バイト君。10 緊急指示。
殴られたのは久々だ。
きれいに決まったのが分かった。
あー、やっぱり説明してからにするべきだった。
急ぎになってしまって少し焦ってしまったのは確かだが。
ココの関係者のお姉さんが止めてくれている。
<いったい何の恨みがあってこんなことを・・・>
すまん! 急がないといけない状況がユグドラシル(世界樹)に
起きてしまったんだ。
別の枝にトラブルがあって早急にこちらを処置するようにと
ジジイから指示がきたのだ。
あのルートを通ったのがコイツでなければ穴は開かずに弾かれたはずなのだが
穴を塞ぐ第一歩はコイツをもう一度通してからでないとできない相談だったのだ。
向こうに戻りたいなら別ルートで連れていくと言ったらなんとか落ち着いた。
ココですることは無いのか聞いてみたが
<死ぬことになったので身辺整理はしていた。
この部屋の解約はまだだったが婚約者の彼女がなんとかしてくれたようだ。
家族ももういない。
彼女が家族になってくれるはずだったんだ。>
<この世界は好きだが婚約者の彼女を一人にしたくない。
余命が短くてもせめていっしょにいたい。
彼女もそう言ってくれた。>
そこまで切々と言われるとは思わなかった・・。
彼女が神殿で修行を始めたことを教える。
呪いの解呪できる可能性は彼女が持っている。
アノ世界に戻ることは決定したが開いた穴の最終処理が済むまで
すこしだけ待ってもらうことにした。
コノ世界にもう一度戻るかどうかは彼女と相談するそうだ。
まあ、解呪が済んでからになるだろうが。
世界樹の枝の穴はもうじき完全に塞がるだろう。
あとはアノ世界の召喚陣を最終処理するだけだ。
できたらホイホイと気軽に勇者の召喚をしないようにさせたいところだ。
まあ、彼女の暴発を見てるから王様を一押ししておけばなんとかなるだろう。
結局アノ世界に戻ったのは6時間後だった。
お疲れさまー。
コレでバイト君のお仕事は完了だよね。
後処理として勇者くんたちのフォローが残ってるけど。
まあこれで枝先の50近いと言う諸世界の危機は回避されたわけです。
回避されなかったら・・・
うん・・・埒外ですね。
想像も空想もしないでおきましょう。
コワイで済まないでしょうから。




