王I。3 謁見2。
<情報がほしいんです。>
捕虜や砦に残っていたもの程度では足りないという。
<王様がこの戦争をどうお考えなのかも知りたいんです。>
どう・・・と言われても・・。
魔王の解けない怒り。
押され気味に推移していく戦況。
突然のように現れた砦。
あっというまにふえていく拠点。
対処するだけでどうしようこうしようと、考えるゆとりはあまりなかった気がする。
<勝ったらどうするか、魔王国を全部滅ぼすのか、引き分けに持ち込むのか、
負けて降伏するならどの時点かそんな方針めいたものをお考えになったことは? >
全面勝利ができるほどの力は無い。
たとえできたとしても魔王国を支配しつづけるなど不可能だろう。
負けたくはないが勝てるとも思えない。
引き分けて一歩でも勝利寄りなら僥倖というべきだろう。
勇者一人を召喚したからといって勝利が転がり込むとは思っていないが
砦を落としてくれたことで負けから一歩踏み出せた気がする。
開戦前は普通の隣国だった。
魔族の国ではあったが交易もしていた。
完全に消してしまうことなどできない以上妥協点を探してつき合い続けるしかない。
戦場で命がけの軍人たちには悪いとは思うのだが・・。
いつのまにかそんなことをポツポツと話していた。
<分かりました、
勝ちすぎない程度の勝利があればいいんですね。>
勝ちすぎない程度の勝利? 。
・・・勝てるのか? 。
あー、またしゃべらされた人が増えましたね。
コイツとしゃべると個人情報だろうが企業秘密だろうが
全部聞き出されてしまいそうです。
ご用心ご用心・・・。




