・・・ 君のは?」
「私は貴方の援護は出来ます
しかし、殺しは出来ません・・・ 軍曹」
【コン!コン!】
「軍曹、私です マティス少尉です」
「少尉、何の要かな?
それと、今さっきの音は何の音かな?」
「要があって来たんですよ
そうすると誰も入ってはいけない部屋に」
「誰かが入ろうとしていたのでね」
「音の理由は解った。要件の方は? 」
「いえ、ただ花を届けに来ただけですよ」
「大丈夫か?」
「一応。警戒を・・・」
「入って構わない。しかし君が花か?」
「弔い花ですよ」
「軍曹! 逃げ・・・・・・」
「隊長、貴方のね・・」
「少尉ィ!! 貴様正気か!?」
「貴方も言っていたでしょう?
戦場で足を失った兵士は使い物にならない」
「私もそれに同感ですよ 」
「息子は足を取り戻せる」
「しかし、ペンネの足は使えない」
「そんな! そんな理由で私の子を
私から奪ったのか!? 少尉! 答えろ!」
「え? 何かいけない事ですか?」
「私は本気で戦争をするつもりです」
「出来るだけ。弱者は省いておきたい
そのための処置ですよ。理解頂けましたか」
「理解など、出来るか・・・・
君はとても狂った人間だ。この手で 」
「君を殺したいよ・・・ 」
「フフフフ、仮面は外れる・・・」
「ルゥルゥルルテゥ~ンンン!」
「ここに神が居たなら。
きっと、お前を救ってくれる・・・ 」
「悪いことした、
だが、私には悪魔を殺す力はない」
「彼に賭けてみる。我が子よ、安らかに」
「火が観える・・・・ 始まったか」
「レオナルド様、迎えが来ました
平国の交渉人です。伝言もありますよ」
「解っているだろう?」
「私が伝言など聞かないことを」
「ハハッ・・・ 私"ですか──」
「何か?」
「いえ、もう支配者気取りなのかと」
「私は王にも神にも好かれなかった男だ
一度、たった一度位は夢を魅させてくれよ」
「第二王子では不満ですか?」
「いや、私が彼に負けている事こそが
私にとっては不満なのだよ 」
「では。平国にはこう言っておきます」
「これよりイギリス帝国は戦争を始める」