リンゴの間の光と闇は
「───いい質問だ」
そう言ったスミス大尉は 演説の様に
手を掲げる。 ──そして、語りだす
「キッドマン伍長、聞きたいことがある
だろうが、少し待ってくれ・・・・ 」
「いえ、待てません・・・・」
「・・・・ふぅ 伍長、規約があってね
それについてもだ、他にも話す事がある」
「だからこそ。この規約に詳しい少佐に
来て頂いたと言うわけだ、そうですよね」
「うむ・・・・ そうであったな」
「しかし、それでも待てないと言うのなら」
「勝手にするといい、だが覚えておけ
情報には必ず対価がある。それが何かを」
「では。辞めておきます」
「そうすると良い。君の為だ・・・
伍長、私は君に期待しているんだ・・ 」
「君がこの闇を何とかしてくれると
だから、死に忙ぐ必要はない・・・いいね」
「はい、大尉・・・」
「では! 解散とする
明日、7:00=より所属部隊を伝える」
「それまで自由行動だ、それまでは
楽しんでおけ、君達には最後の休日だ」
そう言われた軍人たちは・・・・
ここから背を向けていく、
軍人にはいつもこんな言葉がある
なぜ、君は死のうとする?
まだ・・・ 若いのにと、僕には違う
人にとって理由は様々だろうが
僕には情報を得るという理由がある
例え── それが何を引き換えにしたと
しても、僕にはそれしか道はない・・・・
「ゴーン! ゴーン!」
暗く沈みきった心には静寂が響く
しかし、その静寂すらかき消す音──
「教会?」
「はて?」
「なんだ、人が居たのか・・・」
「どこかで、あったかのう?」
「いえ、僕に見覚えが?」
「いや、きっと気のせいじゃ さ、入れ
そうだったの、お主の名前は? ほれ」
「ハナータ=リンゴ・ベル?」
「儂、」
「キリスト教13代教皇───」
「おお、長ったらしい肩書きじゃのう
まったく。言い辛くて叶わんのう・・」
「ほれ、儂は名乗ったぞ?」
「なら、僕って訳ですか・・・・」
「 シャルマーニ・J・キッドマン 」
「これが僕の名前です 」
かつて儂は言った・・・
この世は闇で満ちておると、
しかし。闇あればまた光あらん
世界に交差が有るのなら
この男は光と闇じゃった・・・・