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黒人形  作者: トムネコ
ネーテは夜に泣く頃
12/38

あの日還らぬ森


真実が誰か大切な人を傷付けるとしたら



僕はきっと、真実を言えない

いつかは知るであろう。その答えは




「──嘘じゃな」



「え・・・」


「惚けても無駄じゃよ、知っておるか?」


「解りません、何の事かは」


「昔の話じゃ、神父の頃のな・・・・

いわゆる独白部屋、告解室で儂はの

良く、嘘を聞いたのじゃよ・・・すると」


「だんだん・・ 段々と嘘が解る様になる

それは嘘だ、これは真実だと・・・

しかし、仕方のないことでもある 」


「皆、秘密ほど隠したいものじゃ 」



「・・・・ そうですね」


「じゃろう、しかしの・・安心するといい

教会は死んでも喋らん、儂はそうじゃ

他の者は知らんが、もう歳じゃしの 」


「こんな老いぼれ死んでも誰の損にも

ならん、話してくれると嬉しいの・・お?」



「なら、貴方は僕の罪を背負うと?」


「ああぁ、イエスと共にの」



「フぅ・・・・ 僕は── やっぱり」


「無理かの、真実は辛いものじゃ

人はそれに耐えられん時がある。皆な」


「教皇様、聴いてくれますか?」


「聴くとも、イエスは汝を許し

また。光の道へと導く事を許される」



「──僕の名前は アーボルト・・・」



「なんと! ・・・・あの」



「本当の名前は───」


「アーボルト=オブ・ハインケルニア」


「今は失われし王族です」



「知っておる。道理で知ってる筈だ

君が幼き頃、儂が居た教会は森深く」


「その先には幻想的な世界がある

あの時、儂は初めて神を信じてしまった」


「しかし、その教会は朽ち始め

神はもう死にかけて居たのだろうの」



「会ったことがあると言いましたね」



「君がまだ、幼き頃じゃ・・・・」


「他には、聞きたい・・」


「愛に餓えているのじゃな、しかしの

儂には愛は与えられん、儂は神ではない」


「教えろ!!!」


「お主が禁忌に触れていなければ

話しておった、また悲劇を繰り返すか!」


「ならピエロは彼なのか!

どうやって生き返った、今は何処に居る」


「儂は救おうとしただけじゃ・・・ごぼっ」


「そうですか・・・・ 僕は神が嫌いだ

魂なんて創るから人はそれに縋るんだ」



「──お主はまた禁忌を犯すのか?」



「心がそう決めたら僕は誰だって救う

あの日、それだけは神に誓った・・・ 」


「声は返って来ませんけどね」


「・・・・復讐を狂気に変えてはならん」


「復讐じゃない、僕にとってはね」


「・・・?」


「やらなくちゃいけない事です」






ローゼ、君はもう奪わせない






「───真実は」








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