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陽の騎士と天の魔女  作者: 風鈴
第三章「薬剤師編」
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第七十四話

「は?! それ本気で言ってんのか?」

「……………………ナギナミでの騒動の後、その七つの大罪関連の捜査に進展は?」

 真っ先に驚愕してくれたクオンのおかげでなんとか平静に質問できたものの、心臓は走ってもいないのに爆走しているかのようだ。

「ないですね。少なくとも私の耳には入ってません」

 試験内容にしていいのかと思うほどに、ずいぶんかなり斜め上のぶっ飛んだ難易度を試験管たちは寄越してきたものだ。資格を持っている大人たちが捜索しても手がかりひとつ見つけられない七つの大罪という存在について、一学生のアマネがどう対処しろというのだろう。

 相手方は合格させたくないから、あえて無理難題を押し付けてきているようにも受け取れてしまう。

「おいおいおいおい! アマネに国家資格取らせるつもりあるのかよ! もっとなんとかできなかったのかよ」

「通知が来てすぐ抗議したんですがね……現場を離れた学校の理事長なんかが口出しするなと」

「ほんとかわいそうよねー。いったい誰が国家資格を立ち上げたのか、忘れちゃってるんですもの」

 唐突に後方からミラが会話に加わってきた。ファイルに目を通し終えたのか、前に出たミラは理事長に手渡す。

「内容に不備はなかったわ。でもほんとにまったく進展していないのね」

 呆れて肩をすくめるミラに、苦笑を返す理事長。今の会話に聞き逃してはいけないようなことがあった気がする。

「あの、国家資格を立ち上げたのかって言い方。それじゃあまるで……」

「あら、魔女を資格化したのも学校を立ち上げたのも、貴女の目の前にいる理事長よ」

「正確に言えば、年長者が挙げていた国家資格案を実現できるよう、あれこれしただけですが」

 ミラの発言はやんわりと訂正されているが、実現していなかったら魔女による無秩序世界になっていたかもしれない、非常に重要な事実だった。

 てっきり魔女の資格なのだから、発案したのも当時の魔女なのだと思っていた。寝物語や歴史の授業に出てくる内容にも、誰が資格を作ったのかなんて明記されていなかったはずだ。

 それにかなり昔に資格化されたわけで、理事長が当事者だったとなると見た目以上に高齢であるということになる。どう多く見積もっても、初老にしか見えない。

 疑っているのが顔に出ていたのだろう、理事長と目が合うと苦笑された。

「ふふ、まぁ信じるかどうかはお任せしますよ。ところで、貸し出し中の杖の調子はどうですか? 今手元にはないようですが」

「……話を聞くだけなら必要ないでしょう。部屋に、置いてあるわ」

 先の試験でヒビ入っちゃってーなどと口が裂けても言えるわけがない。それにウタが修理してくれるにしてもどこかしらの部屋での作業のはずなので、嘘はついていない。

「そうですか。調査の際は、自衛のためにも持っていくように。あ、出かける前にこの資料を読んでおいてくださいね」

 最初にミラが手にしていたものを理事長から受け取ったアマネは、ざっと中身を確認した。本職の魔女たちが七つの大罪について調査した報告書のようだった。主にアマネたちが大暴れした港町ナギナミを中心とした内容だったが、捕まえたネズミからも現場に残っていた物証からも、近隣住民の聞き込みからも特に手がかりは得られていない。進展なしのようで、余白が目に付くほど薄っぺらい内容だった。

 たった一枚で完結していた報告書には続きがあった。正確には、書くことがないはずなのに二枚目以降があり、めくってみるとびっしりと書き込まれた文字が、いつどの辺りで不審な魔力を検知したなどと明確な以上が報告に上がっていて目を疑った。

「捜査に進展はなかったんじゃ……?」

「ええ、向こうでは一切得られていないようですね。二枚目以降はミラ先生が」

「筆記テストの採点をしながらだったから、忙しかったわー」

 学校の仕事の片手間に捜査をして結果を得られたというのか。いや本人が直接調査に赴かなくても、使い魔にお願いすれば両方こなすことも難しくはないだろうが。

「お忙しいところ、ありがとうございました。やはり現場とは別ルートで調べてみるものですね」

 にこにこと嬉しそうな様子からして、現場こと相手方の態度に根に持っていたようだった。やはり油断ならない相手だ。

 資料は部屋で熟読することにして、ファイルといったん綴じて小脇に抱える。

「今日はとりあえず、資料を読み込んで明日以降の調査に備えることにします」

 定期的に報告はした方がいいのだろうか。借りた資料のように紙に落とせばいいだろうか、明日は何時からはじめようかと思考をめぐらせていると、理事長がひとつ頷いた。

「くれぐれも無茶はしないように。まぁミラ先生もいることですし、危険なことになりそうなら止めてくださるとは思いますが」

今年もお世話になりました。

来年もよろしくお願いします!

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