魔王。1 待ち人。
いつでも冷静であれと父王は言われた。
感情は面にださず思考も読まれないようにと。
子供のころは難しいことだと思っていたが
もう大人の今は簡単なことになった。
それがどうしてあんなことになったのか・・。
ただの時候の挨拶の使者だったはずなのに・・
彼の口上を聞いたとたん何かが爆発してしまった。
怒っていたと皆が口を揃えたが何か違う気もする。
自分でも理由が分からないというのはどういうことだろう。
うろたえているうちに、あれよあれよという間に、
戦争が始まってしまっていた。
やめなければ、止めなければと思うのに
やめようとも止めようともしていない。
まるで自分がもう一人いるかのようだがどちらも自分なのだ。
悶々としていても戦争は続く。
大臣たちが懇願するように戦争をとめてほしいと願い出てくるのだが
どうしてもやめさせられない。
自分の中のなにかが思いと反対のことを望んでいる。
それは突然、なだれるように起きていった。
兵站ルートの崖崩れ、病気理由のルートの封鎖、
そして兵站基地の人の国側による占拠。
基地の兵士たちとそれを見に行った主戦場の兵士たちは
捕虜になったが解放されたらしい。
上級士官がやはり捕虜にされた将軍と勇者の手紙を持ってきたと言う。
勇者!!! 。
頭の中をその言葉がまるで鐘の音のように鳴り響いた。
上級士官を呼んで色々喚問した。
ふと思いついて回らせてみる。
そして士官から勇者の気配を見出した。
かすかながら覚えがある気がした。
<いいだろう、話し合いの使者にはその勇者を同行させるように伝えろ。
来なければ停戦はしない。>
勇者はコレで来るだろうか? 。
怒りと喜びが腹の中を駆け回っているかのようだ。
見たこともない、会ったこともない勇者。
なのになぜか知っている気がする。
会いたくてたまらない相手だと分かる。
私は勇者に会って何をしたいんだろう。
すべきは停戦の話し合いのはずだ。
なのに停戦のことより勇者のことばかり考え続けている。
会って話したいのか見てみたいだけなのか
それとも・・・。
あの人の国の時候の使者に会ってから自分がおかしいのを自覚している。
このままではいけないことも分かっている。
自分のなにかが暴走するような予感があるのだ。
勇者に会ったらなにか変わるだろうか?
ただ待っている。
勇者を待っている。
以前にも待っていたことがある気がする。
会えたら感じるのは喜びか怒りか
それとも・・・殺意か。
待っている。
ただ待っている。
勇者を! 。
会いには行けない魔王さま。
待ってるよりほかないですねえ。
自分でどこかおかしいと感じていても誰にも言えないってツライかも。
なんか恋人を待ってるみたいな感じに書けちゃった気がするんですが・・。
恋人並あるいはそれ以上・・・
あ・・コレはけっこうヤバイかもしれません。
勇者くん、気をつけないとアブナイよぉ~~。




