将軍Q。1 手柄。
騎士のアルフォンスは負傷で一時後方基地にさがっていた。
欠損部位の復活ができる高位神官は貴重だ。
失うわけにはいかないので後方基地に置くしかないし
施術できる人数にも限りがある。
負傷者を全部助けてやれないのも戦場の現実と言わざるを得ない。
アルフォンスはあれで有能だからな、脳筋野郎だが。
そのまま戻ってこないのでどうしたのかと思っていたら
王都に呼び戻されて召喚された勇者と魔族が造った砦の攻略をしていたそうだ。
あの砦にはドキリとさせられた。
王都のあれほどすぐそばに突然ポンと置かれたように出現したのだから。
アルフォンスが後方基地から呼び戻されたのも無理もない話だろう。
主戦場から誰か呼び戻すより早かっただろうし。
脳筋だが統率力もあるしヒヨコどもしかいない王都の連中を纏めるには
いい人材なのは間違いない。
そろそろこちら(主戦場)に戻してほしいところだったのだが来たのは
魔術師3人と兵士10人ほど、オモチャな投石器が山ほど・・・。
なんだよコレ! 。
勇者が砦を落とすのに使ったお古だってえ? 。
こんなオモチャでどうすんだ! 。
そう思ったのだがオモチャなくせに威力に驚かされた。
矢のつきた弓兵たちが群がって的中の魔法をかけている。
あれって矢だけじゃあないのか! 。
組み立て式とやらの投石器も氷球を飛ばしている。
球の充填時間がやけに短いと思ったら水魔法で造った水球を
氷魔法で凍らせて飛ばしている。
なるほど・・氷魔法で最初から氷球をだすより早いな。
デカイし。
魔術師3人は魔導師たちに投石器を任せてなにやら始めたが一体なんだ? 。
と思ってる間に風の魔法を3人でいっしょに打ち出した。
魔族の陣地に立っていた軍旗が切り飛ばされていた。
風の魔法なら吹き飛ばされるはずなのにどういう理屈なんだ!? 。
軍旗を切り裂かれた魔王軍はそれがきっかけのように後退した。
このところ押される展開ばかりだったのだが盛り返せたのはあの投石器と
魔術師たちのおかげと言っていいだろう。
勇者? 勇者がなんだって? 。
あの風の魔法を教えたのは勇者だと言う。
アルフォンスは王から命じられて勇者を手伝っているそうだ。
勇者が主戦場に来ていたら手柄を全部持っていかれたかもしれない。
アルフォンスがなにを手伝わされてるのか気になって仕方なかった。
氷球の魔法は水球や凍らせるだけの氷結の魔法よりランクが上で
難易度が高いです。
なので手順を分けておまけに分業してます。
魔導師さんならなんてことないんですがね。
ヒヨコな魔術師たちもできますが時間と魔力が余計にかかります。
ここは時間勝負なので手順の単純化と魔力の節約をしてるわけです。
ウィンドカッターは慣れてないことと威力と飛距離を出したかったので
3人がかりで頑張りました。
えらいぞ! ヒヨコども。
作者もほめちゃうぞ~~。




