騎士A。5 はりぼて。
魔族どもが放り出して行った砦を占拠した。
入って驚いた。
外からは頑丈で立派そうに見えるのになんというか粗末そのものだ。
どうりで簡単に放棄していくわけだ。
親方はキョロキョロみまわして
<よくここまで手を抜けたもんだ。褒めたくなったぜ。>
などとブツブツ呪文をとなえている。
張り子、張りぼて、見掛け倒しなこんなものを
どうして造る気になったんだろう。
主戦場に出ている部隊がひと当てすれば簡単に落ちてしまうのが確実なのに。
<王都のすぐ近くというのがポイントですね。
多分、動揺させたかったんでしょう。>と勇者。
戦力は主戦場に回ってるのでココにはあまり残っていない。
気が付いた時にはもうできあがっていて外からは張りぼてだとは見えなかった。
おまけに拠点がまるでばら撒いたように造られていて
どこから攻めたものか迷わされた。
主戦場に行ってる連中もヤキモキしただろう。
留守宅を狙われたようなものだから。
動揺か・・・
確かに動揺した。
勇者まで召喚しちまったもんなぁ。
戦場の連中の動揺まで誘ってたとしたらこれで少しは支援になったかもな。
勇者は親方に何か頼んでいる。
どうやらオッケーが出たようだ。
親方がなにか叫んだと思ったら弟子どもがバタバタと倒れてしまった。
慌てた勇者が回復魔法をかけている。
いつの間にできるようになったんだ? 。
張りぼての砦をちゃんと見かけ通りの頑丈なものに改造させるらしい。
<向こうは張りぼてだって知ってますからね。
もし取り返しに来たら驚かせるくらいはしてあげたいんです。
王都の人たちも安心できるでしょうし。>
なるほど・・・まあ怖がりなお貴族様は大勢いるからな。
今でも平民のほうが怖がってないし・・。
ムリヤリ回復させられた弟子どもはまた親方に
虐待されるというわけだ。
兵士よりキツイかもしれないなぁ。
ーでも、兵士たちも結局手伝わされてしまったのでした。ー
プププ・・・砦を魔改造。
なんか勝手に始めたみたいだけどいいのかなあ? 。




