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商人E。4 企業秘密。

 焦りながら問い詰めるが勇者はとぼけた顔でいう。


<あー・・企業秘密です。>


国中の魔石を集めてもここまではないだろうという量、そして質だ。


さばけといわれても今すぐできるかどうか。

いや・・ここは喜んでさばきますと言うべきだろう。


騎士のアルフォンスが横から口を出した。

<お前、ソレを使えば帰れるんじゃあないのか。帰りたいんだろ? 。>


魔術師たちもうんうんと頷いている。


無理矢理召喚されて<勇者>をやらされて<次>を呼べるまでの繋ぎの飾りのと

説得されてココにいるんだから帰りたくない訳がない。


<いいんです。>

<なんでだよ。>


<帰れば彼女に・・婚約者に死ぬところを見せなくちゃならない。

アレは母と同じ種類の人間ですから・・。

悲しみで壊れてしまうでしょう。


母が壊れていくのをオレは止められなかった。

恨まれても憎まれても彼女が壊れてしまうよりマシです。>


そうして

<ダテさんに稽古をつけてもらってきます。すみませんが、あとはよろしく。>

そう言って出て行ってしまった。


誰だよ、<ダテさん>って・・・。

聞いたことないぞ! 。


ハッと気がついた。

あの魔石の山! アレの提供者か! 。

あの量は勇者と言えどもこんな短期間で集められるものではないだろう。


オイ! 。>とアルフォンス。


<『企業秘密』守ってくれるんだろうな! 。>


それは帰らない理由か? 。

それとも<ダテさん>か? 。


<両方に決まってんだろ! 。>


守らないと言ったらコイツはオレを

森の魔獣のエサにしかねねぇな。

この目つき! 。


本気の騎士に敵うわけもなし。

ヤツの事情にもほだされたということで秘密を共有することにした。


<ダテさん>の正体には驚いたが

まあ、商売に悪影響があるわけじゃあない。

むしろ大きくプラスだ。


アイツを帰してやりたいと思う。

帰らないという気持ちも分からない訳じゃあない。

死なずにいられるなら帰る気になるだろうか。


王宮で探してたという呪術師はどうなったか確かめてみようと思った。

 ここだけの秘密・ここだけの話・・。

なんで広まるのがあんなに早いんですかね? 。


商人さん・・守らなかったら魔獣のエサだよ~。

ちゃんと守ってねぇ。

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