甘い味
「わぁ…!」
赤ずきんは思わず嬉しそうな声を出します。
そこには色とりどりの綺麗な花が所狭しと咲いていました。
赤ずきんはそっと花畑に座り、おばあちゃんの為に花束を作り始めました。
白、黄、桃、青…色とりどりの花を混ぜて出来た花束はとても良い匂いがしました。
花束を嬉しそうにかごに入れ、赤ずきんは再びおばあちゃんの家に向かおうとし、気付きます。
「あら、このお花初めて見るわ?」
そっと真っ赤な花に近付き、よく見ようとかがむ赤ずきん。
けれど、この花の香りは何処かで嗅いだことが…?
そこで赤ずきんは気付きます。
これは、赤い花じゃない。
” アカになった ” 花なのだと。
それでも赤ずきんはその花に手を伸ばしました。何故か、その花に触れたいと思うのです。
「…ぁ、」
花をつめば、赤ずきんの手に赤が付きます。
自分の手に付いた赤をそっと見つめ、何かに操られるかのように口の持っていき…
「…あ、まい」
口に広がるちょっと赤は、果物とも砂糖とも違う、独特な甘さがしました。
赤ずきんは我に返り、花を捨てその場から駆け出します。
口に未だ残る赤の甘さに、心臓を早鐘のように鳴らしながら赤ずきんは頬も赤くして道に戻るのでした…。
子供ってなんでも口にしますよね。