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数学が嫌いだと言いながら、実は女性は微分方程式を解いている件

作者: さきら天悟

「意味ないじゃん」

彼女は言った。


「確かにそうだな。

台形の公式を覚えるなんて。

数学ができる人間はそんな公式を覚えない」

数学教師は台形の面積を求める公式を黒板に書いた。


台形の面積=(上底+下底)*高さ/2


彼女は一応スマホで撮る。


「数年前この公式を憶える必要があるか、と議論になったが、

そんなこと言うのは本当の意味を理解していないからだ」

数学教師は黒板に台形を書く。


  __

 /   \

 ――――


「これと同じ台形を逆さまに合わせる」


  _______

 /   \   /

 ――――――――


「そうすると、平行四辺形になるだろう。

平行四辺形は長方形の面積をもとめる時と同じで、底辺*高さ。

それが2つだから2で割るんだ」



女子高生はスマホを構えたまま。



「だから数学って面白いだろう」

彼は力説した。



「それで~」



数学に興味を持って貰うための掴みのネタだったが、

彼女には響かなかった。


「数学なんて学校を出たら、使わないでしょ。

だったら、意味ないじゃん」


ふ~、教師はため息をついた。

これから微分方程式の教えるのだ。


「確かにこんな公式、使うのはマレだ」

数学教師は教科書を指した。

「でも微分的思考は使っている」


「そんな訳ないじゃん」


「例えば微分美人」

数学教師は一つ頷く。


「ビブン美人~

字がうまい人?」


「吉田沙保里」


「ヨシダサオリ?

だれソレ

乃木坂?」


「金メダリスト。

レスリング女子の」

数学教師はレスリングのように低く構えた。


「ああッ!

霊長類最強のゴ」


「失礼なことを言うな」

数学教師は彼女の言葉を遮った。


「でも、最近キレイになったね」

彼女は意外とネットではなく、

テレビのバラエティー番組好きだった。


「最近、急にキレイになっただろう。

それが微分美人だ。

微分的思考とは、変化を見極めるという思考方法だ」


へー、と彼女は感心して言った。

「微分美人って言うんだ」


数学教師は首を振る。

「まあ、それは俺だけだけどな。

世間じゃあ、そんなこと言わない」


「面白いのに」


数学教師はニヤリとした。

彼女がのってきた、と判断した。

「実は、女性は何も意識しないで微分方程式を解いているんだ」


彼女は顔をしかめる。

「な、訳ないじゃん」


「カレシいたよな」


「個人情報じゃん」


「まあいい。

いたとする。

カレシの浮気とか、分かるよな」


「当たり前じゃん」


「なんで分かるんだ?」


「驚ドルし、

いつもと態度が違うじゃん」


「それだ」

数学教師は叫んだ。

「いつもとの変化を見つける、

それが微分方程式だ」


へー、と彼女は感心した。


「いつもと言葉、態度、微妙な雰囲気の違いで、浮気が分かってしまう。

つまり、女性の脳は微分方程式を解いて、浮気という解答を出しているんだ」

数学教師は手ごたえを感じた。

彼女は数学が好きになるという。

彼は彼女を見つめた。


「・・・からの」

彼女は言い放った。


数学教師は崩れ落ちそうになる膝を持ち直すのに精いっぱいだった。




その後、彼女はというと。

数学は好きなならず、

その洞察力を活かし、探偵になったそうな。

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